遺産は約3000万円、相続でもめないようにと
子供3人に1000万円ずつ分けるように遺言で書いておいたのだが・・・?

遺産分割

遺言まで書いていた平成泡太郎さんの相続はなぜもめたのか?

日ごろから子供たちの不仲の関係に頭を痛めていたお父さんである平成泡太郎さん。

かつては不動産業で財を成し、あまたの女性とも浮名を流していたのは数知れず・・・。

そのため、家庭は顧みず好き放題の人生でした。

しかし、バブルもとうにはじけ、いまはその面影もありません。

一時は飛ぶ鳥を落とす隆盛を誇ったものでしたが、
振り返れば遺産はわずか3000万円程度しか残っていません。

そして家庭も順調とはいえず・・・・

糟糠の妻は、泡太郎さんの浮気が原因で熟年離婚。

支払った慰謝料も多額でした。

そしてその元妻も他界しています。

そして、その子供たちはというと・・・

正直、誰もがうらやむ仲良しの兄弟姉妹とは言えるような関係ではありません。

各自 好き放題なことばかりしていて、
子供たち同士の関係はそれほど親密ではなく、連絡もとりあうような関係ではありません。

「これも自分のまいた種か・・・?」

今までの好き放題してきた自分の人生を悔いて反省しても時すでに遅し。

せめて自分の相続で子供たちでもめて欲しくはない。

「このままじゃ、わしが死んだら遺産のことで喧嘩になるのでは?」


そんな心配をしていたので、泡太郎さんはきちんと遺言まで用意していました。

遺産は約3000万円
これを
長男(既婚 子供3人) 1000万円
長女(既婚 子供2人) 1000万円
次男(未婚 独身)   1000万円

と平等に分ける内容の遺言書を残して、泡太郎さんはこの世を去りました。



平等な遺産分割でなぜもめる?

遺産が約3000万円

これを子供たち3人が平等に1000万円ずつ分配するというのに
なぜ次男は文句を言うのか?


「どうしてこれが平等な遺産分割なんだ!」という次男

この遺言書通りの遺産分割に異議を唱えた次男さんの主張はこうだ。

「兄貴は昔、脱サラするために親父から2000万円を
 新規事業の立ち上げに援助してもらったじゃないか!」
※すでに長男は事業に失敗して、元のサラリーマンに戻っています。
「姉さんは、結婚のとき海外まで行って盛大な結婚式を挙げたろう!
 親父はなんやかんやで2000万円ほどかかったって言っていたよ!」
※すでに長女は離婚をしています。

次男の怒り

「今残っている3000万円
 それと兄貴に2000万円と姉さんへの2000万円
 合計7000万円の3分の1は2333万円
 それなのに、末っ子の俺にたった1000万円だなんて
 遺留分さえも侵害してるじゃないか!」

兄貴は一時的にせよ、社長と呼ばれてチヤホヤされていた?
姉さんは何度も何度も海外旅行をしているのに、
自分は会社の慰安旅行で台湾に一度行ったことがあるだけ・・・?

「兄や姉に比べて、自分は全然 いい思いなんかできなかった・・・」

そんな不満が次男の心の中にくすぶっていたのかもわかりません。

どうも兄弟姉妹の不仲の原因はこのあたりにあるのかもしれません・・・?

しかし、バブル崩壊後の不動産業界はそれこそ悲惨でした。
(今の不景気も大変ですが・・・)

そんな時に末っ子の次男に援助なんかできる状態ではなかったのでは?
というのが私の意見でもありますが・・・


時は平成バブルの真っ最中

長男や長女に援助した時は、日本経済バブルの真っ最中でした。

そのため、今の貨幣価値と比べるのは少々無理があるかもわかりません。

相続対策専門士江本圭伸当時の1000万円は今の100万円くらいの感覚?
というのはバブルを経験したおバカ不動産屋の私だからでしょうか?
ほんとクレージーな時代でした。
しがないサラリーマンの私ですら、大阪の北新地に毎晩出没していたんですからね・・・。
私にイソップ童話の「アリさんとキリギリス」の話をさせれば、
きっと涙なしでは聞けませんよ(笑)



「そんな昔のことを言い出されても・・・」(長女)
「親父の遺志を尊重して、遺言書通りに従うしかないだろ!」(長男)

というのは他の子供たちなのですが、次男だけが納得しません。




特別受益に時効はない?

「そんな昔のお金のことなんか、使ってしまってもうないわ!」

といっても、特別受益に時効という考え方はありません。

今回のケースでも、次男さんにある程度の配慮をすべきかもわかりません。

結局
「次男さんに2000万円
 長男と長女に各500万円ずつ
というのが落としどころかな?」
というのは私の推測です。



遺言書も万能ではない

たとえ遺言書を書いていても、必ずその通り遺産分割しなければいけない!
というものでもありません。

以前にあげた財産を特別受益にしたくない場合は
そのことを遺言書に書いておくこともできます。

しかし、これも遺留分の計算対象外にはできません。



遺言書+家族へきちんと伝えておくこと

相続は、自分勝手に話を進めていくことはあまりお勧めできません。

それは、各相続人(この場合は子供たち)がそれぞれの思いを心の中に秘めているからです。

親が思っている平等が、子供達には平等ではなかった!?

そんなケースもよくあるのです。

ですから、事前にさらりとでも
遺産分割のことを話しておくことは
とても大切なんですよ。

今回のケースでも生前に泡太郎さんが
・当時の経済情勢
・援助の理由(子供から援助を願い出たのか?親が勝手にした援助か?)
・今の状況
などなどをしっかりと子供達に話して説明さえしていれば起こらなかった可能性もあります。

だって、財産をあげる当事者(親)が生きている間は
子供たちはその遺産分割案に不満に思っていても
しぶしぶそのことを了承するものです。

各子供たちがいったん了承していてさえももめるのが相続の遺産分割です。

それを財産をあげる当事者(親)がすでにこの世にいない状況で
スムーズな話し合いなどなかなかできないものです。