笑顔の江本

私は賃貸アパート経営のコンサルタントとしても活動しています。
そこにはいろんな大家さんや不動産投資家さんからのご相談がたくさんきています。

相続税対策で建設した賃貸アパート・賃貸マンションだが「空室が埋まらない!」「家賃の下落が止まらない!」で失敗する

相続税対策で建てた賃貸アパートマンションの空室が埋まらない
相続税が改正(改悪)されて基礎控除額の減額・相続税率のアップなので、資産家の方は相続税の節税に血眼になっています。
特に先祖伝来の土地を持っている地主さんなどは
「賃貸アパート・賃貸マンションを建設すれば大幅に相続税が節税できます!」
というハウスメーカーの殺し文句にコロッと騙されてしまいます!
また相続税節税セミナーはどこも盛況ですしね・・・・

あんなとこ?こんなとこ?
あちこちに賃貸アパートマンション建設ラッシュが止まらない!

いやあ、ほんとうにあちらこちらで賃貸アパート・賃貸マンションが建設されています。
もちろん昨今の不動産投資ブームもありますが、それ以上に「相続税対策として賃貸アパートマンションを建設しているんだろうなぁ・・?」と思われる物件がメチャクチャ多いです。
なぜなら、私の営業エリアである大阪ではその代名詞である大東建託さんや生和建設さんの現場があちらこちらにあるのです!

まあ、相続税が安くなるのであれば賃貸アパートマンション建設も大賛成ですが、少々立地に難ありのロケーションでも立ててしまっているケースも少なくない

泣く江本

「えぇぇ・・・こんな場所で空室が埋まるんやろか・・?」
なんて心配になる賃貸アパートマンション建築現場もよくみかけます!


そんな今の状況を危惧していると政府もこんな警鐘を鳴らし始めました。
それは、今の賃貸アパートマンション建設の状態は異常であって、
もはやバブルと呼んでもおかしくはない!という非常事態なのです。

バブルの懸念ぬぐえぬ賃貸住宅の増加
 賃貸住宅の建設が増えている。日銀のマイナス金利政策などで住宅が建てやすくなっているためだ。目先の景気にはプラスだろうが、首都圏を中心に空室も増えているだけにバブルの懸念はないのか心配な面もある。

 国土交通省によると、昨年の貸家の着工戸数は前年よりも4.6%増えた。今年に入っても6月までの累計で前年同期を8.7%上回っている。好調な賃貸住宅が住宅投資を下支えしている。

 賃貸住宅が増え始めたきっかけは2015年1月の相続税の増税だった。アパートのような住宅は賃借人の借地権と借家権が生じるため、現金や預金、更地の不動産を保有している場合に比べて相続税を課す際の評価額が下がる。

 ここに着目し、節税対策として団塊世代などを中心にアパート経営に乗り出す人が増えている。

 マイナス金利政策で住宅を建てる資金を手当てしやすくなっていることも一因だ。金融機関も一般的な住宅ローンに比べて貸出金利を高めにしやすいアパート建設向け融資に力を入れている。

 一方で住宅需要が高まっているわけではない点は要注意だろう。すでに全国には820万戸の空き家があり、その半分強は賃貸用の住宅だ。首都圏を中心に空室率が一段と上昇している。

 それでも新規物件が増えている背景には、サブリース(転貸)方式でのアパート建設があるのだろう。土地を保有する個人などが建てたアパートを、業者が長期間にわたって一括で借り上げる契約方式だ。一定期間、家賃収入を保証する場合が多い。

 新築時には入居者を確保できたとしても、時間とともに空室は増える傾向がある。その結果、地主に約束していたはずの家賃収入を業者側が大幅に減額したり、契約を解除したりしてトラブルになる事例が、目立っている。

 国交省は9月から制度を見直して、地主との契約時に将来の家賃水準などが変わる可能性がある点を「重要事項」として説明するよう、サブリースを手掛ける大手業者などに求める。トラブルを未然に防ぐために必要な措置だ。

 周辺の他の物件は空室が目立つのに、自分のアパートだけは大丈夫と考える方がおかしい。節税が目的だとしても、アパート経営には相応のリスクがあることを土地の保有者はしっかりと自覚すべきだろう。
日本経済新聞より

今の新築賃貸アパートマンションの空室は安い部屋から埋まってきています。

ちょっと前の時代であれば、新築賃貸アパートマンションは
高層階・角部屋の高い家賃の部屋から決まっていったものですが
最近では低層階・真ん中の部屋から決まっていっているように感じます。
人気の新築であるにもかかわらずこんな状態ですから、竣工と同時に満室になっている賃貸アパートマンションもよほど立地がいいとか?相場よりも安い家賃でないと無理な時代になってしまいました。

下がる家賃、埋まらぬ空室で節税できた相続税以上に負担が増えることもあるのでご注意を

当たり前のことですが、建物は古くなると家賃は下がっていきます。
たよりの一括借り上げサブリースも3年程度すれば見直しを迫られます。

建物建築資金は銀行から借りているのですから、たとえ空室が埋まらなくても家賃が下がってしまっても返済は待ってはくれません。
少し状況が悪くなれば資金の持ち出しが発生してしまいます。

泣く江本

私も不動産コンサルタントとして建築前の事業シュミレーションをセカンドオピニオンとして拝見させていただくことも多いのですが
「こんな家賃でほんまに貸せるんかいな!?」というべらぼうは家賃のシュミレーションやギリギリ綱渡りの資金計画をよくみます。

持ち出しのお金がドンドン続いていくと
「なんのために
 銀行から大きな借金をしてまで・・・
 賃貸アパートマンションを建設して他に転用もできなくなってまで・・・
 お金に換えるのに苦労するのに?売却するときには大きな損をするのに・・?
 賃貸マンション賃貸アパートを相続税対策として建てたんですかねぇ・・」

ということにもなりかねません。

現実に大家業賃貸アパート経営にほとほと嫌気が差して、相続税節税額以上の損をしてまで売却する地主・家主さんの物件ばかり取引をしている私が言うんですから気をつけてくださいね。

笑顔の江本


いつもお話しているんですが、
「長期的に安定的な収入があるのが賃貸アパート経営だ!」
なんて甘い言葉に騙されないでくださいね。
そんな時代、とうの昔に終わっています。
今は少子高齢化で人口も減少している時代なんです。
こんな逆風の中で今の大家さんや不動産投資家さんは涙ぐましい努力をされていますし、厳しい生存競争に敗れた地主家主は破産する方も増えてきましたから・・・