久々に大きな相続税の申告漏れの指摘がありました。

相続税申告漏れ

遺産相続で百数十億円の申告漏れ指摘
大手住宅設備メーカー「LIXILグループ」の前身となる旧「トステム」の創業者の遺産を巡り、創業者の長女が、東京国税局から百数十億円の申告漏れを指摘されていたことが関係者への取材で分かりました。
長女はこれまで取材に応じていません。

申告漏れを指摘されたのは、3年前に84歳で亡くなった、建材メーカー旧「トステム」の創業者、潮田健次郎氏の長女です。
潮田氏は、平成13年にトステムとINAXが経営統合した大手住宅設備メーカー、「LIXILグループ」の前身となる旧「住生活グループ」の会長を務めました。
関係者によりますと潮田氏は生前、保有していた住生活グループの株を売却するなどして得た資産を資産管理会社に移し、潮田氏の死後、長女が資産管理会社の株を相続しましたが、その際、会社の価値を実際より低く申告していたことが東京国税局の税務調査で分かったということです。
東京国税局は百数十億円の申告漏れを指摘したということで、追徴税額は過少申告加算税を含めおよそ60億円とみられます。
潮田氏の長女は、これまで取材に応じていません。
NHKニュース




こんな大きな金額の相続税の申告漏れをするなんて「なんと悪い金持ちだ!」とあなたは思いますか?

LIXIL(旧トステム)ほどの大会社です。

そして、そこに万一 不適際があれば会社の信用、ひいては株価にも大きな影響を与えてしまいます。

今はコンプライアンスは企業にとって最重要課題なんです。

ですからおそらく大きな悪意があって「脱税してやろう!」なんて考えてはいなかったのではないでしょうか?



税理士や公認会計士もさぞ真っ青になっているでしょう!
前には可能だった相続税の節税手法が必ずしも通用するとは限らない?

相続税の申告においては、めちゃくちゃグレーゾーンが存在するのです。

そこには申告する側と申告される税務署の担当者との考え方や解釈の取り方次第で、
大きく相続税が変わってきてしまうことを理解しておいてくださいね。

今回のような資産管理会社を利用した相続税の節税方法は広く活用されています。

では、なぜ今回 それが指摘されたのか?

そこには「単純な理由だけではないんじゃないかな?」とも思えるのです。



内部密告

税務署の調査能力はすごいものがあります。
しかし、それでも完璧ではありません。

まして、これだけの大きな相続税の申告漏れをしてくるわけですから
大きな確証や証拠を押さえてのことではないでしょうか?

そこには大企業の権力闘争などドロドロとした人間関係があることもあります。

誰かが決定的な証拠をチンコロ(密告)した!

なんていうのも100%否定できない気がします。



税務署と不仲?

税務署とはつかず離れず、うわべ上だけでも仲良くしなければいけません。

日頃の申告などで税務署といつもカンカンガクガク
喧嘩ばかりしているようでは、
「この野郎!いつか懲らしめてやる!
なんて思われれば、損はあっても得はありません。

なにかしらの以前の因縁があったのかもしれませんね?

次に続くように、特に相続税申告においてはグレーゾーンが多く税務署の担当者のさじ加減ひとつということもあるのです。




税務署との見解の相違

一番 考えられるのはこれですね。

『資産管理会社を利用すれば相続税が節税できる!?』
とよく相続税関連の書籍でも書かれています。

そんなことは税理士という相続税の専門家ならだれでも知っています。

でも、これがいつも必ず活用できるとは限らないのです。

税務署はどこか重箱の隅をつつくよういして、その活用にケチをつけてくることもあります。

有名な例ではこんなことがあります。
広大地といって、大きな土地は一体活用が難しくそのため相続税の評価を軽減してあげようという措置があります。

しかし、それも税務署の担当者のさじ加減次第です。

大きな土地だから、宅地分譲する時に道路部分が死に地になります。
そこで、広大地の申請をしたら税務署は否認してきました。

裁判で税務署が出してきたのはこんなナンセンスな区画割りです。

開発行為不要とする税務署の区画割

「こんな風に区画割りしたら道路負担(死に地)はできないから、広大地の申請は認めません!」
なんてめちゃくちゃですよね?

いかがですか?
①や②の土地なら家も建ちますが、その他の土地に家が建ちますか?
(まあ理論上は建てられないことはないが・・・・)

こんないびつな土地を誰が買いますか?

そんな常識外のこじつけを平気で税務署はしてくることがあるのです。



相続税対策は必ず成功するとは限らないこともあることを知っておきましょう

このように相続税はグレーゾーンが多く、
税理士の経験や考え方
税務署側の見解
それぞれにきっちりと決まっていないことも多いことをしっかりと理解しておきましょう。

でも、後で税務署からいちゃもんつけられないように
高め高めの相続税の申告をする税理士さんも多いんですけどね・・・・