この記事を読んでいるあなたなら安達祐実さん主演の「家なき子」のこの名セリフ 「同情するなら金をくれ!」 を覚えているかもしれません。 これ、親との同居でも同じなんです。 「同居するから金をくれ!」 そう親や他の兄弟たちに宣言するくらいの覚悟と決意がないと同居はおすすめできません。
なぜなら ①同居しても、その親の家(実家)はあなたのものにはなるとは限りません。 10年も同居すればその家をあなたはもう自分の家という感覚になりますが、それは相続人全員の遺産でありみんなで話し合って決めることです。 ②介護の苦労や同居のストレスは相続では簡単には認められません。 特別寄与分は同居していたあなたが決めることではなく、相続人全員で話し合って決めるものです。 また法律的な特別寄与分の特別とは尋常ではないくらいの貢献度という意味です。 「私がたくさん親の介護をしてきたから」というレベルのものではありません。 調停や裁判では「私が親の介護をしたから遺産を多く相続して当然」とは簡単には認めてくれないのです。 ですから親の介護が相続で報われるのは親が決めておくか?他の兄弟たちに納得させるか?しかありません。 ③人は自分のしたことは過大評価し、他人のしたことは過小評価するものです。 あなたの同居ストレスや介護の苦労は別居の兄弟たちにはわかりません。
経済的に余裕のある親、それに比べて貯金も無い?給料も上がらない?生活苦の子供。 親自身も自分の年齢を考えると老後に少し不安になることもあります。 そこで「そろそろ私たちと同居しない?」と親から提案されるかもしれません。
ただ二世帯住宅での親との同居は 【親の介護を押し付けられます!】 【相続トラブルにもなりやすい!】 ことをしっかり理解してから決断してください。 その理由をお話していきますね。
『介護の苦労』と『遺産相続』で割に合わない親と同居
親から同居の話を持ちかけられた時、子供たちはどんなことを考えるでしょうか? 「広い家に住める?」 「生活費が楽になる?」 「共働きだから子供(孫)の面倒をみてくれる?」 そんなプラスな点ばかりイメージするかもしれません。
親との同居、確かに最初の十年間はうまくいくかも知れません。
「うちの姑はほんとうに優しい人なの。だから嫁姑問題なんて考えられないわ!」 そう考えて親との同居を簡単に決断するお嫁さんも多いのですが、それが10年後20年後まで続くかというと疑問が残ります。 私は誰もが歳をとれば「意地悪婆さん」「頑固じじい」になると考えていますし、そう断言もできます。 人間 歳をとれば身体のあちこちが傷んできます。昔は簡単にできたことが徐々にできなくなります。 その不満やストレスを同居の家族にぶつけてくることは容易に予想できます。 またひょっとしたら同居している親が認知症?になってしまった時にあなたは献身的に介護できますか? 10年後20年後にこんなことが起こるかもしれません。
あなたにここまでの覚悟がありますか?とりあえずはなんとか認知症の親との接し方に解決したかに思えましたがパート2ではもっと問題が深刻になります。 ※パート2はこのHP内でも公開もしています。
しかし、いくら献身的な介護をしても法律では他の兄弟姉妹たちと同じ相続割合です。 そんな相続トラブルが多く発生したためか民法も改正されて介護した嫁の貢献度を認めるようになりました。 しかし、私はこれも絵に描いた餅のようにしか思えません。 それは嫁などの貢献度がしょせん介護ヘルパー程度の評価しかされないことが多いからです。 また、いくら法律でそのようにする動きでも法定相続割合以外で遺産分割するには原則相続人全員の合意が必要だからです。 もめにもめて家庭裁判所に調停まで申し立てて初めて有効になることのように思います。 それほど介護の貢献度は認められるとは思っていません。なぜなら介護の貢献度なんてそれを証明するのももはかなり至難の技だからです。 ⇒特別寄与分の判決例!寄与分が認められても現実は所詮この程度です
私はいつも 「親との同居」を考えるなら『介護』と『遺産相続』の話もきちんと話し合っておいてください!」 とお願いするのですが、みなさんそのへんを曖昧にしてしまうんですね。
二世帯住宅で親と同居して後悔する人は少なくありません
私に寄せられるご相談の中に「親との同居・二世帯住宅」にまつわることって意外と少なくありません。 そんなに「失敗した」と後悔するくらいならどうしてもう少し真剣に考えなかったのでしょうか? 安易に「二世帯住宅を建築して親と同居生活を始めたがうまくいかない?!」という方も多いので少し警鐘の意味も込めてお話させてください。
二世帯住宅で親と同居するメリットってなに?
親との同居の提案をされた時に子供はどんなことを考えるのでしょうか?
今より格段に広い家で暮らせる?
狭い賃貸マンション暮らしの子供たちにとって「同居したら今よりもっと家が広くなる!」というメリットに思わず心が奪われることでしょう。実は私も某ハウスメーカーさんからご紹介で二世帯住宅建設に関わったことがあります。
予算は青天井?どんどんグレードアップして建築見積額は当初のウン倍に?
その某ハウスメーカーの営業マンは私も舌をまくほどのやり手営業マンでした。まあ、私たち不動産や建築関係の仕事って「お客さまの夢を実現すること」といえるかもしれないのですが、そこにはやはり限られた予算内で?という厳しい制約があるものです。 ただ「親の土地に建てる?」「親が資金援助する?」という資金計画ですからどうしても甘くなりがちです。そのやり手の営業マンは本当に巧妙に「親の心?」「嫁の心?」をくすぐってオプションやグレードアップをドンドン追加していきました。ひとつひとつは少なくても積もり積もればすぐに予算は青天井に増えていきます。(これは二世帯住宅に限らず注文住宅の場合に顕著ですが・・・) 気がつけば親は「孫のことを考えてニンマリ?」「奥さまはテレビドラマに出てくるようなお洒落なキッチンに目がハートマーク?」もはや誰にも止められません。
生活費の共同分担(親に依存?)で豊かなライフスタイル?
親子別々の単世帯での水道光熱費や食費を「親と同居」ならばその負担も減るのも事実です。食材も無駄なくシェアできれば食費も助かります。
家事の共同負担で楽になる?
「立っている者は親でも使え」 これは親との同居で家事の負担が減る奥様の頭をよぎる諺(ことわざ)ではないでしょうか? 特に夫婦共働きであれば「幼い子供の送り迎え」など助かりますし、「ジ?ジィ!バァ~バ!」と懐いてくれる孫に親は喜んで手を差し伸べるでしょう。また夕食など食事の準備も親がしてくれるかもしれません。いつまで経っても親から見れば子供は子供なのですから・・。
子供(孫)の子育ての協力?
外孫(そとまご)よりやっぱり内孫(うちまご) たまにしか逢わない別居の孫より毎日顔を合わせる同居の孫がかわいくなるのは仕方ありません。そんな同居の孫に「いろいろな習い事」をさせることにおじいちゃんやおばあちゃんは反対なんかしません。もちろんその費用は簡単に負担もしてくれるでしょう。 たまには夫婦二人きりで外食デート?なんていう時には喜んでおじいちゃん夫婦が預かってくれるでしょう。
ひとつ同じ屋根の下に親子が一緒に暮らす安心感?
いつ?なにか?あってもひとつ同じ屋根の下に家族が暮らしていれば大きな安心感がありますよね。
親は自分たちの介護を同居家族に期待するもの
家を建ててやったのだから? 家を建てる土地を与えてやったのだから? 親は将来 自分たちの介護は同居家族が面倒をみるのが当たり前だとかんがえているかもしれません。
二世帯住宅の間取りを『完全分離型』にしても問題は解決しない?
最近では「二世帯住宅の間取りは完全分離型」が人気と聞いています。 これは玄関も2つ、キッチン・お風呂も2つ、すべて生活の基本は別々という間取りです。いわば「たまたまお隣さん同士が親子」という同居スタイルです。まあ私がお勧めしている近居に似ているのですがやはり近すぎるのもなにかと問題が起きがちです。
義両親との同居のストレス
いつの世も「嫁姑問題」は永遠に不滅です!これは私 きっぱりはっきり断言します。 離れて暮らしている時には「うちのお義母さんは優しい人」と思っていても、ひとつ同じ屋根の下に暮らすようになったのならばきっとその考えはもろくも崩れさるかもしれません。
鬼嫁vsクソいや鬼ババアいやお義母さまとの嫁姑バトル!どちらが悪い?正しい?なんて誰も言えません。 どちらも加害者であり被害者でもあります。間に挟まった夫に非武装地帯の避難できる場所などありませぬ。 ただただ嵐を過ぎ去るのを待つしかありません。 下手な口出しは思わぬ火の粉がかかりますよ
誰もが歳をとれば「意地悪婆さん」「頑固ジジイ」になります!
わたしも昔はお姑さんには泣かされたもんよ。 ホントお義母さんは、意地悪でみんなから嫌われるようなばっかり言っていた鬼姑だったのよ。でも、安心してね。わたしはあんな風に意地悪な姑にはならないわ。 みんなから愛される可愛いおばあちゃんになるの!
二世帯住宅で同居の話をしていてそんな嫁と姑の会話をそばで聞いている夫のあなたはその言葉を鵜呑みにしてはいけません!だんだん身体も衰えてくると、昔はなんでもなかったことがだんだん出来なくなってくるのです。買い物・掃除・洗濯などの家事もそうです。友達もどんどん亡くなっていってつきあいも減り、家ですごす時間が大半になってきます。また、ちょっと動けば息切れや身体のあちこちも「痛い!しんどい!」と愚痴も出がちです。そんな余裕も他人への思いやりもできなくなり、ついまわりの人(家族)に悪態をついてしまいがちです。
マスオさんになる旦那さんへ!嫁の実親との同居でも嫁親子で意見対立
親との同居のキーパーソンは実は夫ではなく嫁かもしれません。最近の傾向は義実家ではなく嫁側の実家での二世帯住宅・親との同居を始める方も多いです。 二世帯同居ではいわゆる「マスオさん」が非常に増えているらしいです。しかし十年以上も離れて別居していたら昔のお父さんやお母さんではないこともあることにお気をつけ下さいね。 たとえ義理の親(義父・義母)でなく実の親でも、長い間離れて暮らしていれば親子関係も変化しているんです。
嫁の親との同居でもマスオの夫も大変団ですよ いざ同居を始めてみたらちょっとしたことがことごとく 癇に障る?イライラする? ということはよくあることなんです。
これって初期の認知症も疑うべきかも知れません。私の母もそうでしたが今から考えるとあの怒りっぽい性格は初期の認知症だったかも?なんて思います。 ⇒よくある認知症の初期症状|こんな症状が出てきたら要注意絶対に子供夫婦は離婚しない!と断言できますか?
嫁側の実家で二世帯住宅を建てで義両親(嫁に実親)と同居生活を始めるかもしれないあなたに確認しておきたいことがあります。それは「あなたは絶対に離婚なんてしない!」と断言できますか?
「親の土地」に「子供が建築資金を住宅ローンで調達」して二世帯住宅を建てることが多くあります。 これがもしも?もしもの話ですがなにかの理由で子供たち夫婦が離婚した時にどうなるのか? 考えただけでもぞっとしまうよね?」
とにかく親と同居は慎重に!慎重に決断sンひてくださいね。 参考:いざ親と二世帯同居を始めたらうまくいかない|自分の親でも難しい
失敗・後悔してももう遅い!二世帯住宅ので親との同居を解消の難しさ
実は時々 不動産の売却依頼で二世帯住宅の場合もあります。 しかしこれが結構手を焼くことが少なくないのです。 後で親との二世帯同居に「失敗した!」「後悔した!」といってもすでにもう遅いのです。
【二世帯住居の後悔】中古の二世帯住宅って需要ありますかね?
「中古の二世帯住宅を探しています。いい物件ありませんか?」 この不動産業界数十年の私ですがそんな購入希望は聞いたことがありません。 いくら注文住宅でお金を贅沢にかけた建物でも結局は土地値プラスアルファの値段になってしまいます。
【二世帯住宅の後悔】親との同居解消した後の関係はもう修復不可能?
最初は良好な嫁姑関係からスタートしたとしても、二世帯同居解消の事態にいたってはもはや修復不可能な関係に陥っています。 それを「どうやって修復していくか?」 実は私にもわかりません。 ただ、相続や介護のことをきっかけに二世帯同居解消ができたこともあります。 もし、二世帯同居解消を考えているのならそれも得策です。 ・このままでは相続税がかかる。 ・今のお家のままでは高齢者は暮らしにくい!介護しにくい!
⇒「親の介護」「相続」について話し合う遺産分割協議を開こう!介護・相続の話し合いは第三者を入れるとうまくいきやすい二世帯住宅で親と同居したからこそ起こる相続トラブル
二世帯住宅で親と同居していてその親が亡くなったらどう遺産分割します? 「いやいやこの家は別物だろう!」というあなたの主張は他の兄弟姉妹に通じるものでしょうか? 親と同居していたその家もりっぱな相続遺産だからそれも含めての遺産分割になるのは目に見えています。 もし、遺産らしい遺産がその二世帯同居していた家だけだったら? 「そのままその家に住み続けたい子供」vs「売ってお金に換えて遺産分割して欲しい子供」の相続バトルは当たり前ですよね。
二世帯住宅の親との同居が感謝されるのは親が生きているうちだけ?
「兄貴、いつも親父やおふくろの面倒をみてくれてありがとう」 「お義姉さん、義理の親なのにこんなに介護を献身的にしてくれるなんて頭が下がるわ!」 そんな感謝の言葉は親が生きている間だけ?かもしれません。
とにかく、介護と相続というものは「それはそれ!これはこれ!」なのが普通です。
二世帯住宅で親との同居の決断には「介護」と「相続」の話は避けては通れない
将来的に必ず起こるのが「親の介護」と「遺産相続」です。 確かにそんな演技でもないことを口に出すなんて気が引けるかもしれません。 でも、二世帯住宅で親と同居することを決断する前にきちんと話し合っておくことはすごく大切なことなんです。
親子だけでなく兄弟姉妹全員で「介護」「相続」について話し合う 家族会議は必ず開催すべき
これは親とどうこする子供だけで話し合うことではありません。 きちんと別居の他の子供たちとしっかりと話し合っておかないといけないのです。 だって相続ではその方たちとも話をつけないといけなくなるからです。 「親父やおふくろはこうしろ!って生前言っていた!」では通用しないことなのです。
相続・介護の専門家が立ち会う「親の介護」「遺産相続」について親子・兄弟姉妹で話し合う遺産分割協議開催のお手伝い
同居していた親が亡くなった後の相続に備えて遺言書は必須
家族会議を開いて「親の介護」「遺産相続」についてしっかりと話し合ったとしてもそれで万全ではありません。 なぜならかなり高い確率で「同居の家族の悪口を他の子供を愚痴る親」が少なくないからです。 介護の大変さは私も経験しました。 だからこそ断言できるのは100点満点の介護など誰もできない!ということです。 しかし介護もしてこなかった別居の兄弟姉妹が「親父やおふくろは大切にされてこなかった」と反論して、家族会議で決まったことを反故(ほご)にされる可能性もあるのです。 できれば親には遺言書まで作成しておいて欲しいものです。 ⇒遺言書作成費用を払ってまで司法書士に依頼する理由【無効・検認】
それくらい親との二世帯同居は慎重に決断しないといけない重要なことなんです! 親との二世帯同居を決める前に一度 わたしが解決すべき問題点もお話しますよ。