ある日、地域包括センターの相談員さんから相談がありました。 「ちょっと住まいのことで困っている高齢者さんがいるので力になってあげて・・・」 「こんな私でお役に立てるなら喜んで!」と教えていただいた住所に訪問するとそこには・・・・・
「えっ?ここで住所 あってるのだろうか?りっぱなお家なんだけど・・・・」
ご相談者にお会いしてお困りごとをしばらくお話を伺いました。 お二人とも70代半ばでお母さんが中心となって夫のお世話をされている高齢者世帯です。 いわゆる老老介護の状態です。 ふと見上げると・・・
なんと天井に大きな雨漏りのシミが・・・ 昨年の台風の大雨の時に雨漏りがあったそうです。 そのほかにも家のあちこちで問題個所を発見しました。 『お父さん、お母さん、ちょっとこれらを全部直そうとすると相当お金がかかりますよ?』 とお答えするとお二人とも顔が曇ってしまいました。
『ちょっとお金のこともありますし、子供さんたちにも私の方からご説明させていただけませんか?』 とご提案させていただくとまあ子供さんたちへの不平不満が一気にあふれ出て止まる気配はありません。 こんな話はどこの親子にもあることですよね。
お話を伺うと ・子供たちはみな結婚独立して遠く離れて暮らしている ・これから自分たちの介護に子供たちはまったくアテにならない ・古い家なので高齢者には暮らしにくなってきた(段差・お風呂・交通・買い物) ・家の修繕や維持管理費の負担が大きい とのことでした。
こんなお悩みを抱えている高齢者のご夫婦っ本当に多いです。
「りっぱな家はあるけど老後資金の余裕は無い!?」生活困窮している高齢者たち
高齢者の方で持ち家の方も少なくありません。 じゃあ持ち家だから生活が楽かというと必ずしもそうとも限らないのです。
財産はあっても下流老人の方も多い
私も老後資金のことでご相談を受けるのですが意外と現預金が著しく少ない高齢者さんもたくさんいらっしゃいました。 「このままだと老後の生活は相当厳しいものなりそう?」 と心配なります。 そんな方でも立派な持ち家で暮らしておられることもあります。
老後資金はいくら必要か?
安心できる老後資金はいくら必要か? これはさまざまな意見があります。 All Aboutの大沼恵美子さんは2000万円程度と試算されています。 ⇒老後の貯蓄は、いくら必要? プレジデントの特集記事では3500万円、ゆとりある老後生活なら4500万円は必要と試算されています。 ⇒貯蓄:「ゆとりある老後」に必要な資金は、1億1856万円 -「定年後の5大爆弾」の正体 しかしそこまできちんと貯蓄されている高齢者ばかりでもないような気がします。
持ち家など不動産を含めればそれくらいにはなるかも?
自分も親から相続した? 若い時に苦労してマイホームを購入し、すでに住宅ローンも支払い終わっている? そんなまさに資産ともいうべき不動産はお持ちなのですが、悲しいかな現預金はあまり蓄えてはいない。 そんなケースでこれから「老後」や「介護」をどう考えるか? 難しいテーマです。
自分たちの老後や介護で子供をあてにしてはいけない時代
この超高齢化社会で日本の平均寿命はどんどん伸びていっています。 ということは老後といえる期間、介護を受ける期間もどんどん長期化しています。じゃあ誰に介護を頼むか?といえば家族(配偶者・子供)に託すしかありません。
「子供に裏切られた!」と涙ながらに訴える親たち
私も高齢者さんからご相談を受けるのですが 「あんな薄情な子供、もう縁を切ってしまいたいわ!」 と涙ながらにそう訴える高齢の親御さんがどれだけ多いことか・・・(汗) でも時代や考え方が変化しているのに自分だけ昔の考え方を持っていても取り残されてしまいます。 ズバリ言わせていただくと「親自身も自分の親の介護なんてしてこなかった?」という方も多いです。 確かに戦後厳しい時代に集団就職などで都会に出て田舎とは距離ができてしまったことは理解できます。 しかし自分たちも親の面倒をみてこなかったのに子供にそれを期待するのは少し虫が良すぎるかもしれません。「子供は親の背中を見て育つ」ものです。
介護しても報われない?相続では子供たちみんな同じ相続割合
私は相続・介護コンサルタントなのですが 「相続のために遺言書を書くというのどうですか?」 「相続や介護のことを子供さんたちを話し合ってみませんか?」 そうご提案すると高齢の親たちはそろって嫌な顔をされます。
『介護は近くに住む子供の◎◎に頼みたい!でも遺産相続のことはタッチしたくはない?』 『そんなことは自分たちが亡くなって後にでも子供たち同士で話し合って決めてくれ!』 というのはちょっと親の身勝手かもしれません。
報われないのが介護です!だから親の介護なんてしたくない子供が出てくるのです
自分も親の介護を経験して痛感したのは 「親の介護って精神的にも経済的にもめちゃくちゃ辛い!」 ということなんです。