相続で意外に厄介なのが不動産である

まわりからは
「あの家はお金持ちよねぇ・・・」
と羨望のまなざしを受けている方でも実情はそうでもないのです。
意外とその不動産の相続で頭を悩ませている地主さんも多いのですよ。

日本では相続財産の大半が土地建物の不動産である

平成24年分の相続財産の総額は11兆7248億円ですが、
その中の土地の占める割合は5兆3699億円
なんと相続される財産の約半分は土地なんです。

相続させる土地はある!
しかし
現金は無い!
こんな地主さん、メチャクチャ多いです。

土地はあるが現金は無い地主や家主

誰も住まない?利用もされない不動産

誰も住まない古い自宅
オンボロ賃貸アパートは入居者がいなくてガラガラ
最近の車離れで駐車場も空きが目立つ!
そんな相続財産の半分を占める土地を有効活用なんて簡単じゃないんです。

ハウスメーカーさんの口車に乗せられて、不便なところに建てられた相続対策の賃貸アパート・賃貸マンション
ピッカピカの新築時ならまだしも、築後5年も経てば化けの皮ははがれます。
それはもう悲惨な状態です。

分けられない不動産

まだ母親が住んでいる。
親と同居していた兄弟達がそのままずっと住んでいる。
土地の形状や権利形態が複雑(借地・底地・連棟)

とりあえず、共有名義にして持分という形で相続したけれど、
なにも相続前とは変わらないのではありませんか?
ただ、登記に自分の名前が記載されただけ?
それだけですよね?

不動産は分けることが難しい相続財産なんですね。

子供二人が公平平等に一つの土地を分けられるのか?

一つの土地を子供二人が公平平等に分けようとするのも意外と困難を極めます。

では100坪のこんな土地を分割しようとしても
遺産分割の対象の土地

50坪の半分ずつ分けようとしたら
遺産分割案①

これでは①の50坪と②の50坪
面積は同じでも価値は異なります。
もちろん②のほうが価値は高いです。

じゃあ、面積を加減して公平に分けようようとしても
遺産分割案②

価値を考慮して、面積を加減して公平に遺産分割しようとしても? じゃあ何割が妥当なのか?
めちゃくちゃ難しいです。
①の土地、面積は広いが地形が悪い
②の土地 地形は良いが面積は少ない
建築基準法などいろいろ見地からも調べなければいけません(隣地斜線・容積率etc)
一概に「これで平等・公平な土地の遺産分割ですね」なんて誰が断言できますかね?

複数ある不動産であれば、それぞれの価値を調べないといけませんが
正直 不動産なんて売り出してみないと本当の価値はわかないこともあります。

『じゃあ俺が全部相続するから、その分 お金で払うよ!』という代償分割のお金をどう計算しますか?

土地建物をお金に換えて評価するってすごくファジーなもの?といえば私の不動産屋の信用も地に落ちますね・・・・。
でも、それが真実かもしれません。

建物は固定資産税評価額<再調達価格-経年劣化による減額
土地は固定資産税評価額<路線価評価額<時価
などで評価できますよね。

お金を支払う相続人とっては1円でも低く評価算定したいものですから、おのずから評価の低い路線価評価額や固定資産税評価額を採用したいものです。
反対にお金をもらうほうとしては一番高い時価相場で精算して欲しいものです。

でも、この時価相場が曲者なんです。 特に土地って道路や地形や面積(大きい土地ほど単価は下がるし、狭すぎる土地も大きく単価は下がるもの)にも影響されるもんです。
正直個別的要因が大きい土地建物は売り出してみないとわからない?というのが現実です。

まあ現実にはある程度の相場はわかるのですが、絶対にその値段ですぐに売れる?という価格はある程度推測になりますし相場より低めにご提示しないと我々不動産屋も信用をなくしますよね

もちろん、近くに競合物件があったり、売り出す時期のタイミング、景気や住宅ローン金利にも大きく影響されます。

意外と不動産屋でも相場はわからない

「えぇ・・・ちょっとこの物件 高いなぁ・・・」
と思っていてもすぐにお客さんがついたり
「おっ?この物件は安いんちゃう?」
と感じても意外と苦戦したりするもんです。

売れない不動産

不動産って、分けられない財産であると共に売れない相続財産でもあるんです。

・「家を売る!」のはご近所に恥ずかしい、親戚の眼がある
・建築不可である。
 (今の建築基準法上、同じものが建たないこともよくあります)
・立退き問題
 (誰かに賃貸している場合、借地借家法が障害になります。)
・家族や親戚が居住している。
そんなケースはよくありますが、それが原因で売ることができないということもあるのです。

相続前であれば問題解決もまだ楽だが、相続発生後なら大変

登記名義人である親がその不動産を売るなり、名義を変更するなり、権利関係をすっきりさせてくれればいいのですが、問題を先送りし続ける親御さんがほとんどです。

相続発生後に土地建物の不動産を売却は大変だ

様々な思惑を各自抱えている子供たちの話し合いに委ねて、
うまく話がまとまるでしょうか?
※失礼ながら義理の嫁・義理の夫が横槍を入れがちです。
子供の頃、お年玉まで貰っていた古くからの入居者や親戚に
「売るから出て行ってくれませんか?」
なんてとても言い出せまんよね?

やはり、昔からの付き合いがあり今までの経緯を知っている親自身が問題解決するのが一番なんです。

特に気をつけてほしいのが、相続登記が未完了の不動産です。

意外と多いのが、親の以前の相続の手続きをせず、そのまま放置された不動産です。
「まあ、そのうちに・・・」とズルズル数十年も放置されていることって珍しくないんです。
私も相談を受けて、登記簿謄本を見ると「◎◎又兵衛」なんて名前が?(汗)
相談者に質問すると「何十年も前に亡くなったおじいちゃんです」と回答がありました。
売却に関しては、おじいちゃんから亡くなったお父さんの名義に変えて、それから相続人に変えなくてはいけません。
「おじいさんの時の相続人は叔父さんも叔母さんもいますがご存命ですか?」

「叔父はすでに亡くなっていますし、
 叔母は認知症で老人ホームらしいですがもう何年も会っていませんし、
 従兄弟の連絡先も亡くなった親父しか知りませんが何か?」

不動産相続対専門士

こん状況での不動産売却の相談を受けるといつも冷や汗が止まらない私です。
おじいさんの相続人であるお父さん・叔父さん・叔母さんがご存命中であれば
「名義を死んだジイさんからわしに変えるから印鑑を押しておくれ!」
の電話1本で相続登記も済むケースがほとんどなんですが、既に亡くなっていたり認知症だったりすると従兄弟同士でおじいさんの時の相続の話をまとめなければいけないのです。
もう、何十年も前の相続の話(産まれていないかもしれませんね?)誰も証明できません。

誰も知らない昔の相続の話

不動産相続対専門士

親が元気なうちに、または認知症や亡くなる前に
不動産などの資産整理が大事なこと、
わかっていただけたでしょうか?。

相続前に親が不動産の整理をするのが大事

「登記名義人は誰?」と心配な方はこんなお手伝いもしています。
実家の登記名義は誰?親の借金などの抵当権?相続登記はきちんとできている?

実は子供も欲しくない不動産も多い

恩着せがましく相続を迫る親恩着せがましく相続を迫る親

この不動産は、わしが大事に守ってきた土地じゃ!
おまえたちに相続させるつもりだから、
ありがたく頂戴しなさい!

親の土地なんていらない子供登場人物A親の土地なんていらない子供

親父、言いににくいんだがこんな土地なんていらないよ!
離れて暮らす俺たちは家もあるし、
将来、田舎に帰って暮らすわけでもないし。

親の土地を相続したくない子供

相続後すぐ売却される親が必死で守ってきた不動産

私のもとには、相続財産の売却の依頼もよくいただきます。
その多くは相続前ではなくて、ほとんどが相続後の物件ばかりです。
これがなにを意味しているか?おわかりですよね?

相続前に売却するほうがいろいろ有利な点も多いです。
そのへんもしっかり理解しておいてくださいね。

参考記事
親が70歳を超えたら、実家を売却して引越しを勧めなさい

不動産を売らせない先祖伝来という呪縛や親戚の目

昔からの近所の眼や親戚筋の顔色を伺う方もいらっしゃいます。
やっぱり先祖伝来と代々受け継いできた土地を売却するのに、それが気がかりと言う方も多いのですが、私個人的にはこの言い訳ならみなさん納得されるんですけどね。

親戚へ言い訳をする親親戚に説明する親

いやぁ、実はうちも相続でいろいろ大変でしてねぇ・・・
それで仕方なく売りましてん!

近所のおばちゃん近所・親戚

あら、そうなんですか。いろいろと大変そうで・・・・
うちの家も大丈夫かしら?とにかく頑張ってくださいね!