相続の相談を受けた時「あいつはもう何十年も行方不明なんです!」と言われることが多いのだが

行方不明・失踪
実家の売却や不動産登記名義の変更などはもちろんさまざまな相続の手続きでは相続人全員の署名と実印での押印の書類が必要になります。
そこで私のほうにも相続した不動産の売却や名義変更のご相談を受けた時に
「この戸籍謄本を拝見するとあなた意外にも相続人がいます。この◎◎さんの印鑑と署名も必要なんですが?」
と質問すると
「◎◎はもう十年以上前から行方不明です。
 失踪宣告の申し立てをしたほうがよいですかね?
 確か7年間行方不明ならいけたとネットで調べました」

と言われる方も多いです。
でも、にわか仕込みの知識はあまりあてにはなりません。

失踪宣告とは連絡のとれない相続人を死亡扱いにする手続きです

この失踪宣告とは、家族の中である人が一定期間生死不明となっている場合に家庭裁判所に失踪宣告の審判を申立てて死亡したものとみなし、財産関係や身分関係につき死亡の効果を発生せる制度です。この「死亡したとものとみなす」という意味は、法律上死亡したものとして取り扱うということです。
まあ、一般的な失踪は「普通失踪」と呼ばれ行方不明の家族の生死が7年間明らかでないときとされています。(民法30条1項)
これは裁判所に失踪宣告の申し立てを行い認めたもらわねばいけません。

泣く江本

でも、本当に「行方不明・失踪・蒸発した」といわれますが真剣に探されましたか?



意外と戸籍の付表なんかで簡単に住所がわかることも多いのです

笑顔の江本

みなさん、本当に居所を探すことをしていないケースが多いです。
もちろん、本音は
「もう会いたくない!」
「口もききたくない!」
というのが失踪宣告を考える一番の理由だとは思うのですが
そんな理由で裁判所は失踪宣告を認めてはくれません。

とりあえず、こちらの実例をお聴きください。
もう何十年も前に出て行った夫との離婚手続きをしたいがどうればいい?というご相談です。


戸籍の附票には住所の変更履歴が記載されています。

本籍地に戸籍謄本が管理されていますがそれと戸籍には附票というものがあります。
そこには他の市町村で住民票の住所を移動した時もきちんと戸籍の附票に記載されるのです。
こんな感じです。

戸籍附票
名古屋市名東区の区役所のHPより

もちろん戸籍は本籍地の市町村の役所が管理していますから本籍地を移せば本籍地変更後はその本籍地の市町村がまた戸籍の附票を管理します。
ただ、行方不明・失踪・蒸発した本人が本籍地を移すことはあまりないように思いますし家族なのですからそこから追いかけて調査することも可能ですよね。
この現代社会において住民票は社会生活を営む上で必須です。
どこかで部屋を借りたり携帯電話を購入したりと何かしら現住所を証明する書類は必須です。
そのため住所を失踪前の住んでいた住所を今の居住地に変更することはよくあることです。
「もう、どこにいるかわからない?連絡先もわからない?」という方がいても意外と戸籍の附票に現住所が記載されていることが何度もありました。
ご参考までに大阪市での戸籍の附票の申請方法をリンク張っておきますね。
大阪市の戸籍の附票の写しの交付請求

「会いたくない」「話したくもない」というお気持ちはよくわかりますがそれでは相続の手続きが始まりません

笑顔の江本

調べれば簡単にわかってしまった行方不明・失踪・蒸発した家族の現住所ですが、ここからが足が重い?憂鬱になる?お気持ちはよくわかります。
何十年も一度も会わなかった
もう迷惑をかけられっぱなし
などなど過去の経緯はよくわかりますが法律で相続の手続きをするにはもう白黒つけるしか方法はないのです