生き別れた兄弟や親
生き別れ・・?
「今の時代にそんなテレビドラマみたいなレアなケースってあるんかいな?」
と感じる方も多いみたいですが現実には本当にたくさんあります。
実際に私のほうににもそれによく似たご相談がたくさんあります。
例えば親が離婚してどちらかの親に引き取られた後、一切交流が無くなってしまった。
例えば親が子供を勘当して家から追い出し、その後一切交流が無くなった。
例えば様々な理由(金銭問題?借金?)で蒸発?その後行方不明に。
などなど現在でも生き別れのケースは多いんです。

生き別れた親や兄弟や我が子に一度だけでも会いたい

さまざまな事情や理由で生き別れてしまった親兄弟
それでも一度は会ってみたい?と考えるのは当たり前の気持ちです。

両親の離婚という大人の事情で生き別れになってしまう親子・兄弟姉妹ってたくさんいます。
私の同世代(50歳後半)の知り合いが大病をしました。
その時に自分の死というものが現実に思えた時(今は元気に回復)
ふと生き別れの親父のことを思ったそううです。
彼の両親も昔に離婚してその後何十年も会っていない生き別れの状況でした。
残念ながらお母さんもすでに癌で亡くなられ、今度は自分に大きな病気が発覚。
その手術もうまくいき無事に職場復帰されました。
でも、ふと「親父、どうしてんねやろ?」と思ったそうです。
自分も今は子供がいる親の立場になった今になって「会ってみよかな」と思ったそうです。
そこで人づてにお父さんの住所を調べて訪ねたそうです。
残念ながらすでにお父さんはお亡くなりになられていて再婚された奥様(ご高齢)からお墓の場所を教えてもらって初めてお墓詣りした!
という話を聞きました。
交流が一切ないと亡くなったこともわからないのですね・・・(涙)
まあ連絡しようにも連絡先もわからないですから・・・(汗)
若いころはそんなことなんて考えなかったのに歳を重ねると考えや感じることも変わりますもんね。

またこんな風に「自分も高齢になり死ぬまでに一度でいいから生き別れの弟と再会したい」と願う高齢のお姉さんの相談例もあります。

生き別れになる理由に「金銭問題」もよくあります。
でも、「行方不明で連絡先もわからない?」と思っていても戸籍の調査で意外と簡単に居所はわかるものですよ。

生き別れの親兄弟に今さら会いたいなんて思わない!

「生き別れになった親や兄弟に一度だけでも会いたい!」
と思う方もいれば
「どこでなにしているのか?どころか顔も知らないのに今さら会ってもねえ・・・」
という方もいます。

笑顔の江本

くも両親がともに再婚同士
異母兄弟。異父兄弟がいます。(昔の一度会ったきり)
さまざま事情でその後一切の交流はありません。
まあ、僕の場合は「会いたい」とも思いませんし、むこうも「会いたい」とは思っていないでしょうね。
※そのあたりの事情はここでは言えませんが・・・

相続手続きのために生き別れの親兄弟たちと会わなければいけない時が来る!

遺産分割案に合意する
しかし、いつか生き別れの親や兄弟に嫌でも連絡する!会って話をする!そんな時が来ます。
こちらから住所や連絡先を調べ上げてでも生き別れの親兄弟に連絡や会って話をしなければいけない時がやってきます。
そうです。
相続が発生した時です。
相続手続きは法定相続人全員の署名や捺印が必要になるからです。

私は相続不動産の売却専門の不動産会社ですが、実はここで大きな壁にぶち当たることが少なくありません。相続する不動産の売却にはまず相続登記をしなければいけません。亡くなった親名義のままでは売却はできないのです。
そこで相続登記の依頼をした司法書士が法定相続人を調べて各相続人に連絡を入れます。
まあ、多くは郵便のお手紙になるのですがそこに遺産分割協議書を郵送し実印と署名と印鑑証明書や住民票を送り返してもらうのです。

いきなり一度も会ったことがない生き別れの兄弟たちから遺産分割協議書が送り付けられてきたら?

では実際に「生き別れで交流のない兄弟たちからいきなり遺産分割協議書が送り付けられてきた方」の相談例をお聴きください。

このケースも相手方は「法定相続分はきちんとお渡しいたします」と良心的なことを言われています。
(多くの場合は「だまってハンコ押して返送して」なんですが・・・)
それでもやはり会ったこともない生き別れの兄弟たちからいきなり遺産分割協議書が送り付けられてきたら不安になりますよね。
しかも今回の評価額はわずか500万円程度で大きな不動産ではないようです。
それでも他の兄弟は「わからないから印鑑証明署なんて出せない!」なんて言われています。

泣く江本

そうですよね・・・
わかります。
会ったこともない生き別れの兄弟たちからいきなり遺産分割協議署が送り付けられてきたら驚きますよねぇ・・・
でも、私が困るのは「そんなんほっときぃ」となんのアクションも起こしてくれない場合なんです。
まあ、ご近所であれば私が実際にご説明しに行くこともできますがこれが飛行機や新幹線でないといけない場所では厳しいです。
またその相続するご実家の売却価格も数百万円(私の手数料は十数万円程度)だとそんな経費も捻出できません。

生き別れの家族の遺産相続は今までの親子関係・兄弟関係の清算です

親子の仲直り

笑顔の江本

私はいつも「遺産相続は今までの人間関係の清算ですよ」とご説明しています。
清算しておかないとその問題は子や孫の世代までずっとズルズルと持ち越されてしまうのです。

親が離婚して生き別れになった子供と会っておく

もしあなたが相続をさせる側なら離婚されて再婚されているなら先妻(先夫)の子供と相続のことについて話しておく必要があります。もしくはきちんと遺言書を書いておく必要があります。
できることなら何かの機会にきちんと離婚になった経緯や事情を直接話しておいたほうがよいかもかもしれません。なぜなら別れた妻からさんざん尾ひれのついた悪口を聞かされて生き別れの親に逆恨みを持っている?というケースも少なからずあるのでう。
(こっちはこんなに苦労してきたのにそっちはヌクヌクと幸せそうに・・・)
そんな場合には相続手続きに協力はなかなかしてもらえないこともよくあります。
特に少しでも遺産を残すほどであれば経済的格差がある場合も多いです。

遺言書を書いても遺留分という最低限保証された相続権が残ります

きちんと先妻(先夫)の子供と話をして今の状況やお考えを伝えておくことももし可能ならばよい方法です。なぜなら遺言書をきちんと書いていても生き別れの相続人には『遺留分』という最低限保証された相続権が残るのです。

遺留分

通常は法定相続割合の半分
ただし遺留分侵害を知った時から1年以内、もしくは相続発生から十年で消滅
相続人が被相続人の兄弟姉妹の場合は遺留分はない。

「先妻の子供に相続放棄させるように一筆書かせたらええんでっしゃろ!」という親父さんもいましたが生前に相続放棄を約束させることはできません。ただ家庭裁判所に遺留分放棄の申し立ては可能ですが長くなるので別の機会にします。

生き別れの親兄弟の家族と関わりたくないなら相続放棄

生き別れの兄弟姉妹がいてももう会いたくないし関わりたくもない?
そうお考えなら生き別れの親兄弟の死去をしったならすぐに相続放棄の申し立てを家庭裁判所にしてください。(3か月以内)
相続放棄の申し立てはそれほど難しい手続きではありませんし、家庭裁判所に行けば親切に説明してくれます。
相続放棄申述書01

「たとえ遺産があるなら貰えるものは貰う?」
と思われるかもしれませんが生き別れの親の生前のことはよくわかりませんから負の遺産(借金)も相続するかもしれませんからお気を付けください。
また、たとえ生き別れの親兄弟であっても最後まで介護をしてくれた兄弟に感謝の気持ち
もし今のあなたが少しでも幸せならの向こうの家庭の事情も考えてあげて協力してあげることはできませんか?