「知らなかった?」では済まされない!相続放棄は3ヶ月以内にしなければならない

a0002_007861

相続放棄という言葉をご存知でしょうか?

相続は遺産がもらえるだけではなくて
負の遺産 つまり借金も相続することになるのです。

しかも、この判断は
相続開始を知った日から3ヶ月以内に申請しなければいけません。

ところが意外とこの負の部分に無頓着な方も多いのです。

それには色々な事情があります。

既に両親が離婚していて、被相続人(亡くなった方)との交流が途絶えていた。
あるいは、再婚していてほとんど交流が無かった。

そんな交流のない状態では、相続財産の把握も難しいですよね

そんな事情もよくあります。

「亡くなった親父にそんな借金があったなんて知らなかった!」

ただ、それだけでは大変なことにもなりかねません。

警鐘の意味もこめて少しお話しておきます。

長年交流の無かった亡父の借金の返済を迫られた!

a0006_002418

こんなケースで考えてみましょう

【想定例】(フィクションです)
亡くなった親父とはもう何十年も会っていませんよ。
私の母と親父は、私が産まれてすぐに離婚しましたしね。

離婚の理由?
さあ?
それは母に聞いてくださいよ。
といっても、既に母も3年前に亡くなっているから不可能ですけどね・・・・
確か 父の女性関係や父親側の実家ともめたらしいとは聞いていましたけど
その辺の大人の事情はわかりません。

何か工場を経営していて、そこそこ裕福な実家だったようです。
その後 父は再婚をして離婚をしたらしいです。
女性関係も色々 トラブルがあったらしいですよ
他に子供はいなかったらしいです
えっ?
「らしい??」っておかしいですか?
だって、母は父の事を毛嫌いしていましたから、母は一切 父との交流を絶っていました。
しかも、父からの援助は一切 受けることなく私を女手ひとつで育ててくれましたし
何不自由なく人並みに育ててくれた母には感謝しています。
もちろん、父の方からも
実の子である「私に会いたい!」なんても言ってきませんでしたしね。

ただ、親父が亡くなった知らせは親戚筋から教えていただきました。
さすがに血の繋がった親ですから、葬儀には出席しました。
でも一般参列者の席からですけどね・・・



正直 何十年も会った事の無い父でしたから
あまり悲しみの実感はわきませんでした。
喪主は同居していた女性がされていましたが、内縁関係で籍はいれていないようでした。
晩年は父の事業もこの不景気で大変だったようで、
この女性の方もご苦労されたようです。

そんな状況でしたから、父の遺産相続などの話などせず
一般的な世間話で葬儀は終わりました。

かなり質素な葬儀でしたので、
父には特に多くの遺産などあるとは思えず、
また私もそんなものを当てにするつもりはありませんでした。
2a0eb16056c5573985c9fc3ba91f3c8e_s

父の葬儀から数ヵ月後 銀行から「借金を返せ!」と連絡が・・・・

a0008_001796
父が亡くなってから半年ほど過ぎた頃
いきなり銀行から
「あなたのお父さんに5000万円の貸付があるので、
 相続人であるあなたに返済して欲しい!」
と連絡がありました。

銀行は戸籍などから法定相続人である私を探し出たようです。

寝耳に水の私は、

  • ・父と母は数十年前に離婚していること
  • ・離婚後 父とは一切 交流が無かったこと

など今までの経過を全て説明しました。

しかし、銀行側は

「既に相続放棄の可能な熟慮期間は経過している。
 あなたは息子として、父親の財産を相続したことになる。
 法的には支払ってもらわなければならない!」

そんな不条理なことを言っています。

相続放棄の手続きをしていなければ亡父の借金も支払わなければいけないのか?

遺言書などが存在しない時
被相続人(亡くなった父親)の相続財産は、法定相続人が法定相続分に従って相続することになります。
父親と同居していた女性が籍を入れていない内縁関係であれば、相続権はありません。

その場合、子供が法定相続人となりの遺産を相続することになります。
この場合 プラスの遺産(現金 預金 不動産など)とマイナスの遺産(借金など)
両方を相続することになります。

借金返済を迫ってくる銀行の言うとおり
現金 預金 有価証券 不動産などの【プラスの財産】だけではなくて、
【マイナスの財産】(保証債務・借金など)【マイナスの財産】も相続することになります。
ですから、もし遺産のトータルが
相続財産よりも負債の方が多い場合、
相続人は、親から承継した負債を承継し、返済しなければならない
ことになるわけです。

親が勝手に作った借金を相続人である子供が必ず返済しなければならないというのは
相続人には酷です。

そこで、相続放棄という制度があり
相続人は、相続を自らの意思によって放棄することもでき、その場合には初めから相続人にならなかったものとみなされます

また、限定承認というものもあり、
相続人が遺産を相続する場合には相続財産を責任の限度範囲として相続すること、
簡単に言い換えると、
相続財産をもって負債を弁済した後に、余りが出ればそれを相続できるものです。

しかし、この相続放棄・限定承認の相続は3ヶ月以内にしなければいけない。

相続放棄または限定承認をするには、
相続人が自己のために相続の開始のあったことを知った時から3か月以内に行う必要があります。
もし、この期間内に相続放棄または限定承認をしなかった場合には、
自動的に、相続を承認したことになってしまいます

父親が亡くなった知らせを受け、その葬儀にも出席しているということは、
「相続人が自己のために相続の開始のあったことを知った時」とは
父親の死亡を知らされた時と認定できると考えられます。

その時点から3か月の熟慮期間を経過した後では、
原則として相続放棄又は限定承認はできず、
相続人である子供は、相続について単純承認したことになると考えられます。

そのため、銀行が
父親の借金の5000万円を子供に弁済を求める!
ということもできるということです。

3か月以上経過していても相続放棄できる場合がある

ただ、様々な事情を斟酌して裁判所も例外を認める場合もあります。

「熟慮期間は、原則として、相続人が相続開始の原因となる事実及びこれにより自己が法律上相続人となった事実を知った時から起算すべきものであるが、相続人が右各事実を知った場合であっても、右各事実を知った時から3か月以内に限定承認又は相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の事情からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において右のように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が前記の各事実を知った時から熟慮期間を起算すべきであるとすることは相当でないものというべきであり、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算すべきものと解するのが相当である。」
(最高裁判所昭和59年4月27日判決)

  • 父親と30年以上 別れて暮らしてきた事実
  • その間 一切 交流も無く、連絡も取り合っていなかった事実
  • 同居していた女性からも遺産(資産や負債など)についても全く伝えられなかった事実
  • 銀行からの請求で初めて父親に債務があったことを知った事実

などなど諸般の事情を考慮すれば
熟慮期間の起算日(「相続人が自己のために相続の開始のあったことを知った時」)は
銀行から借金の弁済を求められた時
と認定されることもあります。

参考判例(1)(広島高等裁判所昭和63年10月28日決定)

参考判例(2)(高松高等裁判所平成20年3月5日決定)
相続債務について調査を尽くしたにもかかわらず、債権者からの誤った回答によって、債務が存在しないものと信じて限定承認または放棄をすることなく熟慮期間が経過するなどした場合には、相続人において、遺産の構成につき錯誤に陥っているから、その錯誤が遺産内容の重要な部分に関するものであるときは、錯誤に陥っていることを認識した後、改めて民法915条1項所定の期間内に、錯誤を理由として単純承認の効果を否定して限定承認または放棄の申述受理の申し立てをすることができる

とにかく、こんな場合には速やかに専門家(弁護士など)に相談する必要があります。

三ヶ月なんてあっという間にすぎてしまいますから・・・・!

相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない

相続放棄をするにあたっては、その申し出を家庭裁判所にしなければいけません。

必要な書類は

  • 相続放棄申述書
  • 相続人の住民票除票又は戸籍附票
  • 申述人(放棄する人)の戸籍謄本
  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本等

などがが必要になりますが、詳細は家庭裁判所に問い合わせやホームページでご確認してください。

くれぐれも
相続がおこった?
あるいは
相続がおこりそうだ?
という時には
迅速に行動を起こすことが大事です。

少々酷ではありますが、悲しみにくれている時間はないのです。

相続トラブルの多くはこの面倒くさい!が原因のことが多いんです!

こちらの記事もご参考にしてください。
借金

まずはお気軽にご相談ください!(相談無料・秘密厳守)

06-6787-4055 (受付時間 平日9:00~18:00)水曜日定休

【対応エリア】 住み替えや実家の売却⇒関西一円
老人ホーム無料紹介⇒大阪市内、東大阪市、八尾市、柏原市(その他のエリアもご相談可)
親の介護や不動産の相続で不安や悩みのある方へ