相続トラブルになってしまったがどうにか解決できる方法はないか?
そんなご相談が多いのですが残念ながら双方が100%満足できる解決法はありません。
相続で誰かが『得』をすれば誰かが『損』をしますから仲良く円満解決はできません。
これが真実です。
そこで考えられる相続トラブル解決法
「裁判・調停してでも争う!」
「きれいさっぱり遺産など諦める!」
「妥協して落とし所を探る!」

しかありません。
そこであなたはどんな決断をしますか?
相続トラブルの解決法はただ感情的になっていてはなにも解決しません。
あくまで冷静沈着に考えないといけないのです。

相続トラブル解決法①裁判・調停してでも争う?

家庭裁判所
相続トラブル解決法は裁判・調停してでも徹底的に争う?
とお考えの方への注意点です。

今までの経過や経緯などの事情を相手がまったく考慮してくれない!
いくら相続の話をしようとしても相手がまったく応じてくれない?!
「こうなったら裁判や!」
というお考えかもしれません。

でも、ちょっと冷静になってくださいね。
法律とはそれを正しく理解している者には優しく、知らない者には時に残酷なものなのです!

裁判・調停でも法定相続割合を覆すのは至難の技

笑顔の江本

まずは他の相続人から法定相続割合通りの遺産分割案を主張されて悩んでいる方に知っておいて欲しいことをお話しますね。

法律では子供たちは全員同じ相続割合です。
ただこれは「平等に分けなければならない!」という意味ではありません。
相続での遺産分割は相続人全員の話し合いで決まればどんな遺産分割の仕方でもかまわないのです。
でも、時に相続人全員の遺産分割の考えがまとまらないこともあります。
遺言書の無い遺産相続では誰かひとりでも反対したらもう簡単にはいかないのです。
そこには
長年にわたって親と同居してきたら?
親の介護など世話をみてきたから?
遺産は私たちが多くもらって当たり前!
とあなたは思うかもしれません。
しかし他の相続人との意見や考えの違いからいっこうに遺産分割の話がまとまらないのではらちがあきません。最終手段として家庭裁判所に調停を申し立てて第三者に判断してもらうしかないところまでこじれてしまうのも少なくありません。
ただ、私もさまざまなご相談を受けますが
遺言書」でも無い限り「法定相続割合」を覆すのはそう簡単な話ではない
のです。
それが家庭裁判所の調停にまでなったとしてもなんです。

裁判・調停でも特別寄与分はなかなか認められない

「そんな親の介護もまったくしてこなかった子供と24時間365日献身的に親の介護をしてきた子供と同じ相続割合だなんて到底納得できません!」
きっとそんなお怒りをあなたは持っているかもしれません。
「寄与分っていうのがあるだろう!そう特別寄与分というものが!」
となまじ聞きかじった法律用語をひけらかすかもしれません。
ただ残念ながらこの寄与分 最初に「特別」という言葉がついているのにお気づきですか?
この「特別」というのは尋常ではないくらい!?という意味合いが強いのです。
普通に「親と長年同居してきた!」「親の介護の世話をしてきた!」ではなかなか認めてもらうことは難しいことを覚悟しておいてください。

民法第904条の2〔寄与分〕
①共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定によつて算定した相続分に寄与分を加えた額をもつてその者の相続分とする。
②前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
③寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した額を超えることができない。
④第2項の請求は、第907条第2項の規定による請求があつた場合又は第920条に規定する場合にすることができる。

確かに法律ではこう定義されています。
ではその判例はどうなっているのでしょうか?

大阪高等裁判所平成19年12月6日決定(出典:家庭裁判月報60巻9号89頁)
遺産分割及び寄与分を定める処分審判に対する抗告審において,被相続人の死亡まで自宅で介護をした申立人の負担は軽視できず,申立人が支出した費用は,遺産の形成維持に相応の貢献をしたものと評価できるが,遺産建物の補修費関係の支出は,被相続人と同居していた申立人自身も相応の利益を受けており,申立人の寄与を支出額に即して評価するのは建物の評価額からすると必ずしも適切ではないこと,農業における寄与についても専業として貢献した場合と同視できる寄与とまでは評価できないことなどから、寄与分を遺産総額の30パーセントと定めた原審判を変更し,遺産総額の15パーセントと定めた

大阪家庭裁判所平成19年2月26日審判(出典:家庭裁判月報59巻8号47頁)>
被相続人に対する介護を理由とする寄与分の申立てに対し、申立人の介護の専従性を認めた上で、申立人が被相続人から金銭を受領しているものの他の相続人らも同様に金銭を受領していた事実があるから、その介護の無償性は否定されず、寄与分を評価する上で評価すべき事情としてその他の事情と併せ考慮し、申立人の寄与分を遺産総額の3.2%強である750万円と定めた。
2 被相続人が所有していた資産を運用し、株式や投資信託により遺産を増加させたことを理由とする寄与分の申立てに対し、株式、投資信託による資産運用は利益の可能性とともに常に損失のリスクを伴うことから、単に株価が偶然上昇した時期を捉えて被相続人の保有株式を売却した行為のみで特別の寄与と評価するには値しないではとして、寄与分の申立てを却下した。

大阪家庭裁判所平成19年2月8日審判(出典:家庭裁判月報60巻9号110頁)
被相続人に対する身上監護を理由とする寄与分の申立てに対し、被相続人が認知症となり、常時の見守りが必要となった後の期間について,親族による介護であることを考慮し、1日あたり8000円程度と評価し、その3年分(1年を365日として)として,8000円×365日×3=876万円を寄与分として認めた。

いかがですか?
100%主張した寄与分が認められるのは至難の技なのです。
数百万円とか遺産の1~2割とか?1日あたり数千円とか?
認められてもこの程度なんですね。
また特別寄与分が家庭裁判所に認められる割合も10件に1件程度とも言われています。

しかもあなたは
・親はいつから認知症になったのか?
・介護認定はいつ受けたか?
・どこの病院にどんな病気でかかっていたか?
・あなたはどんな介護をしていたのか?
これらを客観的証拠を提出して具体的に説明しなければならないのです。
もう一度言いますね。
「ただ親と同居していた?親の世話をしていた?」では特別寄与分はなかなか認めてはくれないものなのです。

調停にかかる費用は少ないが問題は弁護士費用ですよね?

調停申し立ての費用などたかが知れています。
でも気になるのは相手が弁護士を立ててきたらどうします?
やっぱりこちらも弁護士を立てて対抗しないといけないかも知れません。

その時に弁護士費用は気になります。

裁判・調停での弁護士の相談費用の目安

弁護士に相談する時に不安なのは弁護士費用ではないですか?
今は弁護士報酬規定も自由化されて弁護士によって相談費用は異なります。ただ日本弁護士連合会が以前に定めていた「旧)弁護士報酬規定」がひとつの目安となるでしょう。

法律相談
相談料は30分ごとに5000円から2万5000円の範囲内の額
訴訟事件
■着手金
事件の経済的利益の額が300万円以下の場合:(経済的利益の)8%
300万円を超え3000万円以下の場合:5%+9万円
3000万円を超え3億円以下の場合:3%+69万円
3億円を超える場合:2%+369万円
※事件の内容により、30%の範囲内で増減額できる
※着手金の最低額は10万円
■報酬金
事件の経済的利益の額が300万円以下の場合:(経済的利益の)16%
300万円を超え3000万円以下の場合:10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の場合:6%+138万円
3億円を超える場合:4%+738万円
※事件の内容により、30%の範囲内で増減額できる
調停および示談交渉事件
■着手金・報酬金
上記の訴訟事件に準じる。
ただし、それぞれの額を3分の2に減額できる
※示談交渉から調停、示談交渉または調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は②の2分の1
※着手金の最低額は10万円
日当
■半日(往復2時間を超え4時間まで)
3万円以上5万円以下
■1日(往復4時間を超える場合)
5万円以上10万円以下

遺産分割における「経済的利益」とは、依頼者が相続する遺産の時価相当額と考えておいたほうがよいでしょう。ただ「分割の対象となる財産の範囲および相続分について争いのない部分」については、その相続分の時価相当額の3分の1の額になるようです。実際に弁護士費用は最終までわからないものですがそのあたりを曖昧にすると後で困ることになるのでずばり「先生、その場合の報酬金はどれくらいになりますか?」と担当弁護士に確認しておくことをお勧めします。

仮に依頼人の経済的利益が3000万円程度とすると
最初の法律相談数万円
着手金約160万円
報酬金約320万円
その他に裁判や調停に出廷するごとに数万円・・・
確かに争いのない部分は減額されますがそれにしてもかなりの金額になりますね。

裁判・調停での弁護士費用(相続遺産の1割から2割)まで支払って、時間も労力もかけてまで争う価値があるのか?

失礼ながら私にご相談をされる方のほとんどがウン億円の遺産の方はいません。
ほとんどがそれほど大きくは無い遺産の方ばかりです。
そんな方々で高額な弁護士報酬を覚悟して時間も労力もかけてまで争う価値があるものかどうか?
慎重に決断してて下さいね。
確かに「ゼニカネの問題やない!気持ちの問題なんじゃ!」とお怒りの方もたくさんいますけど・・・

裁判・調停で不動産の売却は競売尾方式で安値になる

遺産に不動産がある場合は特に気をつけねばなりません。
仮定として、遺産のうち現金預金が500万円、不動産が3000万円あるとします。
相続人は子供2人とします。
そうすると子供のひとりに現金を全部渡してもきっと納得はしてくれない可能性が高いですよね。
このように遺産に不動産が含まれている場合はどうしても分けることが難しくなります。
そこで家庭裁判所は「売ってそのお金を分けなさい!」という調停委員から審判を下されるかもしれません。
その場合の不動産の売却方法は普通の売却ではなく、いわゆる「競売」という形がとられてしまいます。
この「競売」という形では一般の購入者は参入できずどうしてもかなり安値で不動産を売却すことになることも知っておいてくださいね。

裁判・調停のための親の遺産を調べ上げるのは大変であることを覚悟してください

今度は「遺産を独り占めされそうだ!遺産を隠された!」というお悩みの方に知っておいて欲しいことをお話します。

遺産相続トラブルで多いのが「遺産隠し」を疑ってしまうケースです。
これって結構難しい問題なんです。

遺産が不動産ならば隠しようもないのですが現金や預金だとちょっと骨が折れるんですね。

「亡くなった親の通帳を見せろ!」
「どうして見せなきゃならないのよ!」
と水掛け論が始まります。
これを法的に強制的に開示させるのはなかなか難しいです。
家庭裁判所は警察ではありません。
証拠は自分で探し出して証明しなければならないのです。

亡くなった親の銀行の預金を調べるのなら「どの銀行のどこの支店」までわからないいけません。
そこの銀行支店にまで直接出向いて行って預金名義人の相続人であることを証明(戸籍謄本など)し亡くなった時の残高証明や過去の取引履歴を入手しなければなりません。その手続きも煩わしく費用も時間もかかります。
銀行や支店がわからないなら考えられる銀行支店に出向いて片っ端から調べ上げないといけませんがかなり大変です。

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相続トラブル解決法②裁判・調停などせずさっさと遺産は諦める

遺産を諦める
相続トラブル解決で「さっさと遺産なんか諦める?」という場合もあります。

ただ、諦めるといっても二通りあります。
①相手が遺産を独り占めしている!
②相手が法定相続割合を主張して譲らない!
の二通りがありますよね。

相手が遺産を独り占めしようとしている
親と同居してきたから?
親の介護や世話をしてきたから?
さまざまな理由で相手が遺産を独り占めしようとしているのかもしれません。
相手が法定相続割合を主張して譲らない!
相手が「なにも余分に遺産を欲しいわけじゃない!子供はみんな平等な法定相続割合なんだから頭割りしようじゃないか!」と主張をしているかもしれません。
確かに法律では子供たちは同じ相続権としています。
でもそれでは今までの苦労が120%否定されるのと同じでとても納得できるものではないのかもしれません。

そもそも親の遺産を過大評価していませんか?

これは
「遺産隠しを疑っている?」
「遺産を独り占めされそう?」
という悩みや不安のある方に聞いてもらいたい話です。

実は親はそんなに遺産を残していないことも多い

「親の生前の暮らしぶりからすれば遺産が無いなんてありえない?」
「ひょっとしたら親の遺産を隠しているんじゃないか?」
そんな疑念が生じているかもしれません。

でもあなたは親の年金受給額を知っていましたか?
意外と少ない年金なので貯金を切り崩して老後の生活をしていた親も多いです。
「退職金」などが入ったりすると人はえてして気が大きくなりがちです。
旅行に行ったり?車を乗り換えたり?
そんな贅沢?をしてしまったのかもしれません。

老人ホームや毎月の介護の費用を知っていましたか?
意外と介護にはお金がかかります。

不動産が遺産にある場合、客観的にその価値を調べてみましたか?

「親が買ったこの家はウン千万円で購入した」
と聞いてはいても今の市場価値がそれだけあるかどうか?ははなはだ疑問です。
特にバブル時代は高騰していたのでその値下がり率は半端ないです。

今の市場価値を知っておくと
「まあ、実家がその程度しか価値のないのならこっちの遺産相続は諦めようか?!」
と納得できるかもしれません。

親の遺産って思ったよりも少なかったのなら諦めもつきませんか?

大山鳴動して鼠一匹
これ、私の相続のご相談でも珍しくはありません。
アレだけ大騒ぎした遺産相続争い
いざきちんと調べてみたら雀の涙しか無かった?
というケースも多いのです。
遺産隠し、遺産独り占めを疑われたほうにしても「遺産といってもたったこれっぽちしかないのだから他の兄弟たちに渡す分など無い・・?」という少し同情の余地もあります。

しかし、一度抜いてしまった刀を元に戻すのは簡単ではありません。
それが原因で兄弟姉妹関係がギクシャクしてしまうものです。

あなたに代わって介護をしてくれた兄弟に「ありがとう!」
遺産を欲しがる兄弟がいても「あなたは遺産目的で介護していたのではないはず?」

介護してくれてありがとう
親の介護を兄弟の誰かに押し付けていたことに心のどこかですごく罪悪感を感じていませんでしたか?
しかも介護って離れて暮らす子供からではその苦労はなかなかわからないものなんです。
介護には目に見えないお金が出ていくものです。
お金の問題だけではなく精神的・時間的に大きな負担を強いるものなんです。
だから「介護してくれてありがとう!」と今までの苦労に報いてあげるために遺産を諦めるのもひとつの決断です。

あなたも遺産目的で親の介護をしていたわけじゃないはず
介護の本当の大変さは他の子供たちにもわかってはもらえません。
だから「今までの同居の気苦労や介護の大変さをわかって欲しい!」と思っているのもわかります。
でも心優しいあなたが親の介護をしてきたのはきっと遺産目的だけではないはずでは?
遠く離れて暮らしていた子供にとって晩年の親の思い出は少ないものです。
盆暮れに顔を見るだけで晩年の親の暮らしぶりをすべて知ることはできません。
その点、最期まで面倒をみてきた子供であるあなたにはそれだけ親と長い間暮らせることができたのです。
きっと離れて暮らす子供よりもたくさんの思い出を作ることができたことはきっとあなたに「親の介護や看取りではできるだけのことはやりつくした!」という満足感を与えてくれると思います。これはすごく大きなものです。きっとお父さんやお母さんは天国であなたには本当に感謝していると思いますし、きっと兄弟姉妹が仲良くしていて欲しいと思っているものです。

本当に介護って大変でしたよね?
ボクも親の介護ではほんとうに心が折れそうになりました。
でも、最期の晩年にお母ちゃんとたくさん話せたことはとてもお金には換えれない思い出ができました。
そのことをあなたに思い出してもらうために「銀のさら」さんのCM動画を紹介します。

私の母は晩年認知症気味だったけど時々はしゃきっと元通りにしっかりすることもありました。
そんな時 僕の知らないことをたくさん話してくれました。
とても他の兄弟には伝えきれないけれど直にその話を母から聞けたことは私の一番のご褒美でした。

話の通じない相手を説得なんかできない

とはいってもきれいごとでは済まされないのが遺産相続なのは私もよ~く理解しています。
そもそも考え方が根本的に異なり価値観も違う相手に話し合って説得も納得も現実的には難しいものです。

泣く江本

いつもお話しするように相続では
「人は自分のしたことは過大評価をし、他人のしたことは過小評価する!」
ものなのです。
こればかりは人間の本性ですので仕方ありません。
どちらが正しくどちらが間違っているとはいえないのです。

納得できない理由は遺産の分配だけではないことも多いのです

こちらとしては真っ当な遺産分割案なのになぜ納得了承してくれないのか?
私もご相談を受けて時々わからなくなることがあります。
よくよくお話を聞いていると過去の経緯が原因のこともあります。
「兄貴は昔から親にえこひいきされてきたじゃないか?」
「姉さんは結婚の時 かなりの援助を受けだろう?」
とかいろいろ過去のしこりや不満が遺産相続で噴出すこともあるのです。
それも第三者からすると「えっ?そんなこと?」と感じることも多いのですがご本人にとってはそれは心の大きな傷であったりもします。

わからずやの兄弟姉妹と縁を切る手切れ金と思って諦める

常識では考えられない?人としての当たり前すら理解していない?
遺産相続で損をしたと感じるのなら、それを「わからずやの兄弟姉妹たちと縁を切る手切れ金」だと思っって遺産を諦めるできないでしょうか?
親子の縁は永久に切れないけれど互いに結婚独立しているのなら兄弟姉妹はもう他人の延長でしかありません。
両親共に亡くなった後はどんどん交流も少なくなっていくものです。
もう「そんな兄弟とは今後付き合わない!」と割り切ることはできませんか?

次世代にもめごとを引き継がせない

この遺産相続トラブルのゴタゴタを次世代のあなたの子供まで引き継がせますか?
次世代の子供たちもそれではいい迷惑です。
私も親世代の相続トラブルを引き継がされた子供たち(といってもかなりの年齢の方ですが)からよくご相談を受けますが、もはや収拾のつかなくてお手上げのことも少なくありません。
わずか数百万円の不動産に相続人が十数人 それも全国に散らばっています。
いくら相続専門の不動産会社である私たちでもひとりひとり説得や説明もビジネス的にはできません。

相続トラブル解決法③裁判・調停より妥協した遺産分割案を受け入れる

遺産分割案に合意する
相続の遺産分割で他の兄弟たちの言い分はわかるがもうちょっとなんとかならないものか?
そんな気持ちにもなるものです。
今までの経緯や事情をもう少しでも考えてくれたなら納得できることも少なくありません。
なにより血を分けた兄弟姉妹、これからもお付き合いがゼロになることはありません。
天国のお父さんお母さんも兄弟姉妹が仲良くしてくれることをきっと願っているとは思います。

いつまで経っても解決しない相続争いをこれからもずっと続けますか?

「なにがなんでも1円もあいつには遺産を相続なんてさせない!」
「法律でみんな同じ相続割合なんだから平等に遺産分割するのが当たり前!」
そんな風に100%自分たちに主張を貫き通すことでは遺産分割の話し合いは一向に進みません。

相続手続き(特に不動産の名義を変える相続登記など)は相続人全員の承諾が必要で誰かひとりでも反対したなら手続きはできません。そんなゴタゴタで何十年も相続トラブルが解決していない!?という方もめずらしくはありません。

どちらかが少しでも折れる?妥協する?ことで相続トラブルが一気に解決の方向に進みだすのも多いです。

相続は「損して得とれ!負けるが勝ち!」

もうそれこそ意固地になって争う方もいます。
でも相続のゴタゴタが長期間に及ぶとそれが原因で体調を崩してしまう方も少なくありません。
それだけ相続トラブルは精神的にも経済的にもきついものなのです。

勝ち取れるかどうかもわからない10年後20年後のの1000万円より今の500万円のほうが価値がある

相続では「勘定(お金)」よりも「感情(気持ち)」とも言われています。
でも、あえて「感情(気持ち)」よりも「勘定(お金)」を優先して欲しいです。

きっと今のあなたもそこそこの年齢になっているはずです。
今からどんどんお金(特に老後のお金)が必要になってきます。
たとえこれから10年後20年後にまでずっともめ続けても勝ち取れるかどうかわからない1000万円よりも今の500万円のほうがずっと価値があるのではないですか?

「平等な遺産相続」と「公平な遺産相続」の違いを考えてみてはいただけませんか?

「子供たちみんなが平等に相続しようといているのにどうして反対するの?」
そんなお考えの方もいるでしょう。
でも、「平等」=「公平」とはいえないケースもあるのです。

今までの介護や同居の苦労もあるかもしれません。
親からいろいろ援助されてきた?(えこひいき)みたいな過去の経緯もあるかも知れません。
そんな経緯や事情を総合的に判断して「公平な相続」で遺産相続トラブルをもう解決しませんか?

面子を立てる!説得するより納得させる

たくさん相続トラブルのご相談を受けてきた私がいつも感じることがあります。
それは
相続では「人は自分のしたことは過大評価し他人のしたことは過小評価する」
相続では「人は夫婦喧嘩よりも兄弟喧嘩を選ぶ」
ということなんです。

■相続では「人は自分のしたことは過大評価し他人のしたことは過小評価する」

特に親と同居して介護してきた子供と遠くはなれて暮らしてきた子供の相続トラブルの大きな理由や原因がこれです。
同居の気苦労や親の介護はした本人でないとわかりません。
それを外から客観的に評価することなどできないのです。

自分のしてきたことを過大評価する?
他人のしたことを過小評価する?
もうこれはどちらが正しくて悪いのかは外部の人間には誰も口出しのできることではないのです。

■相続では「人は夫婦喧嘩よりも兄弟喧嘩を選ぶ」

たくさんの相続トラブルの相談を受けてきて私が感じることのもうひとつは
「相続で一番怒るのは相続人以外の人」
ということです。

この「相続人以外の人」とはずばり「相続人の妻や夫」のことです。

「法律で同じ相続割合になっているのにどうしてお義兄さんたちがたくさん相続するの?」
と奥さんにガミガミネチネチと小言を言われているかもしれません。
「なんで同居や介護の苦労などまったく知らない別居していた義弟さんたちと同じ相続割合なの?」
と奥さんにガミガミネチネチと小言を言われているかもしれません。

すると24時間365日一緒に暮らす妻や夫と喧嘩することよりも相続人同士の兄弟喧嘩を選ぶものなのです。

笑顔の江本

私も遺産相続の根回しとして各相続人さんたちに個別にご説明に伺うのですが
「兄貴たちにはとても感謝しています。ぼくはそれでかまわないと考えているのですが、
 どうしても嫁がそれでは納得しないんです!」

と言われることもあります。
「失礼ですが奥さんはこの相続では部外者ですよ!」
とお話しすると黙りこくってしまいます。

だからこそ双方の面子を立ててあげることが大事です

どちらの言い分も正しいとも言えますし、このあたりは他人がとやかく言えることではありません。
だからこそ双方の面子を立てることが大事なんです。
法律では子供たちはみんな同じ相続割合です。
でも今までの親の介護や同居の苦労も少しは考えてあげないといけません。

双方が妥協できるポイントを探す

子供たちが3人なら法定相続割合は33%33%33%です。
そこを40%30%30%
そこを50%25%25%
と妥協できるポイントを探し出すことはできないでしょうか?

相続専門の私からの相続トラブル解決の追加のアドバイス


それでもなかなか相続トラブルの解決は難しいものがあります。
そこでいつも相続トラブルのご相談をたくさん受けてきている私からの老婆心ながらのアドバイスも聞いてもらえますか?

「言いだしっぺが損をする?」それが相続の話だから第三者を入れる

相続トラブルで一番大変なのが各相続人みんなの本音・本心を知ることなんです。
「相手はいったいどんな風に考えているのか?」
すでにギクシャクし始めた兄弟姉妹関係ではそれもうかがい知ることはできません。
できればご親戚か誰かを第三者に入れて相手の本音・本心を探ることができれば一番良いと思います。

わたしたちはこんなこともしていますからご参考にしてみてください。
円満スピーディーな遺産分割協議の相続ミーティング
介護や相続について家族みんなが本音で話し合う遺産分割協議
こんな風にだれかある程度相続に詳しい方を入れてお話し合いの場を設けてはいかがでしょうか?
私の経験上、最初から一気にお話はあまり進みません。
そこで一度お会いさせていただいた方々に個別の場でお話を伺ったりお電話でお話させていただくことによって本音や本心を教えてもらうことがあります。
まるで会社の重大会議の前の「根回し」のようにも感じています。(汗)

遺産相続トラブル解決は明快な判断材料を共有すること!
曖昧な話では相続の話は進まない

正直 遺産分割など直接お金に関わるお話ですから曖昧なことが少しでもあればなかなかお話は進みません。
法律のこと
調停や裁判にでもなった場合の予想される結果
そして特に不動産が遺産に含まれている場合はその価値を調べておくこと
などがあります。
そこで私は相続専門の不動産会社ですからその点はみなさんに重宝されています。

「この実家は◎◎百万円で売れるらしい!
 だから私が▲▲万円、弟や妹のお前たちには□□万円ずつ!
 こんな遺産分割案ではどうだい?」
とより具体的な遺産相続の仕方をご提示されてはいかがでしょうか?

それでもなかなか遺産分割の話が進まないことも多いです。
ですから私の場合は「この値段で購入させていただきます!」という買主を見つけてからみなさんにお話しすることも少なくありません。
それくらいしないとみなさん、なかなか本気にはなってはくれないのです。

たとえ同居していたご実家でも売却してスッキリと遺産分割することをお勧め!

たいていの場合、遺産の大部分が実家などの不動産です。
いくら私が「これくらいうの価値があります!」とご説明しても他の相続人からすれば一抹の疑念があるものです。まして「正直 売りに出してみないとわからない?」というのも私の本音です。

「相続は今までの人間関係の清算である!」と私は考えています。
大小はあれど今回の相続で多少はギクシャクしてしまった兄弟関係です。
あなたの言い分もあるでしょう
相手の言い分もあるでしょう
もうここで一度きれいにすっきりと清算すべきかもしれません。
それにはたとえ思いいれのある親の家(実家)であっても売却処分してスッキリ清算されるのも得策です。

実家など不動産を残したことで遺恨が再燃するかも?

不動産 もうバブルなんて時代は来ないと思いますがひょっとしたら・・・
いやいやそれどころか暴落する可能性も・・・・?
そんな不動産の価値は景気などに左右されてしまいます。
こればかりは致し方ありません。

もしバブルまでとは言わないけれど大きく値上がりしたら実家を相続した人としなかった人ではどのように感じるでしょうか?
もし暴落して価値が大きく値下がりしたら実家を相続した人と現金など他の遺産をもらった人とではどう感じるでしょうか?
「やっぱり損をした!」「失敗した!」と感じて再び遺恨の種を残すことにもなりかねません。

今の実家、あなたが親の介護で苦労したように今度はあなたの子供が苦労するかも?

昔の家ってあまり介護なんかのことを考えた造りではありません。
ですから高齢だった親御さんも晩年は暮らし難かったのではありませんか?
あなたもきっと親の介護では苦労したはずではないですか?
相続人であるあなたもすぐに相続させるほうになるご年齢ではないですか?

70歳を超えたら実家を売却して引越しを考えなさい

笑顔の江本

長々とここまでお読みいただいてありがとうございました。
遺産相続ではきっと腹に据えかねることもたくさなったことでしょう。
でも、それも相続です。
今回の相続トラブルを反面教師にしてあなたの時の相続ではそんなことが起こらないようきちんと対策を立てておいてくださいね。
またなにかお力になれそうなことがあればなんでも気軽に私のほうまでご質問ください。


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