高齢の親の財産管理は違法?(不動産も?)

親が高齢になれば、子供がそのお手伝いをすることは当たり前ですよね。
親のお金

「子供が高齢の親本人のためにしてあげていることのなにが悪いのですか?」

足腰が弱って、外出もままならない?
そんな高齢の親に代わって子供が
・銀行に行ってお金をおろしてくる
・日常の買い物
・電気代や水道代の支払い
・その他の支出
を行っていることが当たり前のことです。

しかし、気を付けないといけないのは
もし親が認知症にでもなってしまったら?
ということです。

認知症になれば、本人に物事の判断がつきません。
当たり前ですが、そんな認知症の親のお金や財産を管理することは
建前上はいけないことなんです。

そして、いつから認知症になっていたのか?
これが非常に悩ましい問題になるのです・・・・

ですから、親がしっかりしている間はよいのですが、
いつもどおりに親の財産管理をしていても
実はあのときにはすでに認知症になっていた・・・?
なんて判定されてしまうと大変な問題にまでは発展してしまうこともあるので
ご注意くださいね。

認知症はわかりにくい病気

「親ができないことを子供が手伝って何が悪いの?
        そんなことをいったってしょうがないじゃない!」

そう反論される方も多いのではないでしょうか。

でも、認知症って外からではなかなかわからない病気です。

同居している?
日ごろから介護など世話をしているあなたには、認知症の度合いが理解できても
別居で離れて暮らす他の兄弟姉妹にはその度合いがよくわかっていないこともよくあります。

「まあ、年相応の物忘れ程度だろ?
 とても認知症だなんていえるレベルじゃないよ!大げさな!」

そんな認識の他の兄弟姉妹も多いんですよ!

相続の時にもめる火種になります。

相続でもめる仲の悪い姉弟

親が亡くなって、いざ相続財産を調べてみたら、思いのほか少なかった!
「これはきっと同居で親の財産管理をしていた妹が隠してるんじゃないか?」
「亡くなった母さんが呆けていたのを利用して、きっとお金の管理を任されていた
 近所に住んでいる◎◎が好き放題に使い込んだにちがいない!」

そんなあらぬ疑いを、他の兄弟姉妹から相続の時にかけられることは珍しくありません。

あなたがよかれと思ってしていたことが裏目になることもあるのですよ!

現実によくある相続トラブルの実例も紹介しておきますね。

相続対策専門士江本圭伸この相続トラブルって本当に多いんですよ。
だから、相続でもめるのはお金持ちだけじゃない!
と私がいつも言っている理由なんですがね…(汗)

日ごろの介護の苦労なんて、口では
「ありがとう!感謝してます!」
と言ってくれていても
こと【お金】のことが絡んでくれば話は別です。

土地建物などの不動産は、認知症になってしまったら売れなくなります。

老後の生活や介護には、すごくお金がかかります。

老人ホームへの入所のお金
日ごろの介護のお金
病院代など治療費や入院費

いろいろ物入りなんですね。

そんな時、現金がたくさんあればよいのですけど
もし不動産以外にめぼしい財産が無かったら
老後のお金はどうしますか?
介護にかかるお金はどうしますか?

実家

「親の実家を売る?」

それには持ち主である親の明確に意思確認ができないと売れません。

いくら推定相続人全員の了承がとれていてもです。

新しい買主が不動産の名義を変える登記には
売主(親)の明確な意思表示を自分自身の自署が必要です。
※これ、私もよく苦労します。たとえミミズが這ったような字でもよいのですが、汚い字を他人に見せるのが嫌なのか?なかなか書いていただけない高齢者(特に脳梗塞で麻痺のある方)も多いのです。

よくみなさん誤解されているのですが、
「親の実家の権利証と実印は私が保管しているのに、なぜだめなんですか?」
とくってかかるように叱られるのですが・・・・

登記のときに司法書士は売主の売却の意思確認を確認します。

その時に明確な返答ができない状態では司法書士は所有権変更の登記の手続きは行いません。

もし、親が賃貸アパートやマンションの大家さんなら問題ありです

a0002_001703これは、不動産屋である私もよくでくわすことなんですが、
高齢の親(認知症?)に代わって
普通に子供が賃貸契約書に
勝手に署名したりハンコを押していることは
珍しくありません。
まあ、普通のアパートマンションなら、
なかなか問題も発覚しないのですが
大きな金額の物件
たとえばコンビニなどのロードサイド物件
一棟貸し とか・・・・

そんな大きな賃料の物件では
最近は家賃の減額交渉もよくありますし、契約更新もあります。
そんな時、きちんとした不動産屋なら
貸主本人(親名義であれば親ですよね)に会うことを要請します。
また定期賃貸借契約なら公正証書も作成することもあります。
万が一、トラブルにでもなれば不動産屋も手に負えませんからね、そんな大きな金額の家賃の場合は。

そんな時、貸主である親が認知症の場合
契約更新もできません。
まして新たに新規募集もできません。

だって、認知症の方は重要な法律行為は制限されます。

自分の不動産を人に貸すということは
重要な法律行為になりますからね。

スラム化しているアパート・マンションも増加してます

相続予定者の子供が複数いる場合、
船頭多くして、舟 山登る?

今まで大家の親がしてきたことを子供の一人が代行しようとすると
他の子供たちから横ヤリが入ることもよくあります。

新たに大規模修繕のお金を借りるなんてとんでもない?
今風のリフォーム代なんて出さない?(リフォームなんて必要最低限でいい?)
家賃の減額なんてとんでもない!(以前はその家賃で貸せていたんでしょ?)

親の賃貸アパート経営を任されている子供の一人が
いくら一生懸命にがんばったって
他の子供たちからは反対意見ばかり・・・・

とても
アパート経営の大変さ
市場の大変化
など理解してもらえません。

で、おのずから
親のアパートやマンションは空室だらけ?

リフォームや修繕もしないので
スラム化していくのです。

大家業もふつうの会社経営と同じです。
さまざまなことに口出しばかりする外部の人がいれば
うまくアパート経営すらできません。
こんな大家が大変な商売であることなんて
大家をやっていない人には理解できませんからね。

では、親が認知症になった場合は高齢の親の財産管理はどうすればよいのか?
最悪成年後見人の申し立てが必要?

これは成年後見人を申し立てしなければいけません。

不動産を売ったり貸したり
介護や日常生活のさまざまな手続きや金銭管理
きちんとその行為を代理してくれる人を決めなければいけないのです。

「親ができないことを子供が手伝って何が悪いの?
        そんなことをいったってしょうがないじゃない!」

なにも悪くはありません。

ただし・・・
法律的にきちんと委任されていればです。
※この場合、委任状があればよいということではありません。
 そもそも委任状を書くことが重要な法律行為ですから認知症をすでに発症している方では
 その効力はありません。

でも、普通の方はあまりこの成年後見人制度をきちんとご理解されていないんですね。
ですので、詳しいこと専門家(弁護士・司法書士・行政書士など)に任せるとして
かいつまんで重要なところだけご説明しておきます。

後見人制度には【法定後見】と【任意後見】の二種類あります

後見人制度には大きく分けて2種類あります。

認知症など既に発症していて、本人に判断能力が無い場合は法定後見人制度

まだしっかりはしているが、
いずれ認知症など判断力がなくなる前に予め任せる人を決めておくのが任意後見人制度です。


法定後見人制度

親が認知症などで物事の判断能力が無くなってしまった・・・

そんな場合、さまざまな重要な手続き
たとえば老人ホームや介護などのサービスの契約
あるいは親の実家などの不動産の売却
銀行預金や生命保険の手続き

これらを判断能力を失ってしまった本人に代わって行うことができるが後見人です。

この場合、家庭裁判所に後見の申し立てを行わなければいけません。

成年後見人を頼んだ場合、費用はいくらかかる?

法定後見の場合
裁判所への申し立て費用は
印紙代と予脳行郵券類で約1万円程度かかります。

さらに、精神鑑定費用が10万円程度かかるといわれています。

ただし、これらは自分で家庭裁判所へ申し立てをした場合で
司法書士や弁護士などが行えば、さらに書類作成代行尾費用がかかります。

そして、家庭裁判所が
「後見人が必要な場合か否か?」
また
「その後見人は誰が適切か?」
を判断して決定します。

家庭裁判所が後見をするか?否か?判断に要する期間は?

通常、家庭裁判所が後見を開始するかどうか?
その判断に要する期間は

通常4ヶ月から半年程度

と言われています。

ですから、
親の家を売ることが決まって、購入者も探すことができた。

しかし、我々不動産屋や登記の司法書士から
「意思確認ができないので契約や残金決済ができません。」
といわれて、あわてて後見人の申し立てをしても難しいのです。

そんな何ヶ月も待ってくれるようなか買主なんていませんからね・・・

任意後見人制度

任意後見人制度とは、予め将来自分を託す人を決めておく制度です。

自分がしっかりしているうちに
認知症などを発症する前に

だれだれに?
なにを?
どのように?
託していくか?

事細かに決めることができます。

賃貸マンションやアパートなどの不動産の管理運営だけを任す
介護の手続きなどだけを任す
日常の金銭管理等の生活面のサポートだけを任せる
などなど契約でさまざまな事柄を事細かく決めることができます・

任意後見人制度では後見開始のスタートが異なる

法定後見では家庭裁判所が判断すれば、すぐに後見開始となるが
任意後見では少し異なります。

任意後見の場合
実際に後見が始まるのは、
本人の判断能力が無くなり
ひとりで生活すること
財産管理が難しくなってからになります。

ですから、任意後見人を引き受けた方から
「本人の判断能力が無くなってきたので、任意後見を開始したい!」
と家庭裁判所に申し立てしなければいけません。

また、さらに任意後見人を管理する
任意後見監督人も選んでもらわなければいけません。

任意後見監督人とは
任意後見人がきちんと仕事をしているかどうか?
文字通り監督する人であり、
通常 裁判所が選んだ弁護士が選任されるそうです。

後見人のすることは大きく分けて2つだけ

後見人が行うことは大きく二つ

財産管理と身上監護です。

財産管理

本人の預貯金の管理
不動産の管理や売買
などが主にあげられますよね。


身上監護

本人に必要な介護サービスの契約
有料老人ホームや高齢者住宅への入所・入居手続き
入院・通院の医療の契約をすること

ここで注意することは
介護そのものはふくまれていない
ことも忘れずに・・・・

後見人になることは意外と大変なんです!

後見人になれば定期的に家庭裁判所への報告が必要になります。

そこでは
日常に使ったお金の管理報告もあります。

使ったお金は全て領収書などを残し、帳簿として記録しておかなければいけません。

といっても、それほどきちんとしたものでなくても大丈夫です

日常の記録は領収書でなくてもレシートでもよいと聞いています。
※金額にもよりますが、使った金額の裏づけがあればよいと思います。

現実に家庭裁判所のチェックはある程度大きな金額のみのようです。
帳簿といっても、
普通の大学ノートに金額と日付を記入し、レシート等を貼り付けていくものでもよいそうです。
まあ、家計簿と認識していただいてもかまわないのでは?
と私は考えています。
でも、これってかなり毎日やるって大変ですよね。
そんな方にはうれしいバックアップもあります。

日常生活自立支援事業

各地域の社会福祉協議会が実施している
日常生活自立支援事業も併用することもお考えになってはいかがでしょうか?

日常自立支援事業は
金銭の出納
預金管理
公共料金の支払い管理
日常のお買い物
などなどについて
社会福祉協議会の専門家が支援計画を策定して
生活支援員がサポートしてくれる事業です。

本来は後見までには至らない程度の方のためのものであり
本人と社会福祉協議会が契約してサポートするものなのですが
近年、後見人制度との併用で
後見人の日常業務負担の軽減する方法として注目されています。

ただし、費用がかかります。
1件 実時間1時間当たり1200円程度

念のためリンクも張っておきますね。

日常生活自立支援事業

相談はお住まいの市町村の社会福祉協議会で受けてもらえます。

わずらわしい後見人の日常業務と公平性を守るためにプロに一任するのもありです。

後見人になる人は
以前は90%が親族でした。

でも現在は第三者が後見人になるケースが50%を超えているというデータもあります。

これは
後見人の日常業務が大変なこと
後見人として公平性を保つ(他の親族からも安心)

という意味もあるからかもわかりません。

この第三者には、
弁護士
司法書士
社会福祉士
が主に選任されることが多いようです。

後見人には報酬としてもお金が支払わることもあります。

これだけ大変な作業や負担を強いられるのですから
まして第三者に後見人を依頼した場合
費用がかかります。

これは家庭裁判所が、本人の財産状況や後見業務の内容を加味して決定します。

一般的なケースとしては
月額2万~3万 + 交通費
とも言われていますが、こればかりはケースバイケースです。

家庭裁判所が決めることで、後見人から
「いくら欲しい!」
とはいえないものです。

後見開始されれば、もはや自由に銀行預金もおろせなくなります。

老婆心ながら、最後にもうひとつ

後見が開始されれば、今まで使っていた本人キャッシュカードも使えなくなります。

後見人用のキャッシュカードが発行されるか?
お金をおろすたびに書面の手続きが必要になったり?
さまざまな制限が出てくることも知っておいてくださいね。

最後に

成年後見人制度は正直まだまだ使いにくい制度なのですが
これからの超高齢化社会ではもっと活用されていくのは間違いありません。
なので、ぜひ概略だけでも理解しておいてくださいね。
少しでもご参考になればうれしいです。
参考:これがもめる相続トラブルまとめ【ワースト5】次はあなたの番?
参考:なぜ親の家(実家)の相続がもめやすいのか?