戦前の家督相続の考え方は根強く残っている!特に農家では問題は深刻

農家の後継ぎ問題
「お前が長男だからこの家や田畑を守っていってくれ!」
こんなことを言う親は珍しくはありません。
未だに家督相続という考えは根強く残っていますし、特に田舎の旧家では親戚たちもそれが当たり前と考えています。
実家が農業なら田畑の問題も大きいです。
昔から田畑を分けることを田分け者(たかけもの)と言って「ろくでもないことだ!」という言葉もあるくらいですからね。

そんな実例として「子供のいない夫婦で義実家が後継ぎのために甥との養親縁組を迫っている」というご相談をお聴きください。

先祖伝来の義実家の財産(田畑・不動産etc)を縁もゆかりもない血のつながらない嫁の親戚に相続となる

自分の夫が築き上げた財産ならよいのですが、夫自身も親から相続した財産ならちょっと心情的には複雑な気持ちも理解できます。
ただ法律ではそんなところまでは考慮してはくれません。
義実家側としてはやはり先祖伝来の遺産であればやはり血のつながっている血族に跡をついで欲しい気持ちも理解できます。
だから、やっぱり万一のことも考えての遺言書は大事なんですね。
ある程度の財産は妻に残してあげて、先祖伝来の財産ならやはり血のつながっている親戚(兄弟・甥)に継がせるように配慮も必要です。


実家が農業の方なら生産緑地法の大問題が近づいている

とりあえずは生産緑地法のおさらいです。
「親父は農家だけど息子の俺には関係ない?!」とまったく興味を持っていなくて無関心な方も多いですからね。

生産緑地法の主な内容

  1. 面積が500平方メートル以上であること
  2. 農林漁業を営むために必要な場合に限り、建築物の新築、改築、増築等が認められる
  3. 生産緑地としての告示日から30年が経過した場合は自治体に買取りの申し出ができる
  4. 主たる従事者が死亡などで従事できなくなった場合は同様に買取りの申し出ができる
  5. 自治体が買取らない場合は他の農家などにあっせんする
  6. 買取りを申し出た日から3ケ月以内に所有権移転されなかった場合は制限が解除される

以上が生産緑地法の概要です。

2022年に生産緑地の大半で営農義務がなくなる

政府は都市圏の土地の有効利用を推し進めるために、生産性の低い(表現が不適切であればごめんなさい)農地を宅地に変える政策を打ち出しました。
しかし、大都市にも先祖代々古くから農業を続ける方もたくさんいます。その方々から無理やり農業を廃業させるわけにも行きません。農協など関係者から農地として維持することの要望もことのほか強いものでした。
また環境や社会的要請として市街地にもある一定の緑地を保全することも大切です。そのため1991年3月に『生産緑地法』が改正され、市街化区域内で保全する農地としての生産緑地と、原則どおり宅地化を進める農地(特定市街化区域農地=宅地化農地)に分けられ、農業を営む方はその選択を迫られました。
生産緑地を選択てこの生産緑地の指定を受けた農地では固定資産税などが一般農地と同様にきわめて低い税額に抑えられるほか、相続税の納税猶予措置などが適用され事となりました。
それに対し、生産緑地以外の「宅地化農地」を選択した農地では固定資産税などが宅地並みに課税され、相続税の納税猶予を受けることもできなくなります。
このことから都市に近い地域で農業をされてきた方は「そらかなわん!」とこぞって自分の田畑を「生産緑地法」の生産緑地の指定を受けたのですね。
しかし、税制面で優遇される代わりに生産緑地では30年間の営農義務が課せられたのです。まあ、税制面で優遇する代わりに「きちんと農業をやってくださいね」とお上が釘を刺したのです。そのため高齢化で農業を続けられない方などは手間のかからない「栗」なんかを植えて(収益は度外視)ただ形式上農家を続けているふりまでしたものです。
この19992年に改正された生産緑地法ですが、現存する生産緑地の多くは初年度に指定を受けているためちょうど30年目にあたっる20222年に営農義務が外れることになります。
そこで一気に大量の住宅用地が生まれることが懸念されて需要と供給のバランスが一気に崩れてしまうことが心配されています。
(※全国に約1万3,653ヘクタール(2014年3月31日時点)ある生産緑地のうち、2022年が期限となるのは約8割)
これがいま心配されている『生産緑地法の2022年問題』なんです。
ただでさえ日本は人口減少・少子化のトレンドが続く中アパートを建てても埋まらない?家を建てても売れない?そんな状況で一気に土地が供給されてしまったら?
空き家問題で頭を抱えている政府も危惧しています。

笑顔の江本

ほうっておいたらドンでもない税金(固定資産税・相続税)がかかってくる?
売りにしても供給過多で値段が叩かれる?
そんな危険なことが待ち受けていることも知っておいてくださいね。

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