【形見分けのマナーのポイント】

  • 形見分けの時期は忌明け(四十九日)の際にする場合が多い
  • 形見分けで高価なものは遺産分割にも関係することもあるので注意
  • 形見分けで故人からみて目上の人に形見分けは失礼にあたることもある
  • 形見分けで包装はしなくてもいいがある程度の手入れは必要
  • 形見分けで贈与税がかかることがあることに注意(市場相場110万円以内)

形見分けのマナー
親が残してくれた思い出の品を家族で形見分けをする。
そればかりか故人(親)と親交のあった人たちにも
故人を偲んでもらうために思い出の品物を贈る・・・
それも形見分けです。
なにも、高価な物ではなくとも思い出はたくさん詰まっています。
魚釣りの好きなご主人が亡くなって、
釣り仲間の方に釣道具を形見分けをする。
ゴルフ好きな方はゴルフ道具のことあります。
趣味で続けていたお茶やお花など
それらの品物を友達やご親戚に贈ってあげるもの形見分けです。
でも、意外と知らない形見分けのルールやマナーについても是非知っておいてくださいね。

形見分けマナー① 形見分けいつ行う?

形見分けはいつする

形見分けはいつ行うものなのでしょうか?
形見分けは、基本は忌明けの際にするものと言われています。
仏式の場合は四十九日の忌明けの法要後
※三十五日を忌明けの場合はその時
神式では三十日祭や五十日祭を忌明けの目安としています。
なお、キリスト教では形見分けの考えは無いようですが1ヵ月後の招天記念日が目安とされています。
ただ・・・

10年後にただのゴミになるかもしれない?ものは形見とは呼べない

笑顔の江本

私は相続不動産売却を専門とする不動産会社でもありますから相続した空き家の売却に伴い実家の片づけや遺品整理、形見分けのケースにもよく立ち会います。
そこで多くの子供たちが「親の思い出が残るものを捨てられない!」となんでもかんでもすべて形見として残そうとされます。
でもそれでは実家の片づけは遅々として進まないのです。

形見と呼べるのは次の孫世代まで引き継げる物だけにしませんか?

確かに『親の思い出が残っている物』を捨てるなんてとても辛いことかもしれません。
でもそれは次の世代(孫世代)に大きな迷惑をかけることになりかねません。
年々「物を捨てる」ことが大変になってきています。
ちょっとした物を捨てるのにも役所に電話をしたり遺品整理業者にお金を払って依頼したりして結構大変です。これからはもっと大変になるかもしれないように感じています。

「形見として引き取ったものが邪魔で仕方がない!」というケースも少なくない

実家の片づけも終わって無事に売却が終わった後に再度私たちに相談があることがあります。

それは

心配な娘

江本さん、実は形見として引き取ったのはいいけれど、意外と邪魔で邪魔で家族のひんしゅくをかっているの!どうにかならないかしら?」


というものです。
ただでさえ狭い我が家に親の形見として引き取ったほとんど使いもしないものを保管しておくスぺースはないものですよ。

形見分けに『もったいない』は不要な感情です

私も実家の片付けに苦戦していますから、親の思い出が残るものを処分することには抵抗があります。
でも、それって仕方ないことなのです。
『もったいない!』は形見分けにはあまり持ち込んでほしくはない感情です。
親の形見として引き取るのは「邪魔にならない物」という視点も大事です。

形見分けマナー② 親の形見を売ってその現金を分けることは親不孝ではない

親の形見を売却
いろいろな考え方もあるでしょうから一概には言えませんが、
私は「形見を売ってその現金をみんなで分ける」ということは全然親不孝なことではないと思います。
確かに昔は物の無かった時代でしたから形見分けとしてもらう物も貴重な価値があったと思います。でもいまはこんなに物のあふれている時代です。人の好みや嗜好も千差万別です。
指輪一つでもデザインが古臭ければほとんどしないのではないでしょうか?
もらっても迷惑な形見って意外と多いんですね。
確かに親の思い出を売るなんて抵抗があるかもしれません。
しかし、時代は移り変わりました。
メルカリは大流行ですし中古品買取業者もごまんとあります。

おそらく形見をもらってもタンスの奥にしまわれ続けていたら親も悲しいですし、きっと次の孫たちはさっさと売ってしまう気がしますがいかがでしょうか?
形見分けで不公平が出ないようにきれいに分けられるのは現金だけです。形見を売ったお金で子供たちが喜ぶなら天国のお父さんお母さんも喜ぶと思いますよ。

笑顔の江本

そんな方に水を差すようで恐縮ですが、親の形見を売ってもみんなで分けるほどの金額にならないかもしれません。でもそれを「お盆の墓参りや法事」「一周忌、三回忌」のときに家族みんなが集まって美味しいものを食べる食事会で故人を偲ぶというのもよい使い方だと私は思います。

少し本題の形見分けの話から脱線してしまいましたね。
では、形見分けのマナーについてもお話しておきます。

形見分けマナー③ 形見分けもひとつの相続の遺産分割だから慎重に!

形見分けの時計
形見分けの品物は

  • 衣類
  • 装身具
  • 時計
  • 万年筆
  • 書類
  • 手紙
  • 家具
  • 趣味のコレクション

などがあります。
そんな親たちが愛用やコレクションしていた思い出の品物を子供たちや家族で分ける「形見分け」ですが、その中に高価な物がある場合があります。そんな場合はきちんと子供たちや家族みんなで話し合っておかないと後でもめることもあります。

着物・時計・指輪などは形見分けの前に査定してみるのも良いかも?

誰かが勝手に形見分けを先導したりすると後の遺産分割協議でしこりが残る場合もあります。
えてして誤解や錯覚も多いのですが、まずは形見分けの前に査定だけでも行なわれたはかがでしょうか?
特に指輪などの宝石や時計や着物の適正な市場価格を相続人たちみんなで知っておくことが大事ですよ。
テレビの「お宝鑑定団」をご覧になられたことがありますか?
出展者の多くが自分の思った価値よりはるかに低い評価であったり偽者?の場合も少なくないのです。

「親父がおふくろに買ってあげたっていうこの指輪 有名デパートで確か数百万円で買ったって言っていたような気がする?」
「母さんが着るのももったいない!と言っていたこの大島紬 かなり高い品物よ!」
「親父がいつも着けていたこのロレックス!年代物だし相当価値があるのでは?」

そんなとらぬ狸の皮算用的な状態で形見分けをすると後で遺産相続の時にゴチャゴチャすることもあります。今は気軽に買い取り査定を行なう会社もたくさんありますから一度査定金額だけでも出してみるのもよいかもしれません。

形見分けが遺産相続!相続放棄や遺産分割協議にも影響することもある

形見分けといっても一種の相続と言えます。
ある程度常識の範囲では問題ないのですが
たくさんの物、高価な物の形見分けを行うと相続放棄が認められないこともあります。
この常識というものは各自 異なるのですが、
判例では
「相続人が、被相続人の一定の財産価値を有する遺品のほとんどすべてを持ち帰った行為は、形見分けを超えるものであり、民法921条3号の「隠匿」にあたる。」
というのあります。

相続放棄を考えている方であれば『形見分けにおいても専門家に相談してみる』ということも気をつけておいてくださいね。
たかが形見分けと簡単に考えてはいけません。
相続のいざこざから形見分けももめることになりかねないのです。

形見分けマナー④ 相続人以外の方にする形見分け

捨てるのには忍びない形見もたくさんあるものです。
例えば親の趣味やコレクションした品物などがありますよね。

そんな物を形見分けとして亡くなった親と親交のあった方に贈るのも立派な形見分けです。
形見分けは、家族だけではなく
故人と親交のあった人へ遺品を贈り、
故人を偲ぶためのものです。

ですから、贈られた人が喜んでくれる物を選び
受け取る人の意思を確認してから行わなければいけません。

ただ、「これは形見ですのでどうぞ!」
と渡すのは失礼にあたることもありますのでご注意ください。

故人からみて目上の人に形見分けは失礼にあたる。

目上の人には形見分けしないのが基本とされています。
ただし、本人の希望があればその限りではありません。

受け取る人の意思を尊重する

「せっかくの形見分けを受け取らないなんてあいつはなんて失礼な奴だ!」
と勝手に考えてはいけません。
あくまで形見を受け取る側の気持ちを優先しましょう。

また、遺言書などで指定がない場合は、
できるだけ品物の価値がある程度平等になるように心がけましょう。

ある程度手入れをしてから贈るのがマナー

ホコリや汚れはきれいに手入れしたり、
衣服であればクリーニングしてから形見分けするのがマナーとされています。

贈る時には包装はしない

箱に入れたり包装したりせず、
半紙などで簡単に包み直接手渡しするのがマナーとされています。
ただし、箱に入った貴金属や装身具、美実品は箱のままでもかまいません。

手入れを行ってから贈るのがマナー

遺言で贈る人に指定があった
本人から希望があった
そんな場合は別として傷みや汚れの激しい物は形見分けの品物には適しません。
また形見分けとして贈る際には
ある程度きれいに手入れやクリーニングを行ってから贈るのがマナーです。

最近では、
古い着物などは小物や洋服にリフォームして贈る!
というのも好評のようです。

形見分けマナー⑤ 相続の話は切り出しにくいから形見分けの話を生前にする

生前形見分け

私は親子で老後・介護や相続のことを話し合うエンディングノートの書き方講座をご実家などで行なっています。
親をその気にさせるために「エンディングノート書き方・相続セミナー」を実家やあなたの自宅でで開催しませんか?
気軽に話し合う?そんなセミナーなのですが、老後・介護・相続には直接関係ない形見分けのことにもよく話が脱線してしまいます。
親がまだ元気な生前のうちに形見分けの話を切り出すのもいかがでしょうか?
形見分けならイメージとしてそんな深刻なものではないので、もしかしたらこれをきっかけに親子で介護や相続について考える良い機会になるかもしれません。

また高価な宝飾品(指輪・ネックレスなど)は親が誰々にあげる!ということを予め決めておいてくれたほうが後々嫌な気持ちにならなくて済みます。

形見分けで兄弟姉妹の関係がギクシャクしないように気をつけてくださいね。
「そんなこれくらいの価値しかない形見分けなのに?」とあなたは思っていても相手にしてみれば気持ちの問題なのかもしれないからです。

形見分けマナー⑥ いちばん良い形見分けは「親が決めておいてくれた形見分け」

親が渡す形見を決めておく
きっとこの記事を読んでいるあなたは形見分けに頭を悩ませているはずかもしれません。
でも、もしかしたらまだお父さんやお母さんは元気な方もいるかもしれませんね。
いちばんベストで楽な形見分けは親が指示しておいてくれることです。
たとえば
■品名
■誰に
  連絡先
■備考

こんな風なリストを作ってくれていたらどれだけ楽なことでしょう。
形見分けリスト

遺品整理でも
■すべて処分して欲しい
■使えるものはリサイクルや施設に寄付
■家族の判断に任せる
だけでも遺しておいてくれれば楽ですよね。

できればまだ親が元気な生前に少しでも話す機会を作れればよいと思います。
遺産相続の話よりも気楽に話せますし、なによりそれを形見分けの話から遺産相続の話題に持っていければベストです。
でもたとえ親でも独断専行で一方的に形見分けを行うとトラブルになることもあります。
あなたの子供の育て方にとやかく言うつもりは全くありませんが、とかく「えこひいきだ!」「子供はみんな平等の権利だ!」と逆恨みする子供たちをたくさん見てきた私には「これって親が築き上げたものでしょ?親が決めた形見分けで子供がどうのこうのと文句を言うのは少し筋違いじゃありませんか?」と諭すと逆切れされます。
確かに価値のあるものなら遺産分割の対象となりますがお話を聞くとそう価値の高いものでもないのにクレームをつけられます。

できれば何かの機会に形見分けのことも親子みんなでしっかりと話し合うことをお勧めします。
「親の介護」「相続」について話し合う遺産分割協議を開こう