遺産分割協議で話がまとまらなかったらまず調停になります

調停委員
相続でもめた場合、
遺産分割協議が難航し
結論が出ないことも多いです。

どうしても、相続人同士の意見がまとまらなく
また時間的に早く決着をつけたい!
そうなれば
調停による解決を目指さなければいけません。









調停とは?

調停とは調停委員が中立的な立場の第三者となって
相続人の話し合いを仲立ちし
相続人各人の納得のいく分割案をまとめるためにサポートしてくれる制度です。

調停委員

調停委員といわれる人たちは弁護士ではなく、
調停に一般市民の良識を反映させるため、
社会生活上の豊富な知識経験や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。
具体的には、
原則として40歳以上70歳未満の人
弁護士・医師・大学教授・公認会計士・不動産鑑定士・建築士などの専門家
地域社会に密着して幅広く活動してきた人
など社会の各分野から選ばれています。


調停の具体的な手続き

調停を申し立てるには
家庭裁判所に申し立てを行うことによって開始されます。
調停申立書の提出は、
被相続人と相続人全員の戸籍謄本を揃えて相続利害関係人の身分関係を明らかにしたり
相続財産の全てを明らかにする必要があり、
ある程度 準備が必要です。




調停を申し立てる裁判所はどこ?

調停を申し立てる裁判所は
調停の相手方となる相続人の住所地を管轄する家庭裁判所になります。
相手方が何人もいる場合は、
その中の一人の住所地を任意に選択して申し立てることもできます。

例)
申立人が大阪市内に住んでいる。
相手方の相続人が三人いて、各住所地が秋田県、岡山県、京都府に住んでいる場合
申立人の居住地の大阪から近い京都府の家庭裁判所の支部に申し立てることができます。
結果 京都府に住んでいる相手方の住所を管轄している家庭裁判所の支部で調停を行うことができます。


遠く離れた所の家庭裁判所で調停を申し立てられたら?

じゃあ秋田県や岡山県のように、
調停を申し立てられた家庭裁判所の支部から遠く離れたところに住んでいる人は大変じゃないか?
と思われる方もいるとおもいます。

いちいち遠く離れた家庭裁判所で調停に参加するには
時間も交通費もかかってしまいます。

こんな場合
電話会議システムを利用することもできるとされています。

ただ、この電話会議システム
各家庭裁判所の支部により運用方法がかなり異なります。
最初は必ず出頭しなければいけない?
出頭できない理由を提示して許可を得る?
反対に
最初から利用可能だったり・・・?
事前に確認が必要です。

また、弁護士を代理人にすれば毎回毎回調停に出席する必要もありません。
利害が一致する相続人同士が一人の弁護士に依頼するということもできます。




審理期間は1年以内、費用もさほどかからない

通常、調停の申し立ては
概ね1か月~2か月程度で家庭裁判所から各相続人に呼び出しがかかります。

第1回の期日
各相続人の主張を調停委員がヒアリングます。
そのうえで、相続をめぐる当事者の主張や現状を調停員が把握します。
例)
寄与分の度合いの判定
特別受益の主張の判断
財産評価の妥当性
など
これらを各相続人から調停委員に陳述します。

ここでのポイントは
各相続人が調停委員に自分の意見や考え、これまでの経緯を説明するのです。
調停委員が自ら警察のように取り調べするのではありません。
各自で主張する内容の裏付け資料の収集や提出は自分で行うのです。
ですから、相当な準備や資料をきちんと整えられる人が有利といえます。
自分の主張を裏付ける証拠や書類は自分で用意するものなのです。

その後の期日は大体6~7回手度で終わります。

概ね審理期間は1年程度 期日も6~7回程度のことが多いと聞いています。

ですから、それほど多くの時間がかかるものとはいえません。



調停に必要な費用は?

費用は、
申し立てに必要な収入印紙代(被相続人一人にき1200円)と連絡用の郵便切手代
ですので
調停自体に大きな費用は必要ありません。

ただ、弁護士を代理人にすると費用は大きくなります。
着手金や成功報酬という形で弁護士への支払いが発生します。
「着手金・・・遺産分割で得られる財産の5%+9万円」
という形の弁護士事務所もあります。

ただ、弁護士を立てると
相手も弁護士を入れて対抗することになり
ますます泥沼化?
ということも考えられます。



調停では調停委員が相続人の話を交互に聞きます

調停では、調停委員が話し合いのまとめ役を果たしてくれます。

公正かつ中立的な立場で意見をまとめますので
もめてしまった遺産分割協議ににおいて調停は大きな役割を持っています。

遺産分割協議は当事者同士が話し合うので、
お互いの主張を譲らずなかなかすんなりとはまとまりません。

しかも
気が弱い人
兄と弟のように上下関係があり、自分の主張ができない人
では言いたいことも言えません。

でも、調停においては
感情的にもめてしまって顔を合わせたくない人でも大丈夫なのです。

調停では相続人全員が一同に顔を突き合わせて協議するのではなく
調停委員が対立した主張をしている当事者からそれぞれ交互に意見を聞くようになっています。

ですから、他の相続人に気兼ねすることなく
自分の主張を伝えることができます。

また、自宅などで話し合うのと異なり、
裁判所といういわば厳粛的なところで手続きが行われますから
事態を冷静かつ客観的に眺められるということもあるとも言えます。

何度も調停の期日を重ねることによって、
怒りが収まることも珍しくありません。

「あの時は感情的になりすぎて、言い過ぎたかな?」

「あの時は売り言葉に買い言葉だったが、
あいつの言い分も少しは認めてやらないといけないのかな?」

と対立していた相続人同士が関係を修復するきっかけになることもあります。




調停でまとまらなければ審判で決着をつける

審判

いくら調停の期日を重ねても
遺産分割がまとまらない!
公正で中立的な調停委員を間に入れても落とし所が見当たらない!

残念ながら、そこまでもめてしまった場合
最終的に審判によって決着がつけられます。







審判とは

審判とは、家庭裁判所が職権に基づいて遺産分割の内容を決める手続きのことです。

審判で遺産分割の解決を行うということは、
問題点(寄与分の判定や特別受益の存否、財産の評価額など)を
裁判所による調停などで公的な判断が示されることになります。



必ずしも審判が良い結果を招くとはいえないことに注意

審判になった場合、
「ではこんな風にしなさい!」
と強制的な解決案が出されます。

不動産の遺産分割案では
「任意売却で換金化して分割しなさい!」
ということもよくあります。

この任意売却では競売という方法によるもので、一般の売却とは異なります。

普通の売却のように、
時間もかけ広告宣伝をしっかり行えば売れていたであろう価格よりも
かなり低い価格で落札されてしまう
ということも十分ありうることです。

相続人間では
「審判では自分たちが大きな損をするかもしれない・・・?」
と不安があります。

ですから、
「審判で裁判所に判断されてしまっていいんですか?損するかもわかりませんよ!?」
「競売にかかってしまいますよ!」
という意見(警告?)を伝えると態度を軟化させ
落としどころに双方 歩み寄らせるという効果もあります。




個人経営の中小企業は親族経営で社長が債務の個人保証しているケースが一般的
もし社長が亡くなったら、経営権をめぐるお家騒動が親族間で起こるかも?

中小零細企業での借入金は、社長である経営者が個人保証をしていることが一般的です。

そのため、経営者が亡くなってしまったら、
とたんに経営危機 会社破綻になってしまう問題があります。



会社の破綻処理は、破産?特別清算?

相続は単純承認をして債務も引き継ぐ?それとも相続放棄?
相続したのなら、その債務はどうやって返済していくのか?
さまざまな問題点を一気に考えなくてはいけません。

しかし、何度もこのブログで説明している通り
相続には時間がありません。
※相続放棄や限定承認などは三か月以内に決断しなければいけません。

さらに税務上の問題として
法人税
相続税
なども関連してきます。

ワンマン経営者?
一代で築き上げた創業者
であれば、相続人は会社経営に関してなにも知らない?
ということもあります。

経営者として引き継ぐことは決して簡単なことではありません。

会社の経営権としての株主の権利を行使することは
相続放棄ができなくなるという側面もあります。

万一、間違った処理をしてしまえば
会社もろとも相続人も破産を余儀なくされてしまうことも考えられます。

nayami_oldman2このように、経営者の相続は非常に専門的な知識を必要とされますから
事前に相談できる弁護士や税理士の専門家の協力を得ておく必要があります。

どの専門家に相談すればいいのか?という方はこちら



会社から株の売り渡し請求されて、株主の地位を失うこともあります

ある程度の規模の会社であれば
あわやお家騒動?
ということもあります。

親族経営であれば、身内で経営権を争そうこともあります。

会社の定款を変更までして、
相続人が所有する株式の売り渡し請求を受けることもあります。

株式の譲渡が制限されている非公開会社では
会社の経営においてふさわしくない人物が経営権を持たぬように防ぐための定款変更は認められています。
(会社法174条)

その場合、相続人は売り渡さざるおえないのですが、
価格については争える余地があります。

提示された価格に納得できなければ、
公認会計士・税理士による意見書を提出し、
買い取り価格の増額を裁判所に申し出ることもできます。



まとめ
身内と骨肉の争うということは「失うものも大きい!」という覚悟が要ります

相続対策専門士江本圭伸それは相当な精神的なストレスになります。

「いままであんなに仲の良かった兄弟姉妹が争うことになるなんて・・・」
そんな深い悲しみは想像以上のことだと思います。

送られてきた書面を見て
「こんなことを書いてくるなんて信じられない・・・!」
「あんなに優しかった姉さんが・・・・!」
「こんな風に私のことを長年 考えていたのか?」
と大きなショックを受けるものです。

なにより
「今まで築き上げてきた家族の絆よりも、遺産の方が重たいのか・・・?」
そんな絶望的な思いに悩まされるかもわかりません。

そんな精神的なダメージのせいかどうかはわかりませんが、
調停や審判の途中で『病』に倒れてしまう方も珍しくありません。

ですから、もし
「調停や審判にまで持ち込んででもかまわないから、白黒 決着をつける!」
とお考えであれば
相当の覚悟をもって臨んでください。

得るものありますが、反対に失うものも大きい!

それが争続なのです。