実家を売却するタイミングってすごく重要なんです!
長期スパンでは景気の動向もあるでしょう。
確かに不動産が値上がりしている時期と値下がり傾向の時期を見極めなければいけません。
ただ、相続専門の不動産会社である私は
「売りたくなった時が売り時です」
「時価を売ってでもお金が必要な時が売り時です!」
とアドバイスしています。
なぜなら我々不動産屋でもいつが売り時か?後になってからでないとわからないのが現実だからです。

短期スパンでは購入者が現れた時に迅速に返答することが大事です。
購入を考えているお客さんは移り気です。
絶体に失敗したくないと考えているのがマイホーム選びなんです。
「よし、この家を買うぞ!」
と購入の申し込みをしても何日も経つとすぐに不安からなのか?周りからの新派視する声のせいか?
ひょんなことからキャンセルすることもよくある話です。
特に値段交渉の返事はとにかく迅速にしてください。
そんなにずっと待っているとは限らないのがお客さんなのです。

実家の売却はタイミングが大事!半値になってしまった実家の値段

親が住んでいた実家が空き家になってしまって、
「そろそろ売却するか?」
なんて思っても意外と予想した値段で売れないことも多いのでご注意くださいね。

実家の売却で損をした兄妹

相続後すぐに実家を売却しようとした兄と売却に反対した妹
その結果、数年後に500万円以上の損をした実家の売却

今から3年ほど前にお兄さん(54歳)のほうからご実家の売却の相談がありました。
お父さんは十数年前に亡くなり、お母さんはその後住んでいたのですが高齢のため老人ホームに入り、その数年後に残念ながらお亡くなりになってしまいました。
お兄さんは結婚後ご実家からは少し離れたところにお住みでしたが妹さん(50歳)は実家の近くに嫁ぎお母様の老人ホームへもマメに訪れていたそうです。
お兄さんはすでにマイホームを所有されていましたし、妹さんもその実家で暮らすことは考えていませんでした。

笑顔の江本

ちょっと古いしリフォームが必要ですが、
お風呂もキッチンも最近リフォームされてますし
「まあ、◎◎◎万円くらいならご売却できると思いますよ!」
と答えさせていただきました。

実家の売却相場を知った兄
「まあ、そんなもんですよね?! 
 後は妹と相談して連絡しますね。」

だいたい予想された金額だったようで、あとは売却の手続きのことをご説明させていただきました。
登記名義人は十数年前に亡くなられたお父様のままで相続登記がちょっとややこしくて、後は司法書士さんをご紹介させていただき必要書類もたくさん揃えなくてはいけません。



笑顔の江本

『もちろん妹さんも相続人ですから、
遺言書もないので妹さんの実印や戸籍謄本なども必要ですから
きちんと妹さんの了承もとっておいてくださいね』
とお願いしてお別れしました。

私の得意のエリアでもあり、
「よし、あのエリアなら探しているお客さんもいるし
 ◎◎さんと■■さんに物件になったら紹介してみよう!」

ととらぬ狸の胸算用をしていた私でしたが・・・・。

「実は妹が実家の売却には反対でして・・・」と残念な連絡がきた。

実家の売却を考える兄

今回のご実家の売却についてのご説明をお兄さんから妹さんにしていただいたのですが
妹さんはご実家の売却には反対のようでした。
かといってかなり古い(けっこうオンボロ?)実家には住むつもりはありません。
実家の売却に反対する妹
「母さんが亡くなってまだそんなに経っていないのに、
 兄さん、もう実家を売るなんて早いんじゃない?
 きっと母さんの魂もまだ実家にいるような気がするのよ!」

確かに、すぐに実家を売却するのはお母さんの想い出も手放すのと同じですから心の準備も必要です。
そんな悲しい気持ちも痛いほど理解できる私ですから、それ以上はなにも言えませんでした。


かなりご実家にはお荷物がたくさん残っていたので
「できれば早めにご決断したほうがいいと思いますよ
 空き家で放置しているとすぐに家は傷んじゃいますから。
 遺品整理ってかなり時間も手間もかかりますからコツコツ始めていってくださいね。
 それと空き家であってもまめに風をとおしたり、お掃除もしてください。
 また、何かあればご連絡お待ちしています。」

とお伝えしてお別れをしました。

それから三年後、実家のご売却で再度ご相談がありました。

再び実家売却の相談をする兄
『お久しぶりです。
 あれから妹のほうから実家の売却の件で連絡ありまして
 再度 実家をみていただけませんか?
 ボクのほうはちょっと忙しくて立ち会えないので
 妹が実家で待ち合わせするように言いますんで・・・』

そこで、妹さんの連絡先をお聞きし、三年ぶりにご実家を再度訪問させていただきました。

そこで、ご実家の中を再度確認させていただくと残っていた荷物はだいぶ整理されていたのですが・・・・

三年前と違い状況に驚き!?売却査定金額に大きな減額もやむなし!

お部屋の中に入ると空き家特有のかび臭い臭いが充満していました。
おそらくまめに風通しされていなかったようです。

1階の和室に入ると・・・
「・・・・ん・・・ん・・・ん・・・・」

畳がブヨブヨ 上を見ると大きなシミが!?あ・・あ・・雨漏りですやん!

持参したスリッパを出して、そそこくさと中に入りご実家の中をうろうろすると

泣く江本

1階の和室の畳がブヨブヨ
ちょっとジャンプすると明らかにへこむ!?(汗)
高くジャンプしたら床がぶち抜けそう?

『奥さん、結構 雨漏りがひどいですよ。気がつきませんでしたか?』
とお聞きすると、お母さんが亡くなった後の遺品整理以来一度も実家の中には入られなかったそうです。

じっくり見渡すとそこらかしこに雨漏りで床が腐っています。

これでは中古戸建てとして売り物になりません。

500万円近い売却査定金額の減額に

『誠に申し上げにくいのですが、以前の売却査定金額からはかなり減額せざるおえません。』
とお伝えしなくてはいけなくなりました。

確かに以前も築古のお家でしたが、リフォームすればまだ住むことが十分可能な状態でした。
しかし、ここまで痛んでしまうと中古戸建てとしての魅力は無くなってしまっています。
雨漏りの修理はもちろんですが、床をめくって大規模な補修までするほどの価値はこの中古戸建て住宅には見込めませんし、それなら他の競合物件に勝てる要素はありません。
※ひょっとしてシロアリの可能性もあります。

また中古住宅には売主の瑕疵担保責任もありますから、売却後に大きな瑕疵(他の雨漏り部分やシロアリなど)があれば売主が責任を負わなければいけません。
なによりそんなリスクの高い中古住宅を一般の方は敬遠します。

三年後に新たに試算した売却査定金額は500万円近く減額になってしまいました。

このご実家の土地は20坪未満(50平米ちょっと)で、それほど広くはありません。
ですから、「この土地を買って注文住宅を建てよう!」という買主を探すことはかなり難しいです。
そんな狭い土地では、入る建築プランも建売住宅と変わらず、自分好みの家は建ちませんし、狭い土地を探している注文住宅を考えている方は少ないです。
おのずから、建売住宅販売の不動産屋に買い取ってもらわなくてはいけません。
しかし、1戸のみの建売住宅の現場では建築費や販売諸経費が割高になり、その分は土地仕入れ値にしわ寄せがきます。

泣く江本

『あの時、すっと売却を決断していればこんな減額はなかったのに・・・』と思っても後の祭りですよね。

妹さんが実家の売却に反対した理由

そこでじっくり妹さんから
「どうしてあの時、そんなに実家の売却に反対されたのですか?」
とズバリお聞きすると・・・。

妹が実家の売却に反対した理由
『売却金額は納得できたけれど、 兄から提示された私にもらえる金額が300万円も少なかったからよ。
ちょっと不公平だと思って・・・
別に兄もそれほど献身的に母さんの介護をしてきたわけじゃないし、私のほうがそれこそ母の介護は頑張ってきたとも思っていたわ! ただ、それをどうこう兄に言うつもりはないのよ、 兄も離れて暮らしているから仕方ないことだもの。』

と正直に打ち明けてくれました。


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そのことをお兄さんに伝えると
「親父が亡くなってオフクロが独り暮らしになってしまった時に心配で
 実家のお風呂やキッチンやいろいろなところをリフォームをボクがしたんです。
 その金額がおおよそ200万円くらいかかりましたし領収書もありますよ。
 売却の手数料とか諸経費を考えて、平等に分けた妹に渡す金額を伝えたんだが
 きちんとそのあたりが伝わっていなかったんですね・・・」

と教えていただきました。

35822e6a225a260823d1d09985747484_sそのことを改めて妹さんに伝え直すと
『えぇ・・??そうだったの? あのリフォームはてっきり母さんが自分のお金でやったとばっかり? でもそんなこと、あのケチなお母さんが思い切ってするわけないわよねぇ・・。父さんのお葬式費用も兄さんが全部だしたし、だいたいうちにそんなお金なんて無かったから、母さんのへそくり?なんて思ってたけど違ったいたのね。
それにきっと後ろでお義姉さんがなにか言っているのかと思ってたわ。私のほうから兄には謝っておくわ
江本さん、それで話を進めてちょうだい!』

その後はトントン拍子に実家の売却がまとまりました。
もちろん当初の査定金額からはかなり低くはなってしまいましたが、最近めちゃくちゃ強気の建売不動産業者に買い取ってもらいました。
※本音はその建売業者に「そんな高値で買って採算あいまんの?」と少し心配はありますが・・・?

相続人みんなのお考えがまとまれば実家の売却はこれほどスムーズにいきますね。
もちろんこのボタンの掛け違いはかなり高いものについてしまいましたが・・・


実家の売却のタイミングは相続後できるだけ早くがベスト!
しかも、その内容をきちんと相続人みんなが理解していなくてはいけません。

笑顔の江本

確かに親を失った悲しみが癒されるのには時間がかかります。
でも、やっぱり実家の売却は相続がおこってから早めに決断することをお勧めしています。

なぜなら、四十九日・納骨式・一周忌・三周忌など親が亡くなってしばらくは結構まめに兄弟姉妹たちが集まる機会もありますがそれをすぎるとなかなか顔を合わせる機会はありません。
そして家が傷むには驚くほど早いことも知っておいてくださいね。
誰もすまない空き家の実家 ものの数年で傷んでしまうものです。
「せめて定期的に風を通すくらいは最低限行ってください」とお願いしていますが、遠く離れて暮らす方にはなかなか難しいかもしれません。
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とにかく相続みんなで本音で話し合うには、それなりの資料が必要です。

やはり話し合いをしようと思ってもそれなりの資料を揃えなくてはいけません。
でないと今回の勘違いのように、へんな勘繰りをもたれては、不要な争いをまねきかねませんからね。

もし、ボクが妹さんに会って本心を伺うことができたり、窓口をお兄さんに限定せず兄妹いっしょにご説明していたら結果は違っていたかもしれません。

また、こんなサービスもご提供していますのでご参考にしてください。

いままで介護にかかった費用やその貢献度
法律的にはこの相続はどうなの?

実家の登記名義は誰?
不動産的価値はどれくらい?(いったいいくらで売却できるの?)

どうする?空き家になってしまった実家

今、空き家の実家をどうするか?すごく社会問題化しています。
ぜひ、真剣にみなさんで考えてくださいね。
それもあまり残された時間はないのですよ・・・


参考:実家が空き家なら解決策はこの3つ!親の持ち家(実家)をどうする?売却処分?賃貸?子供が住む?空家活用
参考:「この空き家だけ相続放棄します!」という自分勝手は通用しません