こんなに小さな土地の相続でももめるんです

笑顔の江本

よく相続トラブルになりやすい土地などの不動産の相続についてお話します。
「遺産なんていえるほどの財産なんてない!」
と思っている方にぜひ知っておいてほしいことばかりをまとめてみました。もしも、あてはまる方がいればご注意してくださいね。
ええ、それが何百坪のもある大きな土地じゃなくて
ほんの10坪程度の猫の額ほどの土地であってもです!

土地が不動産相続トラブル問題になるのは安易に共有名義にしてしまうから

土地の共有名義のトラブル
預金債権なら、相続が発生すれば自動的に各相続人に配分されるものです。

しかし、不動産などは相続と同時に分割されるとはいえず
分配の仕方が決まるまでは相続人全員の共有状態に置かれます。
分割に関する協議がまとまるまでは、持ち分という形で
所有権を共同で持っている状態です。

この共有名義というみんなで一緒にひとつの土地を所有している権利を会社の株をみんなで持っている状態と説明すればわかりやすいですか?

何人かいる相続した子供の誰かひとりが
売りたい?
住みたい?
誰かに貸したい?
古くてオンボロになってきたので建替えたい?

そんな気持ちになっても共同で所有しているのですから
株主総会ならぬ兄弟姉妹で家族会議を開かなくてはいけません。
はたしてすんなりと子供の誰かの希望は了承されるのでしょうか?

そして土地という不動産の権利というものは株と違って話し合いの多数決では決まらないのです。
だれか1人でも反対すればもう解決できません。

笑顔の江本

不動産というものは、
ひとつとしてまったく同じものはなく、非常に個性的であるということ。
その不動産にいくらの価値があるのか?評価が難しいということ
容易に換金化できないこともおおいこと
などからそのケースバイケースで柔軟に分割案を考えなくてはいけないのですが
これが本当に難しい。
だからこそ私みたいな相続に強い不動産屋の出番が増えてきているですね。

住み続けたい相続人と売ってお金に換えたい相続人との不動産相続トラブル

土地を売りたい相続人とこのまま住み続けたい相続人

たとえば
母親が亡くなってしまい、子供3人で母親名義の不動産を相続した場合を考えてみましょう。

3人の子供のうち、長男が母親の所有している土地に家を建てて長年同居をしていました。

通常の相続割合であれば、子供たちは平等の相続割合ですから
各自1/3ずつ持ち分での共有状態になります。

では、この場合どんな風に相続財産を分配すればよいのでしょうか?

親と同居していた不動産 これが一番 もめやすい典型的なケースです。

おそらく長年同居という形で亡き母親と暮らしてきた長男は
「このまま引き続き暮らしていたい」
と考えるでしょう。
いざ、売るために引っ越しすることなどは長男家族から反対されることでしょう。
しかし、他の相続人である弟や妹は
「売ってお金に換えて分配しよう!」
と考えるのが普通ではないでしょうか?

「今まで 自分の親の面倒を押し付けておいて、いまさらこの家を売ってお金で分けなんて勝手すぎるわ!」
とは長男のお嫁さんの言い分もあります。
結局 相続人同士で話し合わなければいけないことなのですが
「この家には母さんとの思い出が詰まっているから売りたくない!」
※本心は違う理由かも・・・・?
「兄さんだけの家ではないんだから、早く売って分けよう!」
そのままずるずると時だけが過ぎていけば、
今まであんなに仲の良かった兄弟姉妹に隙間風が吹くことになるんです。
このように相続財産に不動産が含めれているとよくもめやすいので
対策が必要なことがご理解いただけましたでしょうか?

えっ?そんなことはうちには起こらない?とお考えですか?
では実際の土地の相続トラブル実例をお聴きになってみてください。

土地の相続で背負う覚悟でいた住宅ローンの借金がゼロになったことが原因で相続トラブルになる

住宅ローンの借金が無くなる
私がよく遭遇するケースをお話しします。

「うちに財産なんてありません!」
そういわれる人でもマイホームがあります。

「そんなマイホームといってもまだまだ住宅ローンの借金がたくさん残っていますから」

確かに35年ローンで元利均等返済方式
たとえ10年 頑張って支払っていても
ローン残債が1/3にはなっていません。
普通の住宅ローンで採用される元利均等方式でのい返済支払方法は
当初は金利ばかりで、なかなか元金は減りませんからね・・・・。

しかし・・・・

団信が「争続」をもたらす悲しい皮肉

金融機関が住宅ローンを融資する時、団体信用生命保険というものを通常加入させられます。
普通の生命保険のように毎月引き落とされて支払うものではなく、銀行が住宅ローンの返済金の中から保険料を支払っている形が多いので、多くの方がその存在を忘れてしまっています。
※金利に含まれる(0.2%程度)こともあります。

住宅ローンを借り入れしたことがある人なら経験があると思いますが、
ローン審査の時に持病(糖尿病など)や入院履歴などの告知書を書かされたはずです。
返済者が万一死亡すれば、この生命保険金でその時点でのローン残債が完済されます。

ローンがまだまだ残っているし、
買った時よりは古くなっているしなにより値下がりしていますし、

まして買ったことすら後悔しているかもしれないマイホーム
返済者の亡きあと、遺族が支払っていく覚悟もしていた住宅ローン
それが、いきなりローンも無くなって自分のものになるのです。
※正確には相続人のものですね(笑)

いくら値下がりしているといっても、
マイホームならば数千万円の価値があります。

「今まで財産などまったく無い!」
と考えていた人たちにも相続トラブルに巻き込まれる可能性が出てくるのです。

「◎◎名義のマンション 私にも相続する権利があるはずだ!」
そんなことを言い出してくる親戚が現れないとも限りません。”>また、見ず知らずの第三者が
「生前にお金を貸していたので、その不動産を売って借金をかえしてもらいたい!」
なんて詰め寄ってくるかもしれません。
せっかくの遺族を守るための団体信用生命保険が
それがあったことによってかえってトラブルに巻き込まれる?
そんな「財産などないのだから相続トラブルなんて関係ない!」とタカをくくっていたあなたにも災難が襲ってくるかもしれません。

土地の相続問題を先送りにしていたツケ!
相続登記で遺産分割協議書のハンコ代で高くついた不動産相続トラブル

遺産分割協議書に押す実印・捨印のハンコ

不動産の名義変更手続きは必ず相続が発生すればただちにしなけれいけない?
そんなものではありません。
私も仕事柄 登記人の名義が亡くなった祖父 さらには祖祖父のまま放置されてきた。
そんな物件にも時々ご縁があります。

「いやあ、問題ないですよ!相続の話は何十年も前にきちんと話はついていますから!」
そんな言葉を鵜呑みにするほど私は楽天家ではありません。
そんな場合はすごく慎重になります。
確かに相続が発生した当時にはきちんと話がまとまっていたかもしれません。
しかし、それが何十年も前の話となると・・・・・

各相続人に亡くなってしまった方もいるでしょう。
その地位はその子供たちに継承されます。

「この家は長男の○○が相続する」
そんな話が何十年も前にまとまっていたとしても
当事者がすでにいなければ証明することも難しい。

登記名義を変更するには、名義人にならなくても
各相続関係人全員のハンコが必要です。

遺産分割協議書に印鑑を押す相続人

相続の時に話はまとまっているのだから、
「今回はハンコ代として20万円程度支払っておけばいいだろう・・・」
と安易に考えていても
簡単にはハンコを押してくれないこともあるのです。

相続発生時にまとまっていた話でも、
時がたてば
「やっぱりあの話は納得できない」
と態度を変える兄弟姉妹のこともあります。
子供のいないご夫婦の場合
配偶者が亡くなって、妻が相続することでまとまっていた話でも、
義兄や義姉 さらにその子供である義理の姪や甥まで相続関係人です。
しかし、
すでに何十年もあったこともないし交流も一切ない。

そんな状況ですんなりハンコを押していただけないこともあるのです。

ハンコを盾になんらかの金銭的要求があることも珍しくありません。

相続発生時の経緯を一切知らない専門家に相談されたら
「そのマンションは3000万円の価値があります。
 法律的にはあなたにはその6分の1の権利があります。」
という回答かもしれません。

「ハンコを押して返せば20万円を支払うと書いてあったが、
 3000万円の6分の1の500万は権利があるじゃないか!」

そんな誤解を生む可能性だってあるんですね。

土地の相続問題は不動産の評価額が大きな争点の不動産相続トラブル

相続した土地の評価の難しさ

代償分割という言葉をご存知でしょうか?

相続人に一人が、その不動産を相続する代わりに金銭で他の相続人に支払う分割方法です。

しかし、それもすんなり話がまとまるのも難しいことがあります。

不動産の市場価値の評価は難しい

調停や裁判でよく争点になるのが、土地建物などの不動産の評価額です。

不動産は相続人各自がその相続分に基づいて持ち分を共有します。
その共有持ち分をお金に換算して支払うのが代償分割なのですが
その基となる評価額

支払う相続人はできるだけ低い評価額を
貰う相続人はできるだけ高い評価額を希望します。

そのため各相続人がそれぞれの不動産会社に依頼して
自分の意向をくんだ査定額を提示することもあります。

その開きが結構大きい?
そんなこともあります。

これが不動産の評価の難しいところです。
見方によって大きく評価が異なることも珍しくないのです。

調停・審判でもめると競売という最終手段も

各相続人がまったく歩み寄らない?
そんな時には最悪 競売にかかってしまうこともあります。

競売は必ずしも正常な市場マーケットを形成しておらず
思わぬ低い値段で競落されてしまうこともあります。
※普通の方は競売で不動産を買うことはあまりないですよね。

ですので、
「競売になると不利益が被りますよ!」
とアドバイスさせていただいて
長年もめていた相続トラブルがやっと解決したこともあります。

調停・審判についてはこちらを参照してみてください

土地の相続問題解決は知恵次第で相続不動産の資産価値は高くも低くもなる

「うちには二束三文の農地があるだけですから・・・」
そんなご相談もあります。
確かに、農地の評価などはかなり低く抑えられています。

坪当たり2~3万円程度のこともあります。
仮に300坪あっても600万円から900万円
自分の財産はその程度と思っている方もいます。
もしそれが住宅地に転用できるなら・・・?
いきなり10倍20倍に大化けする?
そんなことも現実にあるのです。
もちろん
立地条件
農地転用の手続き
なども十分調査しなければいけないのですが
この辺は我々 不動産コンサルタントの出番ですね。

「この不動産は2000万円の価値がある」
そんな風に考えていた方もがっくりと肩を落とした勘違い?

単純に税理士さんの相続税評価を信じたようです。

しかし、実際に現地を見れば・・・・・

法地 がけ地で家が建たない(建築可能でも造成費が莫大に必要)
前面道路に2M以上接していない。(建築基準法上 家は建ちません)
地形が著しく悪い。
(地形によって大きく市場価値は変わります。間口がわずか4m程度では家らしい家は建ちません)
セットバック(建築後退線)を見落としている。

などなど
様々な減価要因が見つかることもあります。

「2000万円と思っていた不動産がわずか数百万円でも売れない物件だった!」

そんなこともあるのです。

収益性の低いオンボロ賃貸アパートを建替えるため立ち退き交渉は素人には難しい

オンボロアパートでは収益性が低く、高値で売れません。
そこで、立ち退きを完了させてから売れるとよいのですが
相続税の納税資金から時間が無い場合もあります。
そんな足元を知ってか知らずか、
法外な立退き料を要求してくる賃借人もいます。
家賃3万円のアパートで数百万円の立退き料なんて要求してくる人もいます。
よくあるケースは【誰かの入れ知恵?】ということも考えられます。

やはり、そんな場合は
時間がかかっても裁判で白黒つける。
その道のプロに売却する。
というのも選択肢に入ると思います。

その道のプロをお探しなら一度 私にも相談してみてください。

プロの不動産業者の立ち退き費用の見積は、業者によってはかなりの金額の開きがでます。
ですから、たとえ賃借人がそのままいる状態でも
結構高く買い取ってくれる不動産業者もいれば
トホホの値段しか提示してこない不動産業者もいます。

信頼できる不動産業者がいれば、相談してみてください。

ただ、そんな居つき物件
普通の不動産業者ルートでは、なかなか高値では売れません。
一般の戸建やマンションなどの住宅物件の情報ネットワークとは微妙に異なります。
普通の不動産業者に依頼しても、なかなかそんな業者は現れないのでご注意を・・・
悪徳不動産屋

とにかく相続に強い?とまではいかなくても
親切で信頼できる不動産屋は必要だ!

もちろん、「それは私に相談してください!」だなんて恐れ多くて言えるものでもないですが
とにかく土地等の不動産の相続は相続の知識だけでなく
不動産に関わる法律
土地等の不動産の評価
に関する知識も必要になってきます。
ですから弁護士・税理士などの専門家だけの力ではちょっと不足気味なんですね。

笑顔の江本

私は
「人生において三種類の人間と友達になっておけ!
 それは
 弁護士と税理士と不動産屋だ!」

だなんて考えています。
ぜひ、あなたの友達に加えていただけると恐縮です!

でも、この生き馬の目を射抜く不動産業界は海千山千のタチの悪い不動産業者も多いのも事実です!
大手であっても零細な不動産屋であっても決して簡単に信用はしないで下さいね。

笑顔の江本

ええ、この私も不動産屋ですから信用してはいけませんよ!(笑)

相続・遺産問題・遺言書でわからないことは弁護士に相談が早道!

■いくらネットで検索しても無駄です
相続のもめごとは百人いれば百通りで同じケースはありません。
だからネットでいくら解決策を探していてもあまり意味はないのです。
遺産分割で納得できないが自分の主張が正しいのか?間違っているのか?
そんなモヤモヤを抱えたままずっと悩んでいるよりも弁護士に相談するのが解決の早道です。
「相続弁護士ナビ」では、全国の相続に強い弁護士の情報をご提供するサイトです。