曾祖父の土地の相続で注意したい家督相続
曾祖父が亡くなったのが~昭和22年5月2日以前ならば相続では旧民法の家督相続が適用されます。家督相続とは長男ひとりがすべて財産を相続するという制度です。
このあたりが曾祖父の土地の相続でもめやすい要因でもあります。

私は相続専門の不動産会社なのですが時々出くわすのが
曾祖父(祖父)の名義のままの土地や建物などの不動産のご相談
なのです。
よくあるのが
忘れ去られた祖父や曾祖父名義の土地が突然現れる?
ということがあります。
例えば突然役所から身に覚えのない土地の固定資産税請求書が送り付けられてきて初めてその土地の存在を知ることもあるのです。

泣く江本

こんな相続トラブルに出くわすと私も頭を抱えてしまいます。

気付いた時にはもう相続放棄もできないのが曾祖父の相続


「曾祖父の土地?そんなのいりませ~ん!相続放棄しま~す!」
はちょっと難しい相談です。
なぜなら相続放棄とはゼロか百
すべて相続するか?1円も相続しないか?どちらかです。
おそらく父親の遺産はすでに何らかの形で相続しているはずでは?
ですから、もうあなたは父親から引き継いだ曾祖父や祖父の遺産の相続人なのです。
もし、父親の遺産も今から相続放棄したい?と考えてもすでに相続放棄の期限(相続発生後3か月以内)は過ぎていると思います。

曾祖父・祖父名義の土地の法定相続人は?

曾祖父・祖父名義の土地の法定相続人は?
曾祖父の相続人は祖父になります。
その祖父の相続権は父親になります。
その父親が亡くなれば相続権はその子供が引き継ぎます。
このように亡くなった親の相続する権利を代襲相続と言います。
また遺産分割協議や相続登記が終わらないうちにその相続人が死亡した相続のことを数次相続と言います。

放置していれば延々と続く代襲相続

これが相続ではかなり頭を抱える問題を生み出しています。
最初の相続では子供たち(兄弟姉妹)だけで相続の話し合いです。
しかし、次の相続では従兄弟同士
さらにその次の相続では「はとこ」同士の相続の話し合いとなります。
「従兄弟(従姉妹)」や「はとこ」ではもはた交流どころか居所や連絡先する分からなくて当たり前ですからその遺産分割協議も難しいことはご理解いただけると思います。

司法書士もギブアップする相続人調査

今回の場合は建物ですから解体取り壊しの方法もあってまだ解決の糸口はあります。
しかしこれが土地の場合だともっと大変です。

相続放棄ではなく相続放置された土地がどれだけ多いことか

相続放棄ではなく相続放置をしているケースはもう巷に溢れています。
遺産分割の話し合いがきちんとついていても最後の相続登記(相続人への名義変更)まで終わらせない方が多いんですね。
確かに面倒くさいし登記費用も掛かってきますから「そのうちに・・・?」と考えてはいてもすぐにそのことを忘れてしまうのかもしれません。
相続手続き(登記名義変更)が終わっていなければ実態は相続の話し合いがまとまっていても法律上はなにも終わっていないのと同じです。

曾祖父から相続したその土地の存在すら知らない相続人たち

おそらく曾祖父の土地のことなんて多くの方がその存在すら知らない相続人たちばかりだと思います。
最近はこの問題が社会問題化しています。
こんなニュースをご覧になった方も多いはずではないでしょうか?

この問題は国も深刻に考えているようです。
日本全国の所有者不明の土地って合計すると九州に匹敵するらしいです。
だからこそ「特定空き家措置法」まで施行していろいろな対策を講じています。
また相続登記を義務化する動きもあるようです。
※現実にできるかは大変疑問ですけど・・・
もちろん、強制的に国や自治体が解体した費用はその持ち主(相続人)に請求されてしまいます。

実態とは異なることもよくある法律上の所有権(登記名義人)

対外的に「この土地の所有者はこの人」という証明するのは法律上の所有権者は登記名義人になるでしょう。しかし、その登記名義人が亡くなったら随時その権利もその相続人に引き継がれるのです。
ですから、実態と法律上の所有者は異なることも少なくないのです。
売るにしても、建て替えるにしても、お金を借りるために抵当権を設定するにしてもいつかは相続登記は完了させてきっちりと権利関係をスッキリさせなければいけません。

1円の得にもならないこともある曾祖父の相続手続きだがいつかは誰かがやらねばならぬ?

1円の得にもならないこともある曾祖父の相続手続きだがいつかは誰かがやらねばならぬ?
できれば見て見ぬふりをしていお気持ちは理解できます。
しかし、それはかなりリスクもある事なのです。
火事や事故などのなにか万一のことがあった場合の管理責任者は相続人たちだっからです。

あなたの次の世代はもっと苦労す

ただでさえ多い相続人たちへの連絡や話し合いですが、これが次世代になるとさらにもっともっと大変なことになります。
そんなお荷物まで次世代に相続で引き継がせたくはありませんよね。

今すぐに司法書士や弁護士とともに曾祖父の相続手続きをすぐに着手しましょう

今すぐに司法書士や弁護士とともに曾祖父の相続手続きをすぐに着手しましょう

放置されてきた曾祖父の相続手続き
できるだけ早めに司法書士や弁護士に相談して着手することをお勧めします。
もはや膨大で複雑な相続人の調査は素人にはしいと思います。

司法書士なら職権で戸籍謄本の収集ができ住所や連絡先のわからない相続人の調査もできます。
相続人全員による協議が難しい場合には「相続人全員を被告として訴訟を提起し、勝訴判決を得てその判決で名義を移転させる」という裏技も弁護士なら可能です。
しかし、そうするとしてもかなりの時間が要することは覚悟しておかないといけません。
相談できる司法書士や弁護士がいない場合はこちらの記事も参考にしてください。

できることなら曾祖父名義の土地の売却も考えて

曾祖父名義の土地の売却
曾祖父の相続手続きには労力も費用もかかります。
また他の相続人との遺産分割協議をまとめるのにもやはりお金の話は避けては通れません。
ですから、この機会に曾祖父名義の土地などは売却もお考えになられてはいかなでしょうか?
確かに値段のつかない?売却の難しい場合も少なくありませんが・・・・
参考:実家の売却|相続専門不動産会社の円満な実家売却のやり方