親が老人ホームに入所したりして、まはや誰も住まない空家になってしまった?その親の持家(実家)を売却処分するか?空家のままおいておくか?賃貸に出して家賃収入を得るか?
果たしてどれがベストの最善策なのか?
なかなか難しい問題です。

答えからお話しするとケースバイケースなんです。(汗)

実家を売却する時期

相続税対策から考えれば親の持ち家(実家)相続発生まで売却しない方が良い?

相続税における親の持家(実家)などの不動産の評価の仕方は
【土地】は路線価評価額を基に
【建物】は固定資産税評価額を基に
計算します。

この相続税算出の基となる額は、不動産に関していえば大抵時価相場よりもかなり安くなることが多いです。
一度、ご自分で確認してみてください。
土地は国税庁の路線価図を参照

建物は市役所・区役所から来る固定資産税請求書やそれが無ければ固定資産税評価証明書を役所に請求すればわかります。



さらに賃貸に出して貸家・貸家建付地になれば評価減となります。

「やはり親の持ち家(実家)はまだ売却したくはない!」
「親の介護の費用の足しに賃貸からの家賃を充てたい!」
そんな場合は、賃貸にするのもありっちゃあありなんですけど・・・・。

でも、賃貸に出すには最初に大きなリフォーム費用がかかります。
また、いったん人に貸せば空き家になるまで売りにくくなります。

一応、人に貸している土地・建物の不動産は、相続税評価においてさらに減額されての評価となります。
建物は借家権割合(30%)の評価減になります。
土地は借地権割合(60%~70%)×借家権割合(30%)の評価減となります。
ですから建物は固定資産税評価額の70%程度、土地は路線価評価を基に算出した金額の80%となりますから、その分 相続財産が少なく評価されることになります。そういう相続税対策という視点からは有利になります。

ただし、『小規模宅地の特例』を利用する場合は賃貸にださずに空家のままのほうが良い場合もあります。

『小規模宅地の特例』とは一定の要件を満たしていれば、
ある面積までは80%(居住用の場合)まで減額評価されます。

例えば、そのままでは3000万円の相続税評価額の土地がわずか600万円(▲80%減額)されることになります。
ですから、そのまま空き家でおいておいた方が得策なこともあります。

ただし、この『小規模宅地の特例』は
誰がその親の持家(実家)を相続するか?
その相続人はマイホームを持っているかどうか?

などさまざまな要件がありますのでご注意ください。



親の持ち家(実家)を売却すると譲渡税がかかる場合もあります。

親が実家を購入したのが、まあこの20年から30年前程度であればさほど譲渡益というものは発生していないのではないでしょうか?
また、その程度の時期であれば購入時の契約書などもきっちり保管されていると思います。
ただ、問題はもっと前に購入した?親が先祖から相続した?そんな不動産ならちょっと注意しなければいけません。

昔に購入したときの契約書が見つからない?
また、購入した契約書が出てきても坪5円とかいう契約書のこともあります。
昔の貨幣価値を今ではかなり異なりますからね。

購入費が不明ならば一般的に取得費は売却価格の5%とされる。

購入金額が不明の場合は取得費が売却価格の5%として譲渡益の計算をしなくてはなりません。
仮に5000万円で売却したのならその95%の4750万円に対して税金がかかるのです。
(売却にかかる諸経費も参入できますがここでは簡略計算のため考慮せず)
長期譲渡の場合、税率は20%程度ですから約950万円の税金がかかることになります。

居住用のマイホーム売却には軽減措置(3000万円控除)があります。

マイホームを売却する場合には、大きな税金軽減措置があります。
それは『3000万円控除』です。

「譲渡益がでても、そこから3000万円は差し引いて計算してもいいですよ!」という制度ですから大抵の方は税金がかからない 又は大幅に軽減されることが多いのです。
前例の場合は(4750万円―3000万円控除)ですから1750万円に対しての税金となります。

問題は老人ホームに親が入所した場合、
親の持家(実家)は空家となり居住用財産(マイホーム)と税務署はみてくれるか
どうか?

税金でのマイホームという定義は、『その者が生活の拠点として利用している家屋』とされています。
親が老人ホームに入所してしまうと、もはやその生活の拠点として利用していおる家屋であるとはいえないと判定されることがあるのです。

空家であろうが賃貸の貸家であろうがもはや親が老人ホームへ入所したら親の持家(実家)はマイホームではなくなる?

老人ホームへ入所したら、『その者が生活の拠点として利用している家屋』ではなくなり、税金面ではマイホームとして認めてくれないのですから売却時においては不利になります。

住民票をそのまま実家においておいても否認されることがあります。
※実態調査をされる場合があります。

ただし、三年経過後の12月末までに譲渡すれば3000万円控除などマイホームの売却時の税金の軽減措置が使えます。

国税庁の通達(あくまで通達ですが・・・)にこんなものがあります。

特例を受けるための適用要件

(1) 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の二つの要件すべてに当てはまることが必要です。
イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。
ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。
(2) 売った年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの買換えやマイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
(3) 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。
(4) 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日まで(注)に売ること。
 (注)東日本大震災により滅失した家屋の場合は、災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までとなります(「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて(個人の方を対象とした取扱い)【東日本大震災に関する税制上の追加措置について(所得税関係)】」をご覧ください。)。
(5) 売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと。
 特別な間柄には、このほか生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
国税庁ホームページより

ですので、相続税はかからない相続財産(基礎控除額以内の相続財産である)であり、また売却すると大きな売却益が見込まれる?
そんな場合であれば親が老人ホームjに入所して概ね3年以内に売却するほうが有利な場合もあります。

ただ、もう『親が必ず老人ホームから帰ってくることはない!』と断言できるかどうか?
微妙ですよね・・・(汗)

老人ホームは終の棲家ではない?

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「最後は、親の住みなれた自分の家で見送ってやりたい!看取ってやりたい!」

「老人ホームへ入所したが、諸般の事情により追い出されてしまった・・・・!」

「親の最期の望みは『家に帰りたい!』と懇願されて困ってしまった・・・

そんな最後の最後で困ってしまうこともあるのですよ。

必ずしも老人ホームが終の棲家とは限らない場合もあるのでご注意ください。
認知症がひどくなった?他の入居者に暴言・暴力行為を働いた?胃ろう(食事を管を通して供給)などその老人ホームで対応が出来なくなった場合には追い出されることも現実にあるのです。

ただ、微妙なのはもう老人ホームから帰れない状況であるかどうか?の判定もあります。

その老人ホームへの入所が、精神上身体上の理由で介護を受ける必要がある為であり、いつでも自分の家に帰ることができるように維持管理ししてあれば、老人ホームの入所期間に関係なく自宅として認めてもらえる可能性もあるのです。
このあたりのさじ加減は微妙ですので税理士などの専門家のアドバイスも必要ですね。

まとめ

ですから一概に「親が老人ホームに入所して空家になった実家をどうすればいいのか?」はケースバイケースで異なるのです。

老人ホームへの費用など親の介護費用に充てる場合であれば、およそ3年以内に売却したほうが有利です。
(ただし売却益が大きくでると予想される?親の介護費用が心配rec)
親の持ち家(実家)を子供の誰かが相続する予定?
あるいは
相続税を低く抑えるため?
であれば空き家のままおいておく方が有利ともいえるのです。

ケースバイケースなんですね・・・(汗)

これが、いつも「老後・介護・相続では100人いれば100通りの対策になってしまう!」といっている理由です。


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いつか介護の限界がきた時に慌てないために、予め老人ホームのことを調べておくことをおすすめします。
意外とそんな時にケアマネージャーがアテにはならないからです。
※系列会社の老人ホームしかすすめない。
※子供が親を呼び寄せる場合など地域が離れた老人ホームの情報は知らない。
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