親の家を相続した時の固定資産税

役所から突然あなたのもとに相続も住んでもいない親の家の固定資産税の請求書が届いたらどうしますか?
これ、意外と私のもとにも多い相談なんです。
実は相続していないといってもきちんと相続登記まで完了していないとこんなことがおこるのです。

相続放棄した実家の固定資産税の請求書があなたに送られてきた?(驚)

固定資産税

何十年も前に終わった実家の相続の話・・・?
でも、ある日突然こんな風に役所から
『この家の固定資産税が滞納されています!大至急お支払いください!』
と請求書が届くことがあります。
では実際の例をお聴きください。

相続税もかからない程度の遺産であれば相続が起こってもわざわざ相続の手続きをまったくしない方も少なくありません。相続登記ってそれほど大きな金額もかからない(15万円くらいが多い)のが普通なのですがやっぱり相続登記をするには相続人全員の署名や実印、戸籍や住民票など必要書類もすべて揃えるのも大変ですよね・・・(汗)
でも、相続が起こったらきちんと相続手続きは済ませておかないとこんな風に後からズルズルと問題が起こってきます。
それも何十年もあとになってからなので驚く方も多いです。

実家の固定資産税請求はは代表納税者にきていただけ!実は相続放棄になってはいない

多くの方が考えている「相続放棄」、それって「相続放棄」じゃなく「相続放置」なんです。
相続の遺産分割の話はついているもの?と考えている方も多いのですが、きちんと相続手続きを完了していないとまだ遺産分割は終わってはいないのです。
不動産の場合はきちんと相続登記(親の名義から相続人の名義に変更)までしないといけません。
相続登記が終わっていなければいくら相続人間で遺産分割の話がついていても対外的には準共有の状態となるのです。
何らかの事情によりその親の家に住んでいる方や相続した方が固定資産税を滞納したらそれは準共有状態の共同所有者の連帯責任になります。

相続した実家の固定資産税を滞納したままだとどうなる?

差し押さえ
固定資産税、よほどの大邸宅でもない限り年間数万円だと思います。
ですから払えないほどの金額でもないのですがこれからもずっと支払い続けていくのはちょっと筋違いですよね?
まあ数か月程度の固定資産税・都市計画税の滞納であれば大きな問題でもないのですがこの滞納が1年以上となってくると問題が発生します。

土地や建物が差し押さえられる

固定資産税の滞納があるとまず督促状が役所から送られてきます。督促状には『期日までに未納分の固定資産税の支払が無い場合には土地や不動産を差し押さえる』という内容が書かれています。この督促を放置していると、家ごと差し押さえられるという事態になりかねません。

給料や預貯金が差し押さえられる

この差押えが行われると最悪の場合は預貯金口座まで及ぶこともあります。銀行などに現金を預けている場合、残高が差押口という別口座に移される場合があります。

延滞金が請求される

滞納した場合、東京都では年利9.0%という高い延滞金が発生することになり、毎年、年間で元本の1割近くが増えていってしまいます。長期滞納してしまうと延滞金の納付も容易ではありません。

競売(公売)にかけられる

役所は滞納されている固定資産税の回収のため差し押さえられた親の家は競売(公売)で売却されます。
また他の財産(銀行預金・動産など)にも差し押さえされます。(国税徴収法75条)

競売だと安く買い叩かれても仕方ありません

競売形式では普通の住宅ローンも使えませんし、主に入札参加者は転売目的の不動産業者がほとんどです。
ですから競売にまで進んでしまうと二束三文とまではいいませんがかなり安く買い叩かれることも覚悟しなければいけません。

すぐに遺産分割の話をつけるか?売却の話をつけなければいけません

親の家を売る話し合い

このままズルズルと放置していてはずっと他人(といっても兄弟親族ですが)の住んでいる固定資産税・都市計画税を支払い続けるのもシャクデですし筋が違います。
滞納している本人たちは
「ここを追い出されたら住むところが無くなる!」
と訴えてくるかもしれません。
しかし、固定資産税の肩代わりがいつまで続くかといえばたぶんずっとでしょう。

「いつか売却した時に清算すればいい?」

これが意外と問題になります。
固定資産税の肩代わりも1年や2年なら金額もしれています。
でも、10年20年となるとかなりの金額に膨れ上がるのです。

ですから
「いつかこの親の家を売却した時に清算する?」
という口約束は信用できないのです。

あなたの相続問題はあなたの代で終わらせる

遺産相続の問題は10年20年いや数十年も続くものも少なくありません。
時が経てば経つほどその問題解決は難しくなります。

ここは非情になってでも問題は早めに解決することをお勧めします。
共有状態の不動産の売却は相続人全員の了承納得が必要なのですがこれが時間がたつともめるのです。

笑顔の江本

良かれと思ってしてあげてきたことでも今度は向こうがキャスティングボードを握って強気に出てくることもあるのですよ・・・(汗)
人間 自分に都合の悪いことはすぐに物忘れするものですし、次世代にまでズルズル続けばその時の経緯や事情は伝えられてはいないものです。