親のお葬式やお墓の段取りなどすべて自分だけで取り仕切る親と同居していた長男などに文句を言えない別居してきた弟や妹たち。
葬式費用やお墓のお金
それどころか遺産相続の話すら一切しない同居の長男に
親の財産を自分のもののようにしている?
なんて疑心暗鬼にもなりがちです。

親の遺産を調べたいけれどや同居してきた兄や姉に何もいえない弟妹

悩む親の死に悲しみにくれている自分に比べて、
気丈に振舞っている兄や姉。
本当に頼もしいですよね。

私自身、末っ子の甘えん坊でしたから
親の葬式やその手続き
なにもできませんでした。

数年前の母が亡くなった時には、
3つ年上の兄が中心となって、無事に取り仕切ってくれました。

私は、ただ「自分の親がこの世からいなくなる」という現実を受け入れられず
ただただオロオロするばかり、泣いているだけでした。

年上の兄や姉には、なんら口出しできない
オトンボの私だったのです。

近所の人には
「江本さんとこ、上のみっちゃんやけいちゃんはしっかりしているのに
 末の伸ちゃんはポーーッとしてるわね・・・」
なんて言われていました。

そんな僕と同じような兄弟姉妹の関係の方もたくさんいるんじゃないでしょうか?

兄の言うことは絶対
姉の言うことは絶対
末の弟や妹なんて、あんまり口出しできないものですよね。

ただ、それもそうです。
親の介護などの面倒
やっぱり長男や姉などの年長者が中心となってみてくれていました。
特にうちの家庭では長男は大変でした。
気楽なボーーっとしている末の弟の私に比べ
数段しっかりしている兄や姉でした。

そんな今までの立ち位置なので遺産相続のことなど訊けない

そんな兄弟姉妹の微妙な関係において
特に親と同居している長男などに対して
「親父の遺産はどうなっている?」
「おふくろの財産はいくらあるんだ?」
なんて、とても訊き出せないですよね。

でも、自分も貰えるものなら親の遺産は欲しい!

重くのしかかる住宅ローン
子供の教育資金や結婚資金
いくらでもお金が必要になる世代がまさに相続に直面する世代なのです。

一番、気にしているのが妻や夫などの配偶者

「ねえ、パパ、
 お義母さんが亡くなってもうすぐ四十九日ね。
 お義母さんの遺産はどうなるのかしら?」

「○子、お義父さんの遺産はどれくらいあるんだい?」

不謹慎なのは承知で、そんなことを訊いてくるのが自分の親とは義理の関係である
妻や夫のこともよくあるのです。
だって、所詮 義理の関係です。
今までの生い立ちや兄弟姉妹の育ち方や経緯などをしっかり理解していないこともあります。
法律上は相続は兄弟姉妹みんな平等?
それがいまの相続に関して一般的な常識になっています。

相続税もかからない親の遺産なら調べることも難しく財産隠しは防げない

お金
相続トラブルはお金持ちだけ?
そんな認識をみなさんお持ちでしょうが、
現実にはそうでもないんですね。

相続税の申告の時には、どれだけの遺産があるか?をきちんと申告しなければいけません。
相続税がかからない基礎控除額の遺産相続なら相続税の申告は不要です。
ですから、親がどんな遺産を残したか?はオープンにならないこともあるのです。

相続税の基礎控除

相続税の基礎控除額をご存知でしょうか?
相続税基礎控除額は
3000万円+法定相続人×600万円
になります。
これによって、相続税がかかる人も増えてくるとは思いますが
きちんと配偶者控除・小規模宅地の特例などが使えれば
それほど多くの人には相続税がかからないと私は考えています。
※ただ、特例を活用するためにはきちんと申告しなければいけませんよ!

相続税がかかる人はごく一部

このように、ほとんどの方には関係ないのが相続税なのです。

もめる相続トラブルの遺産のほとんどは5000万円以下

でも、調停にまで持ち込まれるほどもめる相続トラブルは
この10年で30%も増加しました。

そして驚くことに
1000万円以下の遺産でもめる人が31%
5000万以下で調べれば約75%にまでを占めているのです

どうして相続の遺産分割はもめるのか?

OOK85_naisyodayo500それは、みなさん相続について認識が甘すぎるのが原因ではないでしょうか?

お金は魔物です。

黙っていれば、他の兄弟姉妹にはわからない・・・?
そんな気持ちが、どこか心の隙間に産まれてしまうこともあるんです。

遺産隠しを防ぐために親の財産を調べることはできないのか?

相続財産の洗い出し
「自分の親がいくら財産を持っている・・・・?」
そんなことを知っている子供なんて普通はいません。
まして、離れて暮らしていればなおさらです。

どんどん年老いていく自分の親です。

銀行や郵便局に出向いていくのも億劫になります。

おのずから、親の財産管理は
同居している長男や
親の近所に住んでいる姉や妹
に全てお任せ状態ではないでしょうか?

そんな状態でもし相続が発生したら・・・・

そんな事情もあって、相続発生後に
あれほど仲のよかった兄弟姉妹の間でさえ、
あらぬ疑念が発生することもあるのです。

他の兄弟姉妹(親の財産管理をしていた人)から
遺産の内容を教えられて不信感を持つこともあります。

「同居の長男が親の遺産を隠している・・・?」
「長年 親の世話をみていた近所の姉が
  親の遺産を独り占めしようとしている・・・?」

いざ、打ち明けられた親の遺産の額に
不信感を持ってしまう他の兄弟姉妹が出てくることになるのです。
次男の怒りそんなことのないように、予め親の財産を調べる方法は無いのでしょうか?

個人情報保護の壁

残念ながら、いくら子供といっても本人に成り代わることはできません。
個人情報保護という観点から
銀行に
「自分の親の預金はいくらありますか?」
市役所や区役所に
「自分の親名義の不動産はどれだけありますか?」
といっても教えてもらうことはまず難しいでしょう。
※生前には無理なことも多いが、それでもできることはたくさんあります

もし、「自分の親の財産を相続が発生する前に予めは把握しておきたい!」と考えるのならば準備しておくことはたくさんあります
ほんの一例を挙げるのならば

親の取引のある銀行の支店を調べておく。

これにはカレンダーやノベルティも有力な手がかりになります。
自分の親の実家からの距離を考えても各金融機関の支店を予め把握しておくことで
後の調査が非常に楽になります。

親に届いた固定資産税の請求書も見ておく。

毎年5月ごろに役所から固定資産税などの請求がきます。
そこにはおそらく所有不動産が一覧表で記載され
複数の不動産をお持ちであれば、合計額が記載されていますから
各不動産を特定することもできます。

さらには事前にその不動産の登記簿謄本を調べておくことも重要です。
そのときには共同担保目録付きで請求してくださいね。

親が亡くなった後に親の遺産を調べる方法

はい、ここからが本題ですよね。
教えられた親の遺産の額に不信感がある場合の調査の方法についてお話していきたいと思います。

銀行預金編

銀行
まず、銀行・信用金庫・信用組合・郵便局
どの金融機関のどの支店を利用していたのか?
それがわかればよいのですが、わからない場合は
ある程度、推測でその金融機関の支店へ出向かなくてはいけません。

ここで、予めどの銀行?どの支店?
がわかっていれば助かります。
相続人から調査を依頼すれば、亡くなった親が取引をしていたかどうか?教えてもらうことが可能です。

相続手続きにも必要な残高証明書

親が亡くなった時点での銀行預金の預金残高の証明書は相続手続きにおいても必要な書類です。
ですから、相続人が申し出れば残高証明書は比較的簡単に発行していただけます。
が、しかし・・・・

亡くなる直前に親の預金が引き出されていることも考えられます。

預金口座本人が亡くなれば、その銀行口座は凍結されて預け入れも引き出しもできなくなることがご存知ですよね?
ですから、亡くなる直前に銀行預金を引き出しておく方もいらっしゃいます。
ところが、残高証明ではその辺がわからないのです。
では、それはどうすればいいんでしょうか・・・・?

取引履歴は過去数年間にわたっての取引が記載してあります。
これを見れば、
何月何日 いくら引き出された?
とお金の流れが一目瞭然です。

もし、親が亡くなる直前に大きなお金が引き出されたのなら
その使い道が気になりますよね?

お葬式の費用にしては大きすぎる金額が引き出されていれば
そのお金がどこにいってしまったのか?

親の全財産を管理していた相続人の方に質問することもできるのです。

ただ、この取引履歴の開示は金融機関が拒否をすることも多いのです。

相続人全員の申請がないと取引履歴は開示しない
そんな金融機関が多いのです。

相続人全員・・・・?
もし、それを見られては困る相続人がいれば、
協力などしてくれませんよね。

このように相続人の誰かひとりだけが、親の遺産の内容に不信感を持ってもなかなか銀行預金は調べることができなかったのが現実です。

しかし、最高裁で相続人ひとりからでも可能という判例がでました。
平成21年の1月に最高裁の判決で
複数いる相続人の1人から、遺産の預金先の口座記録を開示するよう求められた場合、金融機関に開示義務があるかどうかが争われた訴訟で、最高裁は、「相続人は単独で開示を求められる」と判断。妥当である。
と判断されたのです。

これにより、最近では金融機関もその取り扱いに変化が見られたと聞いていますが、
まだまだその対応は金融機関によってまちまちです。
もし、相続人のひとりからだけの取引履歴の開示請求を拒む銀行などがあれば、
この最高裁判例を引き出して交渉してみるとよいと思います。

手続きに必要なもの

こういった手続きは、簡単にはできません。
フラッと銀行の窓口に手ぶらで訪問してもできません。
きちんと故人との関係性を証明しなければいけません。

ですから、
親との相続関係を示す書類として戸籍謄本
請求する人の実印と印鑑証明書

などが必要です。
※各金融機関で必要書類は異なりますので事前に確認しておきましょう。
また、手続きには日数がかかることも多いです。
数日から数週間もかかる場合もあると聞いています。
また、その手数料も一口座あたり数万円もかかります。

念のため、口座の凍結の影響も考えておきましょう。

口座名義人が亡くなれば、原則口座が凍結されます。
今まで口座名義人の死亡を知らなかった銀行も、
そこで死亡がわかるものですから
口座が凍結されてしまいます。
そうなれば、銀行の自動引き落とし(電気・ガスなど)も全てストップされてしまいますのでご注意くださいね。
意外と金融機関の口座凍結解除の手続きは、結構 煩雑なことも知っておいて下さいね。

不動産編

親が持っている土地や建物などの不動産は実家の自宅だけなら問題はありません。
相続関係人であるあなたに無断で名義を変えることはできません。
ただ複数の不動産を持っている場合は少し気をつけないといけません。

その場合、役所に行けば固定資産税課税台帳で調べることができます。

固定資産課税台帳は別名名寄帳とも呼ばれ、
納税義務者ごとに不動産の一覧で記載されています。

これを調べれば、
自分の親がどんな不動産を所有していたのか?
がわかります。
※ただし、同一の市や区の管轄内のみでのデータになります。
 異なる市町村では、また調べる必要があります。

各市町村で必要書類も異なることもあるので事前に確認しないといけませんが
原則、故人との相続関係を証明する戸籍謄本は必要でしょう。
費用は無料または数百円程度と思いますし、郵送でも対応してくれると思います。

「そういえば、親父 田舎になにか不動産も持っているって話していたような気がする・・・」
そんな場合は、お父さんの田舎の市町村で調べれば判明すると思います。

また、登記簿謄本の乙区欄に記載されている共同担保目録で
過去にどんな不動産が担保に入っていたかを調べることによりわかることもあります。

ただ、銀子預金に比べれば隠すことはできないといえます。
不動産の場合、名義を変えるのには相続人全員の了承を証明する遺産分割協議書なるものをさくせいしなければいけません。(遺言が無い場合)

ですから、不動産に関してはそれほど神経質になる必要はないかもわかりませんね。

もし知らない親の遺産がみつかっても、相続でもめないようにするには?

兄弟での相続トラブル
もし、自分の知らない親の遺産が見つかったらどうしますか?

「そりゃあ、許せない!徹底的に追求しますよ!」
なんて熱くなりすぎてはいけません。

立場が変われば、事情が変わる?
果たしてそれに悪意があったのでしょうか?

介護に使ったお金ではないでしょうか?

長年の同居や介護の苦労を考えれば、
その見返りとしての部分も考えてあげなければいけないのではないでしょうか?

そんな簡単に判断できることではないかもわかりません。

追求するなら縁を切る覚悟も必要?

いざ、そのことを追求するのなら
兄弟の縁を切る!
姉妹の縁を切る!

そんな覚悟も必要かもわかりません。

でも・・・覆水盆に返らず

いったんことをあらたげることは、
お互い引くに引けないことにもなりかねません。

切り出し方に気をつけよう

いきなり事をあらげても、お互いの得になるとは限りません。
ですから、切り出し方にも注意しなければいけません。
間接的に自分が親の遺産の内容を知っていることを
さりげなく、さりげなく
切り出してはいかがでしょうか?

そうすれば、ひょっとして隠していたことを知られた?
と感づいた他の相続人から、
本当の親の遺産のことを打ち明けてくれるかもわかりませんね。
親の遺産相続でもめたくないなら、北風と太陽作戦でいきませんか?
亡くなったお父さんやお母さんは
決して自分の子供たち同士が
相続で険悪な関係になることなど望んでいませんからね!

相続・遺産問題・遺言書でわからないことは弁護士に相談が早道!

■いくらネットで検索しても無駄です
相続のもめごとは百人いれば百通りで同じケースはありません。
だからネットでいくら解決策を探していてもあまり意味はないのです。
遺産分割で納得できないが自分の主張が正しいのか?間違っているのか?
そんなモヤモヤを抱えたままずっと悩んでいるよりも弁護士に相談するのが解決の早道です。
「相続弁護士ナビ」では、全国の相続に強い弁護士の情報をご提供するサイトです。