成年後見人制度のデメリット
今あなたが認知症になってしまった家庭裁判所に親の後見人を申し立てるべきかお悩みですか?
意外とデメリットも多いのがこの後見人制度ですからしっかりと理解してから成年後見人を立てるか?決断してくださいね。

確かに高齢者が認知症など判断能力が無くなってしまうと日常生活においてかなり不便なことが増えてしまいます。それは判断能力が無いと判断された場合は重大な法律行為などが後で取り消されてしまうことがあるからです。そんな不安定な状況ではなにもできなくなります。

親を老人ホームに入れるために不動産を売却するため
定期預金解約など銀行のお金の出し入れのため
老人ホームへの入所契約のため
そんな理由で成年後見人を立てることを考えていかもしれません。
あるいは同居の家族など親の財産管理を任せている人が勝手に遺産の使い込みや遺産隠しを防ぐために成年後見人を考えているかも知れません。

確かに切羽詰った今の状況を打開するためには成年後見人を立てなければならないかもしれませんがしっかりと成年後見人の問題点も理解しておいてくださいね。

成年後見人のデメリット①
一度成年後見制度を利用したら途中でやめることはできない


成年後見人制度をきちんと調べずに慌てて成年後見人を申し立てて後で後悔する人も少なくありません。
一度成年後見人が決まって後見人業務がスタートすると原則もうそれをやめることはできないのです。
もちろん本人(被成年後見人)に判断能力が回復すれば成年後見制度の利用をやめることはできますが認知症の特効薬が未だ開発されていない現在ではそれは無理というものです。

一度選任された後見人を換えることもできない

家族や親族でない成年後見人が選任されることも多いです。
しかし正直そんな成年後見人の方の多くは片手間です。
本業は弁護士であったり司法書士であったりと本業は別にあります。
そのせいかあまり親身になってはくれない?形だけの成年後見人も少なくありません。
日常のルーティンワークのみだけ行なってくれてそれ以外のことを相談すると露骨に嫌な顔をされてしまうこともあります。
確かに熱い情熱や志の高い成年後見人の方もいますが私の出会う成年後見人の方はハシにも棒にもかからない「なんちゃって成年後見人」ばっかり?なんていうと叱られるかもしれませんね。(汗)
もう四角四面の杓子定規の融通のまったく利かない成年後見人にあたってしまうとかなり大変です。
「そんな成年後見人ならさっさと交代させれば?」と思われるかもしれませんが一度決まった成年後見人を換えることは中々難しいことも知っておいてくださいね。

また親族が成年後見人になった場合も正当な理由な簡単に辞めることもできません。
家庭裁判所にきちんとした説明や根拠を提示して認めてもらわなければいけないのです。
夫の成年後見人に妻がなった場合には「自身の年齢や病気・他の介護」などで後見業務の遂行が困難なことを説明してやっと成年後見人の解任が認められるのです。

成年後見人のデメリット②
亡くなるまで払い続けなければならない成年後見人への報酬

成年後見人への報酬
成年後見業務を行なうとそれに対する報酬が発生します。
親族が成年後見業務をする場合より第三者(弁護士・司法書士・社会福祉士など)が成年後見業務を行なう場合のほうが高額になるといわれています。それは仕方ないうかもしれません。

成年後見人への報酬は家庭裁判所が決める

成年後見人に支払う報酬は家庭裁判所が被成年後見人の資産状況を勘案して決定されます。
また地域によって物価水準も異なることから各地域の価値裁判所が独自に決定しています。
といっても一つの目安があります。

基本報酬

一概には言えないのですが一つの目安を東京家庭裁判所が示しました。

管理財産1000万円以下・・・月額報酬2万円
管理財産1000万円~5000万円・・・月額報酬3万円~4万円
管理財産5000万円~・・・月額報酬5万円~6万円
また成年後見人ではなく保佐人・補助人の場合も同様とされます。

成年後見人等の報酬額のめやす|東京家庭裁判所

後見監督人の報酬

親族などが成年後見人になった場合は身内ですので報酬という概念は無いかもしれません。しかし親族が行なう成年後見人業務を監督する後見監督人を家庭裁判所が定められることが多いです。その成年後見監督人には報酬が発生します。

管理財産1000万円以下・・・月額報酬1~2万円
管理財産1000万円~5000万円・・・月額報酬2.5万円~3万円

特別な行為をした場合の付加報酬

成年後見人等の後見等事務において,身上監護等に特別困難な事情があった場合には基本報酬額の50パーセントの範囲内で相当額の報酬を付加するものとされています。 また成年後見人等が例えば報酬付与申立事情説明書に記載されているような特別の行為をした場合には,相当額の報酬を付加することがあります(これらを「付加報酬」と呼びます。)。

ではこの臨時に報酬が発生する特別な行為とはなんでしょうか?
それは以下のようなケースとされています。
(1)訴訟
被後見人が不法行為による被害を受けたことを原因として加害者に対する1000万円の損害賠償請求訴訟を提起し勝訴判決を得て,管理財産額を1000万円増額させた場合約80万円~約150万円
(2)遺産分割調停
被後見人の配偶者が死亡したことによる遺産分割の調停を申し立て,相手方の子らとの間で調停が成立したことにより総額約4000万円の遺産のうち約2000万円相当の遺産を取得させた場合:約55万円~約100万円
(3)居住用不動産の任意売却
 被後見人の療養看護費用を捻出する目的で,その居住用不動産を,家庭裁判所の許可を得て3000万円で任意売却した場合:約40万円~約70万円
引用:東京弁護士会:成年後見の実務

笑顔の江本

相続不動産の売却や実家の売却のお手伝いをしている私には(3)の居住用不動産の任意売却が気になります。
3000万円で約40万円~約70万円ですか・・・(汗)
我々不動産仲介会社の手数料にも匹敵するような金額ですね。(驚)

これらの付加報酬はもちろん成年後見人が付加報酬を家庭裁判所に申し立てなければいけないのですがこんな目安があるので家庭裁判所もこれくらいを認めるのでしょうね。(汗)

成年後見人への報酬はこれから上がるかもしれません

私の個人的見解では「成年後見人へ支払う報酬は下がるどころか上がっていくんじゃないかぁ?」なんて考えています。
昨今の家庭裁判所に寄せられている成年後見人への苦情・クレームに家庭裁判所も頭を悩ませています。
だから次にお話しますが最高裁判所も「成年後見人には親族がなるのが望ましい」という考えを示しました。
でもやはり親族が成年後見人なると問題が発生しやすくなるのです。

私が聞いた話では
「成年後見人さん!もっときちんとやってよ!報酬は増やすから!」
というのが家庭裁判所の考えかもしれません。
もちろんこの成年後見人への報酬は親(被後見人)の財産から支払われるんですけどね・・・?

成年後見人のデメリット③
妻や子供など親族が成年後見人になれるのか?

親族が成年後見人になる
もちろん親族が成年後見人になることは可能ですしそのほうが臨機応変でよいと思います。
第三者の成年後見人に対する苦情がクレームが家庭裁判所に殺到している?なんて噂も聞いていた私ですが「成年後見人には親族がなることが望ましいと最高裁判所が考えをを示した」というニュースは納得できるものでした。

でも、妻や子供など親族が成年後見人になることにはいろいろ課題もたくさんあるのです。
成年後見人には認知症の親(被後見人)の財産管理の一切の権限を任されます。
お金の魔力って恐ろしいのです。
ですからまるで遺産相続の前倒し?のような錯覚になってしまって認知症の親(被後見人)の財産を勝手に使ってしまうこともよくある話です。

そんなトラブルもたくさなるので家庭裁判所は成年後見人を申し立てたられた場合には将来の推定相続人である家族にヒアリング調査が行われます。
「このたび◎◎さんが成年後見人になることについてどう思われますか?」
みたいな意見を聞かれます。
もし子供たちの中で少しでも遺産隠しや遺産の使い込みについて不安のある方が1人でもいたら誰かがそれに否定的な意見を述べるかもしれません。
そんな場合に家庭裁判所は第三者を成年後見人に選任する傾向があります。

確かに家庭裁判所が選任した成年後見人ですからきちんと家庭裁判所が監督している!ともいえるのですが現実にはたくさん親族が成年後見人の横領問題も発生しています。

親族がなった成年後見人の財産管理は公私混同もしがちである

認知症の親(被後見人)の財産管理を一気に任されたりしたら人間 お金の魔力に負けてしまうものです。
そんな妻や子供など親族が成年後見人になった場合はトラブルも少なくないのです。

厳格なお金の管理(親のためだけにしか使えない)

成年後見印の主な業務である財産管理についてあまり深く考えずに親族など家族が成年後見人になった場合にきちんと財産管理をしないと成年後見人を解任されることがあります。

いくら生計をひとつにしていたからといっても?
そのお金の実態はわたしが貯めたもの?
といっても通用しないのです。

このよに後見人の主要な後見業務に財産管理ですがこれが意外と融通が利きません
こちらの記事に寄せられたコメントでもこんなものがありました。

以前後見人をしていました。
父のためにとお風呂の改装などをしたら、横領だと言われました。
介護タクシーでは高いおかね払っても通るのに自家用車でいくと丸切り認められません。介護もかねて後見人をしていると辛いことが多かったです。横領なんていわれてつらかったです。
成年後見人による横領が後を絶たない(親族による着服が9割)

そうなんですよね。
いくら良かれと思っってやったことでも家庭裁判所は認めてくれないくらい親(被後見人)の財産管理は厳しいものなのです。
親(被後見人)のお金は親(被後見人)のためにしか使えません。
それも杓子定規の規定ばかりなんです。
だから現実と乖離してしまうことも珍しくはないのです。

成年後見人のデメリット④
成年後見人を立てたら相続税対策はできない

相続税

親(被後見人)の財産は親(被後見人)のためにだけしか使えません。
これは後見人制度の基本的な考え方です。
ですから将来の相続に備えて相続税対策をしたいと考えてももはやそれは無理なことも知っておいてくださいね。

財産は減らさない?どころか増やさない?

「成年後見人は融通が利かない?」とお話したのですがこれは「財産は減らさない?もちろん増やさない?」という点でもあります。

成年後見人にリフォームのことを相談しても「前と同じにしてください」とよく言われます。
賃貸アパートの外壁工事でも「こうしたらもっと良くなるのに?」と提案しても却下されることも少なくないです。
水はけの悪い砂利の駐車場 利用者のことを考えてアスファルト舗装にしたいと相談しても却下されたこともあります。
今の老人ホームがよくなくてグレードアップするために親名義の自宅の売却を相談しても却下されたこともあります。
なにひとつ「将来のことを考えたらこうしたほうが良いのに?」という提案も却下されてしまうことには私もほとほと困りました。

成年後見人を急いで申し立てたほうがよい場合もあります

これだけ成年後見人の申し立ては慎重に!といっている私ですが時と場合によっては成年後見人を強くお勧めする場合もあります。
それは今多い「経済的虐待」や「親の財産の使い込み」が疑われる場合です。
「経済的虐待」とは親の年金などを子供が勝手に横取りして親が生活に困窮していつ場合です。
結構 最近はこんな相談も多いです。
また同居の子供に別居の子供たちが大きな不信感を持ってしまっている合です。
これらの場合には成年後見人を申し立てたほうがよいと考えられることもあります。
成年後見人制度を利用したらやめることはできないという点でよいところもあるのです。
勝手に遺産を狙う?ような子供がいる場合はそれを防ぐことができるのです。

意外と使いづらいのが成年後見人制度だからしっかりとメリット・デメリットを知ってから決断してください

確かに素晴らしい制度であるのはまちがいないのが成年後見人制度だけれどまだままだ使いづらいデメリットも数多くあります。
ですからしっかりと成年後見人の実情を理解してから決断して下さい。

相続税対策・親名義の不動産の売却などはできれば成年後見人申し立て前に行なっておくことがベターかも?

笑顔の江本

私自身は
「できれば成年後見人を申し立てる前にできるだけのことはしておくべきじゃないかなぁ?」
と考えています。毎月のお金の管理等の親の財産管理それも定形業務的だけの状態にしておくほうがよいかもしれません。


相続した実家の売却い専門不動産会社


老人ホーム「どこに?」「どんな?」「いくらの?」だけでも調べておきませんか?
いつか介護の限界がきた時に慌てないために、予め老人ホームのことを調べておくことをおすすめします。
意外とそんな時にケアマネージャーがアテにはならないからです。
※系列会社の老人ホームしかすすめない。
※子供が親を呼び寄せる場合など地域が離れた老人ホームの情報は知らない。
※独立系ケアマネは老人ホーム内部の情報は知らない。(評判など)
※いろいろなタイプの介護施設の中から選ばせてくれない。
全国の老人ホーム・介護施設の情報を紹介している老人ホームポータルサイトです。
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