それは遺産の多少にかかわらず、籍を入れていない内縁の妻(事実婚)の場合は相続で気を付けなければいけません。
それは長年連れ添った内縁未入籍の妻でも亡くなった夫の預金口座からお金が引き出せなくなることがあるのです。

【内縁の妻の相続トラブル】亡くなった故人の銀行口座は凍結されて預金が引き出せなくなる

故人の銀行口座からの引き出しを拒む銀行員

亡くなった瞬間から故人の財産は遺産分割が確定するまでは準共有の状態になります。
ですから亡くなった故人の銀行口座からお金を引き出そうとすると相続人全員の承諾が必要です。
各金融機関によっては書式は異なりますが原則法定相続員全員の実印とその印鑑証明、また故人との相続関係を照明する戸籍謄本が必要になります。
これが相続手続きってかなり手間がかかる理由なんですね。
誰かひとりでも協力してくれない相続人がいるとこの相続手続きはできません。

故人が亡くなったことを必ずしも銀行は把握はしていない?

会社経営者ならいざ知らず、一般の方はそんなに頻繁に銀行の担当者と連絡はとってはいませんから必ずしもその預金名義人が亡くなったことを銀行などの金融機関は把握はしていません。
まあ、役所の死亡届と同時にその情報が銀行に伝わる?なんていうことを信じている方も多いですがそうではないものです。
ですから故人の銀行預金口座をそのままずっと使っている方もいます。
NHKや電話、電気、水道料金など公共料金の引き落としもなどそれほど大きな金額で無ければわざわざ窓口に行かなくてもATMで手続き出来ますからね。(一応法律的には問題はありますけど、その名義変更手続きも煩わしいですし、そのまま放置している方も少なくありアません。)

窓口に行けば本人確認される?

まあATMで少しづつ出金していけば銀行もわからないかもしれません、
ただお年寄りの方はATMは苦手な方も少なくありません。
ですから、窓口で手続きをされる方もいます。
ところが年齢や性別も異なり方がその口座から預金の引き出しや振り込み手続きをしていると窓口の方も気が付きます。
「あのぉ、ご本人様でしょうか?身分証明を提示していただけますか?」
なんて本人確認を求められることになってしまいます。

ところがこの故人の銀行口座は銀行がその死亡を知ると即座に凍結されてしまうことを知らない方も多く
「いや、これは亡くなった主人の通帳でして私はその妻なんですから大丈夫でしょ!」
と正直に答える方もいます。
すると窓口の女性職員はそそくさと後ろの上司に報告し、即座に銀行口座は凍結されてしまい預金の引き出しや公共料金などの引き落としどころか振り込み入金なども停止されてしまいます。

この銀行預金口座の凍結解除には銀行所定の用紙に法定相続人全員の署名と実印押印、そして戸籍謄本など多くの必要書類を添えて手続きを申し出なければいけません。

内縁の妻は法定相続人ではありません

入籍していない事実婚や内縁関係ならば法律的には赤の他人なのでどうしようもありません< 私のほうにもそんなご相談が時々あります。しかし、一緒に暮らした年数やいままでにしてきた献身的介護のことをいくら涙ながらに訴えられても法律でそう決まっているのですらどうしようもありません。 そんな実際の実例をお聴きください。

解決策は二つしかない

しかし、どうにかならないものでしょうか?
たちまち残された家族の生活も路頭に迷ってしまいます。

解決策①法定相続人と話し合う

相続手続きは全て法定相続人全員の協力を取り付けなければにっちもさっちもいきません。
でも入籍はしていなかったけれど実態は夫婦同然の状態であったことは家族が一番知っています。
ですから子供がいない夫婦であれば亡くなった方の親(これはたぶん既に亡くなっていますよね?)かその兄弟姉妹(または甥や姪)が法定相続人です。
その法定相続人全員に協力してもらうしかありません。
互いに離婚や死別しているのであれば前妻や前夫の子供たちが相続人のこともありますからその方たちに協力を仰がなければいけません。
まあ、何千万も預金があるのならもめるかも知れませんが金額が少なければそんなに強欲な相続人もいないと思います。
※といっても「貰えるものは1円でも貰います!」という方もいますけど・・・・

ただ、事実婚や内縁関係にはそれなりの事情があることも少なくありません。
今回の実例のように、互いの過去にはあまり触れたくなかったご夫婦であれば前妻前夫との子供達とも交流が途絶えているかもしれません。
まあ、一度も会ったこともないような関係であれば
1)それでも連絡先を探し出して話をつける?
2)今さら顔も合わしたくないので諦める?
の選択肢かありません。

解決策②遺言書を書いておく

まあ、亡くなった後であればどうしようもないですが生前であれば遺言書があればそれで銀行口座の解約や凍結解除なども簡単に出来ます。
ただ、できれば公正証書遺言が賢明です。
自筆遺言証書であれば家庭裁判所の検認手続きが必要(法定相続人全員に連絡がいく)ですし、法律的にどこか不備なところが1ヶ所でもあれば遺言書は無効です。
公正証書遺言であれば、それだけで相続手続きが粛々と進める事が出来ます。
もちろん法定相続人から遺留分減殺請求がある可能性もありますが、とりあえずの生活資金は確保できます。
まあ、そんな交流の無い前妻前夫の子供達であればもう親子関係も無いに等しいですからそこまで言ってこないような気がします。

笑顔の江本

相続対策は亡くなった後ではできません。
だから元気なうちに起こりうる最悪の事態を予想して対策をしておくことが重要なんですね。
相続対策はお金持ちだけがする事なんて考えていると後で困りますよ!


相続・遺産問題・遺言書でわからないことは弁護士に相談が早道!

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