親の死亡による生命保険金の受取人が
相続人の中の誰かがひとりだけだった場合
他の相続人はそれを特別受益と主張して取り返せるか?
親が生命保険をかけていて、その受取人がその親である場合を除いて
誰かひとりを死亡保険金の受取人にしている場合
「そんなの不公平だ!」
「それって特別受益に該当するんじゃないか!」
と他の相続人から異議を申し立てられるかもしれません。
裁判所の考えは
「死亡保険金は受取人の固有財産であって遺産ではない」である
この生命保険金については金額がかなり大きいものです。
1000万円2000万円というのも珍しくないでしょう。
ですからこんな大きな金額が相続人の誰かひとりに渡ってしまうのは他の相続人からすれば納得できないことかもしれません。
平成16年10月20日付け最高裁の決定
養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係わる財産には当てはまらないと解するのが相当である。
こんな決定が出ています。
ですから、原則として死亡保険金を相続人の誰かに独り占めされても文句は言えない!言われない!ということになりますね。
ただし、以下の文も付け足されています。
もっとも、上記死亡保険請求権の取得のための費用である保険料は、被相続人が生前保険者に支払ったものであり、保険金契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどをかんがみると、保険金受取人である相続人とその共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らして到底是認することができないほど著しいものである評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持ち戻しの対象となると解するのが相当である。
うーーん、なんやねんその特段の事情って・・・?
と思われた方も多いはず
そこでいくか判例・審判例も紹介しておきます。
相続財産総額が1億円、保険金額も1億円、保険金受取人は子供のなかのひとりのみという事案
東京高決平成17年10月27日
この場合は特別受益の対象に当たるという特段の事情として認めました。
相続財産総額が約7000万円、保険金額が約400万円、保険金受取人が子供の中のひとりのみという事案
大阪家堺支審平成18年3月22日
遺産総額に対して保険金の占める割合は10%以下
この場合は特別受益とは認めず、否認されました。
ポイントは遺産総額に占める保険金の割合ということになるかもしれません。
遺産総額に対して保険金の額の占める割合
つまり遺産総額のほとんどが保険である場合には特段の事情が認められるように考えられますね。
では、なぜ保険金受取人を子供の誰かひとりに指定したのか?ということをみなさん考えてみませんか?
なぜ親が子供の中のひとりだけを生命保険金の受取人に指定したのか?という親の考えを推測してみなけれいけません。
・親自身の面倒を献身的にみてくれた。
・葬儀を執り行ってくれる。代代のお墓を守っていってくれる。
などなどいろいろな事情を考えて親がそうしたのかもしれません。
だから、保険金の受け取り人が子供のなかの誰かひとりに指定してあると
他の相続人から「その保険金も特別受益として遺産に組み入れろ!」(これを「持ち戻し」といいます)という請求は難しいといえると思います。
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