先日の公正証書遺言の遺言者は90歳のお婆さんでした。

大阪市内にある公証人役場に行ってまいりました。

公証人役場
今回のご心配は、口座名義人が亡くなると、その方の名義の銀行口座が凍結され引き出しも引き落としもできなくなります。その方はちょっとご事情があり、相続人の誰か一人だけで預金口座の解約や現金の引き出しができるように確保しておきたいご事情がありました。
ですので、公正証書遺言を作成することになりました。

なぜ自筆証書遺言ではなく公正証書遺言なのか?

いつでも気軽に書ける自筆証書遺言ではなく、なぜわざわざ手間と費用のかかる公正証書遺言なのか?
それは、自筆証書遺言は遺言を法的に有効な遺言書にするために家庭裁判所の検認が必要になります。家庭裁判所に遺言書の検認を申し出ると1か月程度すると家庭裁判所から各相続人に呼び出しがかかります。また、その遺言書の法定有効性を検認が保証lするものではありません。あくまで、『こんな内容の遺言書がありました。』という証明になるだけです。
『その遺言書を書いた時には親父はすでに認知症だったぞ!』などと突っ込むことは可能なのです。ですから、そんな後からその遺言書に不満を持つ相続人から変な疑いをもたれ無いようにする意味から公正証書遺言がお勧めです。



公証人役場では遺言者の本人確認と意思確認が密室で行われます。

公証人役場

利害関係人である相続人や相続人の妻や夫などの配偶者は同席できない公証人役場の密室である部屋で公正証書遺言は作成されます。
これは、公正証書遺言が本人の意思であること、決して相続人など他人(といっても子供なのですが)の強制ではないことなどの意味があると思います。

遺言者の本人確認

遺言者の本人確認が行われます。
高齢者の場合は運転免許証やパスポートなど顔写真入りの証明書が無いことも多く、印鑑証明書と合わせて簡単な質問で本人確認が行われます。
今回の遺言者は90歳の御婆さんです。
いきなりの質問に面食らってしまっては困ります。
ですから、予めちょっと練習をしました。
質問されるのは当たり前のことばかりなのですが、意外と高齢な方はここで手間取ることがあるのです。

公証人よりこんな簡単な質問が行われます。

「お名前は?」

『●●▲子ですぅ』
「今はどこにお住まいですか?ご住所は?」

『●●市◎◎町××番××号です』

「お生まれは?年齢と誕生日を教えてください」

『大正◎◎年●●月△日 もう90歳ですわ』

「本籍地は?」

『住所と一緒です。』

そして、公証人から今回の遺言の内容などの確認が行われます。

「なんでここに来たか理解されていますか?」

『わかりません!ただ連れて来られただけです。』

ここで一同 固まってしまう・・・・・。
image10

ずっと一度も会ったことのない人たちに取り囲まれて緊張で顔をこわばらせている遺言者でしたので、どうもパニックに陥っているようで混乱されているようです。

公証人役場で公正証書遺言を作成し、そこに署名捺印するのは別室の密室で行うものでありそこには相続人が入れません。遺言者を公証人役場まで連れてきた相続人なども別室の待合室で待機させられます。

公証人と遺言者 そして証人が2名
その4名だけで一つの部屋に隔離されて遺言書作成が行われます。

たぶん、誰も知らない人ばかりがいる密室でパニックになってしまったかもしれません。
今まで、あれほどしっかりされていた遺言者なのですが誰も知らない人ばかりの密室で心細くなってしまったのか話がちょっとちぐはぐになってしまっているのです。

今回の遺言者は私もよく存じ上げている方でしたので、私の方からさりげなく世間話をしているとなんとか落ち着きを取り戻されて最終的には無事に公正証書遺言が作成できました。

しかし、これが誰も知らない人たちばかりに取り囲まれての遺言書作成になっていたらと思うと少し心配でした。

公証人役場で公正証書遺言を作る時には、遺言者と公証人そして証人2名だけの密室での作成となり、高齢者は心細くてパニックになることもあるので注意しましょう。

今回は何とか無事に公正証書遺言を作成することが出来ましたが、通常の倍以上の時間がかかってしまいました。

公正証書遺言

証人には利害関係人である相続人や相続人の配偶者(妻や夫)などはなることができません。
もし、証人が用意できない場合には一人数千円程度のお金がかかりますが公証人役場が手配をしてくれます。しかし、この証人も公正証書遺言を作成するわずか数分前に会う初対面の人です。
できれば証人は、遺言者の気心の知れた人をご用意できればベターです。

やっぱり見知らぬ所(公証人役場)に初めて連れて来られて、密室に自分以外は誰も知らない人たちばかりに取り囲まれては、高齢者でなくてもかなり緊張してしまいますからね!