相続した土地はすぐに売却
相続した土地をすぐに売却することをためらう方も少なくありません。
なぜなら親を亡くした悲しみが癒えないうちに他の相続人たちに相続した土地建物の売却話を切り出すのはまるで「遺産が欲しくてたまらない?」と誤解されることを恐れているからかもしれません。
また相続した親の家を売ることに罪悪感や寂しさを感じるかもしれません。
しかし、親から相続した土地や建物などの不動産をすぐに売却したほうが後々すごく助かることばかりなんですね。
その理由をすこしお話ししておきます。

相続した土地はすぐに売却が良い|他の兄弟の気持ちが変わる前に

ずばり断言すると
人に気持ちは時間とともに変わる!
感謝の気持ちは時間とともに薄れる!
ということです。

親が亡くなった当初は
やっぱり長男の兄さんがこの家を守っていくべきだよ!
お義姉さん、長い間 父さんや母さんの介護してくれてありがとう
そんな嬉しい身内の言葉に長年の苦労も報わる気持ちになりますよね。

でも、そのままきちんと相続手続きや遺産分割のことをきっちりと完了せておかないと後で兄弟姉妹の気持ちが変わってしまうことも珍しくないのです。

阿吽(あうん)の呼吸?
以心伝心?
それを相続で臨んではいけない!というアドバイスです。

もしも、法定相続割合(兄弟姉妹はみんな平等)以外の遺産分割を考えているのは
相続した土地はすぐに売却して、事情や経緯を考慮したお金の分配をしたほうがいい!
と私は考えています。

相続した土地をすぐに売却しないと
「親の介護の感謝の気持ちも数年経てば薄れてしまう」

やはり長年にわたる親の介護の負担はどうしても子供の誰かに負担が誰かに集中してしまうのは仕方ありません。
離れて暮らしている子供と親の近くで暮らしている子供
経済的に余裕のある子供と経済的に苦しい子供
家を受け継ぐ息子(長男)と外に嫁いだ娘
それぞれ介護したくでもできない事情や理由もあるからです。
まして介護の苦労は介護した本人たちでしかわからないもの現実ですよね。
それでも親が亡くなったお葬式などの時には親の介護委に協力してくれた子供には他の兄弟姉妹たちからは感謝の気持ちやねぎらいの言葉も言ってはくれるでしょう、
たとえそれが表面上の儀礼的なものであってもね・・・)

「親を介護してくれた」という感謝の気持ちは長続きしない

お葬式の場では
兄さん、親父やおふくろの介護 お疲れさまでした。天国の親父やおふくろに代わって礼を言うよ!
お義姉さん、外に嫁いだ娘の私に代わって親の介護を本当にありがとうございました。
そんなねぎらいの言葉をくれていた兄弟たちも数年も経ってしまうと
法律では子供はみんな同じ相続割合だから平等に分けようじゃないか!
ということになりがちです。
それでは長年の親の介護の苦労も報われません。

やっぱりなにかしらの「介護してきたた子供」と「介護しなかった子供」では遺産分割においてもほんの少しでも差をつけて欲しい!
これが本音ではないでしょうか?
でも、それも相続後何年も経ってしまうとそんな主張もなかなか通らなくなってくるのです。
当初は「介護に尽くした子供がちょっぴり多めに遺産相続すること」でまとまりそうな雰囲気であっても人の気持ちは簡単に変わるものですよ。(体験談)

法律上は介護した子供も介護しなかった子供も同じ相続割合です

「そんな介護した子供と介護してこなかった子供が同じ相続だなんて納得できません!」
と怒り心頭でご相談に来られる方も多いのですが法律でそうなっているのですから仕方ありません。
子供たちはみんな同じ相続という法定相続割合以外の遺産分割をするには「親が遺言書を書いていた」か「相続人全員が話し合いで納得する(だれかひとりでも反対したら無理)」しかないのです。

今あなたは「特別寄与分」というのが頭をよぎったかもしれませんが特別寄与分が認められるにはかなりハードルが高いことを知っておいてください。
どれだけ自分たちが親の介護に尽力してきたか?を客観的な証拠を持って家庭裁判所に証明しなければならないのです。

親の介護の感謝の気持ちが残っているうちに遺産分割の話をつけてしまおう

今までの親の介護の苦労をゼロにしないために相続が発生してからなるべく早く遺産分割の話し合いを進めることをお勧めします。
もちろん、そこには
親を介護をしてきたのは私だから全部相続して当たり前!
なんて無茶を言わずにある程度譲れるところは譲ってあげてくださいね。
じゃないと家庭裁判所の調停にまでいけば法定相続割合にほんのちょっとだけ差をつけた遺産分割にもなりかねないのですからね。

相続した土地をすぐに売却しないと固定資産税・修繕費などが年間数十万円も無駄

意外と馬鹿にならないのが相続した親の家なんかの維持管理費なんです。
毎年かかる固定資産税・都市計画税が請求されます。
台風などで雨漏りなんかすれば急いで大きな修繕費がかかります。
一年や二年ならまだしも数年分ともなるとかなりの出費になります。
それをだれが負担するのか?
よくもめるんですね。

相続した土地をすぐに売らないと古くなればなるほど価値が下がる!

確かにまたバブルが再来すれば話は別ですが、そんな期待はもはやできません。
今は人口も減少して新たに家を買おうとする人も減少しています。
また建物はどんどん古くなればなるほど価値は下がります。
まあ、相続した親の家が築古のオンボロなら私たち不動産屋も評価はできませんが築後10年~20年程度ならある程度の評価もできます。

家は誰かが住まないとあっという間に傷んでしまう

家って誰かが住んでいないとあっという間に傷んでしまうものなのです。
また誰かが住んでいないと雨漏りなどのトラブルも発見が遅れます。
発見が遅れるとその修繕費にはとんでもない費用がかかるものなのです。

泣く江本

そんな当たり前のことを言うと叱られてばかりいる私ですけどね・・・・

相続した土地をすぐに売却なら実家の片付けも他の相続人みんなが積極的に協力してくれる

親から相続した土地や建物を売却する時に一番厄介なのが「実家の片付け」なんです。
これで売却話が壊れたケースは枚挙に問いません。
親の家を片付けようとしてもその中のひとつひとつの荷物が親の思い出の詰まったものばかりでなかなか片付けて処分することは精神的にもかなりつらいことなんです。

自分にも見返り(遺産)があるからこそ他の相続人も協力してくれる

相続した親の家に残されている物、ひとつひとつに思い出が詰まっています。また結婚独立してからもう数十年も経ってはいてもやはり生まれてから同じ屋根の下で過ごした期間もあるのが兄弟姉妹です。そんな兄弟たちの思い出の品物も子供の誰かが好き勝手にを捨てるわけにもいきません。
実家の片付けってどうしても他の兄弟姉妹の協力が必須なのです。
ところがこの他の兄弟姉妹たちの協力を得ることが簡単ではないのが実家の片付けなんです。
遠く離れている?
仕事が忙しい?
などなどなかなか兄弟姉妹のスケジュールを合わせることも困難です。
そのため、「そろそろ親の家を片付けないとなぁ・・」なんて考えながらも結局はただ漠然と月日だけが流れていくものです。

親の家の売却でお金が入ることがわかればみんな目の色を変えて実家の片付けに協力してくれる

人間はなにか理由がないと行動を起こすことは難しいのが現実です。
またお金の魔力ってとてもすごいのです。
売却話が進んで引き渡しの日時が決まれば、みなさん積極的に時間を作って実家の片付けに協力してくれるのです。
ええ、目の色を変えてね(汗)

相続人もすでに高齢者、実家の片付けの気力・体力が残っている時間はわずかしかない

今は超高齢化社会で平均寿命もどんどん伸びて行って百歳の高齢者もたくさんまわりにいる時代です。
亡くなった親が大往生なら相続人もすでに高齢者です。
そんな高齢者に体力・気力が必要な実家の片付けができる時間はあまり残されていないのです。

相続した土地をすぐに売却しないと遺産分割に新たな妨害者が現れる


「鉄は熱いうちに打て!」
これは相続、特に遺産分割でもいえることなんです。
相続から時間が経てば経つほど遺産分割に新たな妨害者が現れるのです。

孫世代の相続人が相続した土地の売却に反対する

先にもお話ししたように今は超高齢化社会です。
親から遺産を相続した相続人自身もすでに高齢者でいつまた相続が起こってもおかしくはないのです。
相続人の中の誰かが亡くなればその相続権はその子供に引き継がれます。(代襲相続)
時が経てば経つほどネズミ算的に法定相続人が増えていくのです。
兄弟姉妹観ならまだしもその次の世代(あなたの甥や姪)にとっては今までの経緯や事情などは無関係なことにもなりかねません。
法定相続相続割合での遺産分割を主張されたら、どうしてもそちらが正論とされてしまうのです。

泣く江本

私もよく困るのが相続不動産の売却で相続人たちみんなが亡くなっていることも少なくないのです。
そんな時はほとんどもはや付き合いの内従兄弟t(従姉妹)同士で話を付けないといけないのですがこれがとても大変なのです。

嫁が口出ししてスムーズな遺産分割を妨害する


スムーズな遺産相続を一番妨害する事が多いのはずばり相続人の嫁や夫なことが少なくありません。
同じ屋根の下、同じ親の血を引く兄弟姉妹間ではわかりあえることでも義理の兄弟姉妹間では通じないのです。
いくら親の介護につくしてきた?
親の墓や法事を守っていかなければならない?
という論理さえも通用しないのです。

相続した土地をすぐに売却すると税金が安くなることを他の兄弟たちに話す

相続した土地をすぐに売却すると税金が安くなる

しかし相続した土地をすぐに売却しようとしたら他の兄弟たちから反対されるかもしれません。
そんな時は
相続した土地をすぐに売ると税金が安くなる!
ということも話しておきましょう。

取得費加算の特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)

相続によって財産を取得した者が売却したこと
その財産を取得した者が相続税を支払ったこと
相続開始日から3年10か月以内に売却したこと
上記の条件を満たすと支払った相続税の一部を(売却した不動産に関わる部分に相当する相続税の金額)売却時の税金の計算上取得費に加算することができます。
支払った相続税の一部が加算されることで譲渡所得も減り、その分課税される金額も減ります。

空き家売却特例(相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)

「うちは相続税なんか支払っていない!」
という方も諦めないで!
さらにもうひとつ「空き家売却特例」というものもあります。
少々適用条件は厳しいですが調べてみる価値はあります。
【空き家売却特例の適用要件】

家屋の建築時期 昭和56年6月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)
居住要件 相続開始の直前において、被相続人以外のその家屋に居住していた者がいなかったこと
譲渡時期 相続開始日以後、3年を経過する日の属する12月31日までに譲渡すること
譲渡金額の上限 譲渡金額が1億円以下

これが適用できるとなると譲渡所得課税部分(つまり売却で儲かった利益)から3000万円控除できます。
長期譲渡で税率が約20%とすれば3000万円×20%=600万円の手取り金額が増えて節税できます。

実際に適用できなくても「相続した土地をすぐに売る」ことのきっかけ作りにできます

私の経験上、親も前世代から相続した土地でもない限り、そうそう大きな譲渡益が出るものではありません。
また「空き家売却特例」の適用条件も厳しいものがあります。
ですから実際に節税できるかどうか?は二の次として
相続した土地のをすぐに売却することの他の兄弟たちへの了解を得る
ためのひとつのきっかけ作りに利用してもいいかもしれません。

に敵意王できなき打ても

売る?売らない?はさておいて相続の話し合いはお早めに

相続した土地を売る?か売らないか?
私たちは急かせることはいたしませんが、いつでも行動が起こせるように準備を怠ってはいけません。
焦って相続した土地の売却話を持ち出せばヤブヘビのこともあります。
他の兄弟姉妹たちの顔色も見ながら慎重に進めてくださいね。