人が亡くなるとその遺産は相続順位(相続する順番)で該当する人が相続できる権利があります。
最も当たり前のケースは親が亡くなれば相続権はまず子供になりますよね。
しかし、これが少し特殊な事例になるとみなさんよく誤解を持たれています。
また最近ではこの特殊なケースが特殊でなくなってきています。
生涯結婚しなかったい方も増えています。
今はバツ1バツ2は当たり前で離婚や再婚は珍しくありません。
晩婚化で結婚時期が遅く子供に恵まれなかったり共稼ぎで子供を望まなかったご夫婦
超高齢化社会で夫や妻に先立たれた
などなど少し前は特殊なケースだったかもしれませんが今はもう珍しくもなんともありません。
しかしこれがこと相続のこととなるといがいとみなさんしっかりと認識しておられないのですね。
特殊な相続順位を再確認!独身・離婚・配偶者なし
相続順位を今一度再確認しておくことってとても大事です。
なぜなら
・相続順位から外れた方は遺産相続では全くの部外者で手も足も出ないこと
・相続手続きは相続人全員が納得しないと進まないこと(一人でも反対ならNG)
だからです。
相続順位がわかれば遺言書など相続対策や自分の老後対策の必要性の理由がわかる
『遺言書が相続対策に有効だ!』
そう頭ではわかってはいてやっぱり遺言書なんてできれば書きたくはないのが真実ではないでしょうか?
『不動産などは早めに売却して売って身軽になっておく!』
『老後資金2000万円は確保しておく!』
そう頭ではわかっていてもなかなか行動に移すのは難しいのです。
その大きな動機付けが相続順位の再確認なんです。
まずは相続順位の基本から
ではまず相続順位についておさらいです。
妻など配偶者がいる場合は常に法定相続人のひとりとなります。
後は該当者が現れるまで順番に第1順位から第3順位まで下がっていきます。
もちろん該当者が現れた時点でそこまでが相続人の範囲となります。
相続順位 | 法定相続人 ※配偶者は常に法定相続人となる |
相続権割合 |
---|---|---|
第1順位 | 直系卑属(子・孫) | 配偶者あり:配偶者(1/2)子(1/2) 配偶者なし:子 |
第2順位 | 直系尊属(父母・祖父母) | 配偶者あり:配偶者(2/3)父母(1/3) 配偶者なし:父母 祖父母 |
第3順位 | 兄弟姉妹 | 配偶者あり:配偶者(3/4)兄弟姉妹子(1/4) 配偶者なし:兄弟姉妹 |
まあ、なんとなくこのあたりはみなさまもご存知のはずですが、実際のこととなると少々自分の都合の良いように勝手に捻じ曲げてしまいがちなのですが(汗)
ですので具体例やトラブル事例実例を含めてお話ししていきますね。
しっかりとこの相続順位を理解しておかないと後々介護トラブルや相続トラブルにも発展しかねないのでご注意くださいね。
生涯独身で亡くなった場合の相続順位は?
独身で結婚もしなかったのであれば相続第1位順位の子供もいません。
ですので相続第2順位の父母(亡くなっていれば祖父母)となります。
その相続第2順位の父母(祖父母)ですが亡くなった方が相当若くなければ既に第2順位の父母や祖父母は既にいないことがほとんどです。
ですのでその次の相続第3順位の亡くなった方の兄弟姉妹が法定相続人となります。
つまり生涯独身の方が亡くなった場合の相続権は兄弟姉妹たちの均等頭割りとなります。
この兄弟姉妹の中で亡くなった方がいる場合はその兄弟姉妹の持つ相続権は1代限りでまたその子供に引き継がれます。(代襲相続)
つまり相続第3順位の兄弟姉妹の中に亡くなった方がいればその子供(甥や姪)がその相続権を引き継ぐということです。
生涯独身の方の老後と相続対策
生涯独身を貫いた方はその自由と気ままに暮らしてきた代償としてご自分の「老後」と「相続」のことだけはしっかりと考えておかないといけません。
しっかりと老後資金計画を立てておきましょう
法律上では「おひとりさま」でなくても状況的には「りっぱなおひとりさま」に近いかもしれません。
親が生きている間はあれほど仲の良かった兄弟姉妹たちもそれぞれ高齢になればなるほど疎遠になるのは仕方ありません。
晩年のあなたのお父さんやお母さんが叔父さんや叔母さんたちと頻繁に会っていましたか?
そうそう会ってはいなかったのでは?
まして甥や姪になればとなおさらです。
だからこそ生涯独身の方が老後に頼れるのは「お金」だけです。
今一度 今の財産のポートフォリオを再確認して欲しいのです。
その中で現金預金の占める割合はどれくらいですか?
できるだけ不動産や株式などを早めに整理しておいて現金預金を最大限多くしておいてください。
老後に頼れる人がいなければ最後はやはり【お金】です。
悲しい現実ですが生涯独身を貫いた方に老後に頼れる人がいません。
だから最後はやはり【お金】です。
「金はないけど家はある!」という方が多い中
もしも認知症にでもなってしまうと不動産の売却処分もできなくなります。
もちろん成年後見人制度もありますが現実的に使い勝手の悪いことも多いのも知っておいてください。
今あなたが認知症になってしまった家庭裁判所に親の後見人を申し立てるべきかお悩みですか? 意外とデメリットも多いのがこの後見人制度ですからしっかりと理解してから成年後見人を立てるか?決断してくださいね。 確かに高齢者が認知 …
生涯独身を貫いた方の終の棲家
片付け・遺品整理など残された遺族に負担をかけないために老後の住まいはできるだけコンパクトに!
これも重要なことなんですね。
残された遺族が家の片づけで困らないようにしておくのも大切な心遣いです。
生涯独身を貫いた方の晩年は最悪「老人ホーム」という選択も
生涯独身を貫いた方の晩年は最悪「老人ホーム」という選択をしなければいけない事態が起こるかもしれません。
そんな時に200件以上の老人ホームをみてきた私の結論は
「高い老人ホームが必ずしも良いとは断言できないが、少なくとも安い老人ホームより格段に良い!」
ということなんです。
そんな時に自分の介護にまわせるお金はできるだけ多くしておきたいものです。
参考:実家相続介護問題研究所の老人ホーム無料紹介
介護してくれる兄弟姉妹や甥や姪がいれば
あなたは自分の老後で少しでも頼りにできる兄弟姉妹がいますか?
あなたはすべての甥や姪が平等に可愛いですか?
僕は正直に告白するとそうではありません。
僕は年の離れた末っ子ですから僕に老後の介護が必要になる前に兄や姉の方がもっと必要だと思います。
また甥や姪にしても
「おっちゃ~ん!元気ぃ?」
と何かあるたびに声をかけてくれたり私の父母の法事や墓参りにも共に参加してくれてよく会う甥や姪がいる一方、結婚してからどこで暮らしているのか?どこで働いているのか?携帯番号すら知らない?おじいちゃんおばあちゃんの法事や墓参りにも参加しない?そんな甥や姪もいます。
そんな甥や姪たちの中で自分の老後を少しでも介護の真似事でもいいから助けてくれそうなのは誰か?
おのずと決まってきます。
そんな
自分のことも顧みずに介護してくれる兄弟姉妹がいれば・・・?
実の親でもないのにかいがいしく介護してくれる甥や姪がいれば・・?
やっぱり遺言書でその介護の苦労に報いてあげる優しさも必要ではないでしょうか?
法律上はみんな平等で同じ相続権です。
少しでも差をつけてあげるのも得策だとは思います。
もちろんあなた自身のことが最優先ですから、自分の財産は自分のために最大限使って、もしそれが残ったら?の話ですけどね。
実は兄弟姉妹(甥や姪)には遺留分がありません
遺留分とは法律で定められた「最低限保証された相続権」です。
例えば遺言書で「全財産を〇〇に相続させる」と書いてあっても「ちょっと待った!俺には遺留分がある」と主張できる権利です。
もちろん法定相続割合の1/2~1/3に減ってしまいますが。
どうしてこんなことをお話しするかというとこんな事例があるからです。
最後に残された兄弟姉妹や甥や姪たちが仲良く暮らしていくためにも「立つ鳥、跡を濁さず」できちんと考えておいてあげてくださいね。
離婚した後で独身だった人が亡くなった場合の相続順位は?
まず最初に
離婚した先妻・元妻には相続権はありません。
しかし問題は先妻・元妻との間にもうけた子供がいる場合です。
子供の相続準は第1順位なんですからね。
もはや交流なんて一切ないこともあるでしょう。
あるいは再婚相手の今の現妻との間にもうけた子供もいる場合もあるでしょう。
しかし法律上は先妻・元妻との子供も現妻との子供もまったく同じ相続権になります。
交流があろうがなかろうが先妻や元妻との間の子供たちもみんな同じ相続順位です。
その中で法律通り以外の遺産分割を行いたい場合は遺言書しかありません。
遺言書を書いても先妻・元妻との子供には遺留分がある
先妻。元妻との間の子供
今の現妻との間に子供
法律上は同じ子供ですので同じ相続権を持ちます。
ですから法定相続分以外の相続のやり方を考えているなら【遺言書】を作るしかありません。
ただ、子供が相続人の場合は遺留分という最低限保証された相続権があります。
このあたりを加味して遺言書を作るか?まったく無視して遺言書を作るか?
このあたりは考え方や事情も各ご家庭で異なりますよね。
10秒でわかるこの記事の内容と目次1 離婚した前妻との子供に遺産相続させない方法を教えてください2 離婚した子供に相続させない遺言書を書いても最低限保証された遺留分というものがある3 相続税がかからない範囲の相続で離婚し …
離婚した先妻との子供がいるが交流がない
じつはこんなケースがちょくちょく問題になります。
交流がある?何十年も一切ない?に関わらず法律上は第1順位の相続権を持つ子供がいればそのほかの人は完全にその遺産相続の部外者なのです。
実際にこんなトラブルrもあります。
もしも離婚した人に子供がいればすべての遺産は相続順位第1順位であるその子供たちが相続します。
兄弟姉妹であってもいっさいそれに手は出せないのです。
離婚後なにかしら介護など面倒をいくら見てもそれが相続で報われることを兄弟姉妹は期待してはいけないのです。
きれいごとではなく泥沼の離婚騒動を起こしてしまった方ならその後の交流はないものです。
いくら我が子であっても今はどこで?なにを?しているのかもわかない?そんなケースも珍しくはありません。
ずばりきれいごどではなく現実問題として交流が一切なければいくら自分の子供であっても愛情がわかないことも仕方ないのではないでしょうか?
ただ感情的には縁は切れても法律上の相続では縁は切れないのです。
独身の相続はどこまでさかのぼる?相続順位の判定
原則この相続順位第1順位から第3順位までで相続人が決まります。
もしこれらに該当者がいなければ相続人のいない遺産として取り扱われます。
特別縁故者などがいれば家庭裁判所に申し出て遺産を相続することもできるかもしれません。
それもなければ家庭裁判所が管理して処理にあたります。(国庫帰属財産)
また相続順位は相続が起こった時点で確定するのですがその状況も日々変化することも知っておいてくださいね。
できればこの記事を最初からすべて今一度再読していただければ嬉しいです。
私も時々 何十年も相続手続きが放置されてきた案件にぶち当たることがあります。
亡くなった順番も大きな影響しますが、その時 その相続が発生した時点で相続順位にのっとって相続人が確定します。
つまりその被相続人が亡くなったそのタイミングで相続順位第1順位から第3順位まで判定してその時の相続人を確定します。
さらにその相続人が亡くなるとその方の相続権をまたその時の相続順位第1順位から第3順位まで判定していきます。
これがその都度きちんと相続手続きを完了していないと後々大きな問題となります。
もうネズミ算的に相続関係人が増えていってしまうのです。
何億円もの遺産ならいざ知らず数百万円程度の遺産でその相続手続きに何十人もの方と連絡を取り合うというのもいささかナンセンスなことなのですが法律でそうなっているので仕方ありません。
まずそうなってくると誰と誰がどれだけの相続権を持った相続人なのか?専門の私でも頭がこんがらがります。
ただ多くの方が相続順位を心配されるのは取り越し苦労のことも少なくありません。
相続順位のモヤモヤした不安があれば法律の専門家(弁護士・司法書士)に相談してみるのもいいですし私に質問されてもOKです。
できればみなさん相続が発生した時には迅速に相続手続きを完了してくださいね。
あなたの相続の問題はあなたの代で解決する!
でないと次世代の方たちが大きな迷惑となるのですから!
もしわからないことがあればお気軽にお問い合わせくださいね。
私もわかる範囲できる範囲でお手伝いいたします。
ご存知の通り超高齢化社会において人生100年時代が当たり前になりつつある現代で 「老後のベストな住まい(終の棲家)」ってどんない住まいでしょうか? まして他に頼り人のいないおひとりさまならそのあたりはきちんとその問題から …
■いくらネットで検索しても無駄です
相続のもめごとは百人いれば百通りで同じケースはありません。
だからネットでいくら解決策を探していてもあまり意味はないのです。
遺産分割で納得できないが自分の主張が正しいのか?間違っているのか?
そんなモヤモヤを抱えたままずっと悩んでいるよりも弁護士に相談するのが解決の早道です。
「相続弁護士ナビ」では、全国の相続に強い弁護士の情報をご提供するサイトです。
「遺言書を書いておきたいけれど?」 そう考える人は多いと思いますがなかなか遺言書を作れないはず? それは遺言書には2つの選択肢があるからかもしれません。 ・自筆証書遺言(自分で書く遺言書) ・公正証書遺言(公証役場で作成 …
相続の相談を 「どんなことを?」(税金・法律・手続き) 「誰に?」 「いくらで?」 相談すればいいのかわからない? それってあなただけじゃないのです。 相続の相談内容はさまざまです、それによって相談先も変わってくるのです …